この記事の概略として
今流行のアクティブインサレーションって結局何?
数年前にアウトドアウェアー業界に突如生まれたと思われる「アクティブインサレーション」という言葉とアイテム。
今では、多くの方がこの言葉をキーワードとし、行動中に使えるインサレーション(行動着)を探しに来られる一方で、その言葉だけが独り歩きして、「アクティブインサレーション=温かい」みたいに捉えられている方もしばしいらっしゃいます。例えば、「アクティブインサレーションがあれば、コレからのテン泊も大丈夫ですよね」とか。
アクティブインサレーションは、日本語に置き換えれば「動的保温着」。もう少し噛み砕いて言うと、寒い環境下で運動する時に着る保温着の事。
アクティブインサレーション(動的保温着)は、運動時に身体から生まれる熱をウェアー内に適度に溜め込み寒い環境下で身体を冷やすこと無く着続けらるアイテムの事。その為、ある一定の熱量は溜め込まれずに放出しているようなイメージ。故に、薄いアクティブインサレーションは、それなりの熱量しか溜め込むことが出来ないし、厚いアクティブインサレーションはある程度の熱を溜めることが出来る。
本来、この役割をインサレーション部門で担っていたのが「フリース」と言われるアイテム達だった。しかし、そのフリースのポジションを脅かすように、化繊中綿が本来の守備範囲とは違う部分をカバーする事が出来るようにアップデートされ、そして、アクティブインサレーションという言葉を武器にフリースの地位を脅かし、その地位を手に入れようとしている。
実はココにポイントはあって、今多くのブランドがアクティブインサレーションとして位置づけしているモノは「化繊中綿のアップデート版」であり、その結果「化繊中綿=温かい」というイメージが持たれている方が多い。その結果、「静態時でもアクティブインサレーションは温かいんですよね?」と、なっている方がいらっしゃるのだと思う。
本来、化繊中綿の対抗馬はダウンであり、ダウンの短所をカバー出来るアイテムとしてポジショニングしていたモノ。だから昔は、「ダウン並みの軽さと暖かさ!」とか言われていた化繊中綿達も、そのダウンの地位に並び始めた頃から、その進化のスピードは少しゆっくりとなったイメージ。そして、フリースのポジションを狙いに行くようになった。
だからこそ、多くのブランドが化繊中綿モノの最新アイテムは、アクティブインサレーション系でリリースする事が多く、本来の化繊中綿のポジションでもある「静的保温着」としての驚くような最新アイテムがしばらく登場していなかった印象がある。
流行りとは逆流するように登場したMicro Puffシリーズ
patagoniaのMicro Puff シリーズがその流れを変えた!
アクティブインサレーションが多くリリースされる中で、patagoniaが数年前にリリースしたMicro Puff シリーズ。
そのシリーズで使われている化繊中綿の「プルマフィル・インサレーション」は、ダウンの構造を模倣する連続した化繊のインサレーション素材で、ダウンのように温かくコンパクトに収納できるうえ濡れても保温性を維持するという優れモノ。
そのプルマフィル インサレーションを使ったMicro Puff シリーズの製品紹介については、過去のブログ(■)で一読頂ければと思うが、今回ご紹介するDAS Light Hoody は、そのプルマフィル インサレーションを使い、よりダウンに近づいたアイテムであり、ダウンでは苦手とされるオーバージャケットして使える、ある意味ダウンを超えたアイテムだと個人に思っています。
Micro Puffシリーズ超える温かさpatagonia DAS Light Hoody (→■)
もともと、patagoniaには、Das Parkaと言われる名品がある。
(写真:Men’s Das Parka → ■)
DAS Light Hoodyはその名のごとく、そのDas Parkaのライト版を思って頂けるとイメージはしやすがいが、実は、中で使用している化繊綿はMicro Puff シリーズで使われている「プルマフィル インサレーション」であり、その綿の根付も全く同じ。
では、Micro Puff シリーズ全く同じ中綿素材と量を使っているのに、DAS Light Hoodyは何が違うかを次にお話させて頂きます。
Micro Puffシリーズと同じ綿素材を使って、何故DAS Light Hoodyのが温かいのか?
