冬のシノギング備忘録

1月末に開催いたしましたシノギング。かれこれ十数回開催させて頂いているのですが「鈴鹿山脈でシノギングをすると何かが起きる。」というジンクスが今回も当たりました。強風により、御在所ロープウェイがまさかの運休。山頂公園から雪の中を凌ぐ予定が麓を凌ぐことに。とは言え、嘆いているわけにはいきません!何かが起きるシノギングなので、このような事は事前に想定済み!麓もしっかりと凌いでいきます!

 

ササっと気持ちと装備をきりかえて、AXESQUINの谷島氏よりシノギングのお話し。歩き出しそうで中々歩き出さないのがシノギング。しっかりと「凌とは」をお伝えさせて頂き、本日一日のシノギングをより有意義なものにして頂きます。

 

そして、凌アイテムのレンタルも。今回はソフトシェルゲーターのクナイを皆さまにお試し頂きました。低山であれば雪の有無に関わらず活躍してくれる便利アイテム。太めのパンツを穿いている時でもクナイを付ければ足回りをスッキリとさせられて足さばきが非常に良くなります。

 

足元を整えていざ出発!…となりそうでならないのがシノギングです。続いて低山小道具研究家モリカツ氏による簡単地図読み講座。GPSアプリの普及に伴い、普段の登山ではコンパスと紙地図の基本的な使い方をしっかり学び、本日の目的地を定めたところで出発です。

 

今回の御在所麓ルートは東海自然歩道からアプローチをしていきます。ここ最近、日本国内の長距離自然歩道を見直すアクションが活発化しており、この東海自然歩道もセクションによって利用者が極端に減り、荒廃が進んでしまっているところも。歩く人が増えれば自ずと荒廃を止める事も出来るので、是非、皆様も歩いてみてください。

 

東海自然歩道には途中で大きな砂防ダムもあり、温泉地特有の変色もあるので、今回のシノギングルートの見物の一つでもあります。

 

序盤は比較的歩きやすい道が続きますが、シノギングは目指すハンモックスポットへ向けて登山道を外れて歩くことが当たり前。

 

取りつく尾根を地図で確認して、ここからはオフトレイルへと分け入っていきます。どこを進めばリスクを避ける事が出来るのか。より負担を少なく出来るのか。地形図から情報を得て、しっかりと考えて行動へうつします。この考えるという行為が非常に重要で、現代登山では地図のデジタル化が急速に進み、道具やフィールの情報も簡単に手に入るようになったことで、考える必機会が大きく減少してきています。しかし、アウトドアの環境下では自分の装備と自己判断で様々な状況に対応しなくてはいけない為、考える事で生み出される発想力が非常に重要となります。敢えて紙の地図とコンパスで登山道を外れて歩くシノギングは、現代登山とは逆で基本的な技術が求められる分、外遊びの本質的な楽しさが感じられるのです。

 

オフトレイルを歩く時は、掴んで良い木とそうでない木の判断も必要ですし、数メートル進むのにも適切なルートを選択出来るかどうかで体力の消耗度が大きく変わります。周囲の情報をしっかりと自身の中に落とし込み、状況判断をして進んでいく。一般登山道を歩くペースと比べるとゆっくりになりますが、その分、思考が必要です。普段は歩くべき登山道が決まっており、その上を歩いてますが、いざ「どこを歩いても良い」という状態になると最初は何が正解か分かりません。

そんな時、私は勘に任せます。ただ単純に当てずっぽうに進むのではなく、自分が動物になった気持ちになったうえで勘を働かせます。きっと動物たちは、私達人間よりも周囲の情報に敏感で音、匂い、風向き、地面の様子、色々な情報を本能的に読み取っています。それは常に危険(死)を意識しているからに違い無く、そのリスクを少しでも回避する為の能力でもあります。そこまで逼迫した気持ちになれとは言いませんが、いつも以上に周囲に目を配り、目線を落としたり、時には高くしたり。足の裏の感覚や足の置き方に意識をしてみたりと、普段気にしない事に目や感覚に向けているとフとした時に獣道があることに気付いたりします。そして、そこを拝借して歩くととても楽。人の様に理論立てた理由で作られた道では無く、動物が本能的に作った道ですが、急な登りにならないようトラバース気味になっていたりと、体力の消耗が抑えられるようになっている事が殆ど。皆様もオフトレイルを歩く機会があったら、気分は動物で歩いてみてください。色々な発見があったりして面白いですよ。

 

そして、動物には無いけど、人にはある地図とコンパスも活用して本日のハンモックポイントへと進み続けます。進むにつれて参加者の皆様の足取りも慣れてきた様子で、予定していたよりも早くハンモックポイントへと到着しました。早速、のんびりと休憩してお昼ご飯…といきたいトコロですが、休憩しそうで中々しないのがシノギングです。

 

まずは、AXESQUINスタッフ谷島氏によるハンモックの設営方法の講習会。ハンモックは木と木の間に張るものであり、いたってシンプルなアイテムではあるのですが、「じゃあ、設営する木と木の間隔はどれぐらいなの?」、「ツリーストラップはどれぐらいの高さに付けるの?」と聞かれると意外と知らない方が殆どではないでしょうか。そこはハンモック経験豊富な谷島氏が拘りを交えながら分かりやすく解説してくださいました。それでは、早速ハンモックタイム…と中々いかないのがシノギングでございます。

 

恒例のモリカツ氏による簡単ロープワーク講習が開催!

 

難しそうに見えるロープワークですが、実は考え方を変えるだけで超簡単になるんです。

 

教わったら即実践。自分の中で納得いくまで落とし込んで頂きます。

 

今回教えて頂いたロープワークを駆使すれば、自在ナシでテントの張り綱調整が出来たり、タープ設営の際にしっかりとロープを張れたり。新聞紙や雑誌を束ねるのにも応用出来たりと覚えておくと日常生活でも非常に便利。気になる方は、店頭で松下へお声かけください。超簡単に伝授させて頂きます。

 

ロープワークだけでは終わらない!続いてはモリカツ氏によるネイチャーストーブの着火講習会。燃焼とは物質の酸化現象であり、必要な要素として酸素と熱が….という科学的根拠にのっとった効率的な着火方法を学びます。毎度のことながら、感覚的なお話では無く理論的に教えて頂けるのでとても理解がしやすく、マスターしやすい内容となっております。

 

講習を聞いている間、寒くないように皆様インサレーションを着用されていたのですが、アグラスカートの着用者であるアグラーが多くて驚きました。今回はお試しレンタルもあり、試して頂いた方々からもご好評いただけて何よりです。

 

そして、当店moderate別注品であるアグラスカート+松阪木綿■もご愛用頂きありがとうございます。ネイチャーストーブで小さな焚火をした際に発生する小さな火の粉。通常のアグラスカートは生地が化学繊維である為、火の粉で穴が開いてしまいます。そこで化学繊維と比べて熱に強い松阪木綿を表面へと配して、ネイチャーストーブ使用時にも安心して穿けるようにと開発させて頂いたモデル。過去のブログ■でもご紹介させて頂いておりますので、気になる方は是非チェックしてみてください。

 

一通りの講習会が終わったところでお昼ご飯&ハンモックタイム。

 

ノンビリご飯を食べたり、皆でわいわい過ごしたり、ハンモックでお昼寝したり、ネイチャーストーブで身体を温めたり…各々が自分の時間を過ごします。求めるべきは、山中での自己満足。何をすれば今の自分が満たされるのか。自分の気持ちにただ正直に過ごすだけ。日々お仕事や、お家のことを頑張っているですから、自然の中では我儘に過ごしましょう。

 

ノンビリ過ごしていると、あっという間に撤収の時間。帰路へとつく前にモリカツ氏から最後の講習会。そうです、ナイフ講習会です。フォールディングナイフのあれこれをお伺いしたのですが、一番目をギラギラさせてお話しを聞いていたのは私でございました。

 

そして、最後に谷島氏よりAXESQUIN 凌のハンモック用タープ、ヤナギニカゼのお話しも伺いました。ハンモックを快適に楽しむにあたり、非常に考え込まれた名作タープ。2月9日の現在は完売となっておりますが、近々再入荷の予定です。少量の入荷予定となっている為、気になる方はお早めに!

 

最後には、恒例の笑ってはいけない記念写真。我々は真面目に凌いでいます。故に白い歯を見せるなどはナンセンスなのです。今回の記念写真は、同中にあった砂防ダムを入れてのスペシャルショットとなりました。

当初予定していた御在所山頂公園からのスタートでは無く、麓を凌ぐ形となりましたが内容盛りだくさんな一日を過ごすことができました。ご参加頂いた皆様、関係者の皆様、ありがとうございました。普通の登山とは一風異なる遊びかたのシノギング。地図とコンパスを手にして低山を楽しむマニアックな遊びではありますが、子どもの頃の裏山を探検するようなワクワク感を感じる大人の冒険遊びのような楽しみがあります。登山道を外れるので少し敷居が高いかもしれませんが、始めてみたいという方は、店頭で是非ご相談ください。おススメのフィールドや面白スポットをご紹介させて頂きます。

また、今後も継続的にシノギングを体験頂くイベントを開催させて頂きます。近々、午前中完結型のショートシノギング「あさげの会」も開催予定です。そちらは改めてご案内させて頂きますので、HPやSNSをチェック頂ければと思います。本日も拙いブログを最後までお読み頂きましてありがとうございました。皆様のおススメの凌スポットや砂防ダム情報がございましたら、是非教えてください。

本日のブログは松下がお届けいたしました。

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