(写真:DAS Light Hoody → ■)
秘密その1:生地の違い
Micro Puffシリーズは、軽量コンパクト性を目指し表裏共に、「0.7オンスの10デニール・パーテックス・クアンタム・リップストップ・ナイロン100%」を使用。
一方、DAS Light Hoodyは、Micro Puffと同じ綿と量を使いながら、表生地を「0.8オンス・10デニール・パーテックス・クアンタム・プロ・リップストップ・ナイロン100%」使用し、裏地に「0.8オンス・10デニール・パーテックス・クアンタム・リップストップ・ナイロン100%」を使用しています。
ここでの大きな違いは、表生地がDAS Light Hoodyは、「パーテックス・クアンタム・プロ」を使用しているという点。
パーテックス・クアンタム・プロは、通常のパーテックス・クアンタムに比べ、より耐風性・耐水性が強く、通常のパーテックス・クアンタムに比べしっかりと風を防ぐ事が出来ます。文字で見れば、たったコレぐらいの事?となると思いますが、同じ中綿を使っても、それを包み込む素材が変われば温かさは随分変わります。
また、Micro Puffシリーズの特徴でもあるキルト加工も、DAS Light Hoodyでは表面側にそのキルト部分が出ないように作られています。ダウンや化繊インサレーションは、バッフルやキルト状にする為にウェアーに縫い(ステッチ)を作る事があります。その結果、その縫い目がコールドスポットとなり、冷たい空気がその縫い目から身体側に侵入したり、ウェアー内の温かい空気を出てしまうことがあります。DAS Light Hoodyは、表側には一切キルト部分の縫いが出ないように作られており、その結果コールドスポットが無くなり、同じ綿・量を使いながらも保温力が増しているヒトツの要因になります。
因みに、DAS Light Hoodyは、Micro Puffシリーズに比べ、ウェアーにシャリ感が少し出ていますが、妙にこのシャリ感が、DAS Light Hoodyをオーバージャケットとして着用した時の安心感に僕は繋がると思っています。
(179cm / 65kg / size: M)
秘密その2:背中面のキルト配し方
Micro Puffの代名詞とも言えるキルト加工。この加工により体温で温められた空気が効率的にウェアー内を移動していきます。その空気の流れをより効率的に考えれたのがDAS Light Hoody。
(DAS Light Hoody)
(Micro Puff HOODY)
違いが分かりますか?
赤色のMicro Puff Hoodyは、縦長のブロックを均一的に縦方向と横方向に積み上げたようにキルト加工が入れらていますが、青色のDAS Light Hoodyは、背骨に向かって斜め方向にキルトのステッチが入れられています。
これにより、身体の中心部で温められた熱は、身体の動きとともに効率よく身体の隅々までにその熱を送り届けるようなそんな作りとなっています。
インナーとしてのMicro PuffとオーバージャケットとしてのDAS Light Hoody
本来であれば、夫々を着比べた写真をご用意出来れば良かったのですが、既にMicro Puffシリーズで私が着用出来るサイズが無かったので、今回ブログでその違いをお伝えする事は出来ませんが、端的に言うとDAS Light Hoodyはオーバージャケットとしての使用目的がある為、少し大きめの作りとなっています。
個人的には、このオーバージャケットとしての機能や、Micro Puffより約85g重たくなったとしても、その重量比から考えられない温かさ。
軽い静的保温着としてヒトツ選ぶのであれば、必ずオススメしたいアイテムの1つとなっていますので、このようなアイテムをお持ちでない方は、是非、ご検討頂ければと思います!
【号外】今週末(12/11-12)は、moderate店頭にpaatgoniaスタッフさんが立っています
12月11日(土)-12日(日)の二日間は、moderate店頭にpaatgoniaスタッフさんが販売応援にお越し頂けます。
普段では聞けないマニアックのお話や疑問点などがあれば、この機会に一度訪ねてみ如何でしょうか。patagoniaのスタッフさんも、お客様からお声掛けされればきっと喜ばれると思いますし、ちょっとしたプレゼントなんか頂けるかも?!
投稿者:飯田