GALIBIERの取り扱いが始まりました。

先日、日本の環境配慮型アウトドアメーカーSTATICが主催するMARS(Mountain Academy Redesigned by Staticbloom)に参加させて頂きました。

フィールドは快晴の御在所岳。冬季バリエーションルートにてピッケルワークやロープワーク等、色々と学ばせて頂きました。

 

クライミング初心者の私には、全てがドキドキする経験で終始アドレナリンが出まくっていました。

 

20代の頃は、怖すぎてロープを使用した登山はしないと決めていましたが、体験してみるとそのイメージは大きく覆りました。トレランの様なスピーディーさも、パウダーを滑る様な浮遊感もありませんが、恐怖心を持ちながらも一歩、・手を慎重に考えながら進んで行く行程は、とても新鮮で自身の外遊びへの価値観を大きく広げてくれました。

 

一緒に参加頂いたハイマートベルグスタッフ様、ガイディング頂いた新名様。素敵な体験をさせて頂きましてありがとうございました。

MARSは我々アウトドアショップスタッフだけでなく、一般のお客様向けにも講習会を開催しております。新しい一歩を踏み出してみたいかたは是非コチラ■を覗いてみてください。

 

 


本日の本題。

沢山の登山靴メーカーがある中で、GALIBER(ガリビエ)という名のメーカーをご存知でしょうか。

殆どの方が聞いたことも無いブランドかもしれませんがその歴史は古く、実は現代の靴の名ブランドパラブーツへと通じています。

 

今季、moderateではガリビエの登山靴を2型取り揃えています。ミドルカットのSUPER RANDO MID とローカットのSUPER RANDO LOW

どちらも重厚な見た目で「ザ登山靴」という印象を受けます。早速、ブーツの詳細説明をさせて頂きたいのですが、製品自体よりもまずはガリビエの歴史を知って頂きたいので少々お付き合い願います。(先に述べておきますが、私が大好物なヘビーデューティーなジャンルなので長文になります。)

 

時代を遡ること100年以上。1908年、フランス南東部にある小さな町、イゾーで創業者のレミー・アレクシス・リシャール氏が靴工房を開業しました。企業経営者や軍関係者、登山家などを顧客とするオーダーメイド靴を製造しており、2年後にリシャールポンヴェール社を設立。

 

1920年に労働者向け編み上げブーツ「ガリビエ」を発売し、山岳労働者からも強い支持を得ました。

 

その後、当時一般的であったレザーソールに代り、ラバーソールを実用化。ブルジルのPARA(パラ)港からアマゾン産の天然ゴムラテックスを輸入することとなり、その港の名前からParaboot(パラブーツ)が誕生しました。

その後、パラブーツは名作となるシューズを次々に生み出しました。建設労働者、測量士などの技術者向けのシューズとなるモジーン。さらに、そのモジーンをより洗練させたミカエル等、現代にまでその遺伝子はしっかりと残され、パラブーツの根幹となっています。

 

1960年代には「ガリビエ」を登山、スキー、アフターシューズのブランドとして再興し、世界的に有名な当時の一流クライマー(リオネル・テレイ、ピエール・アラン、ロイヤルロビンス)や現代のルネ・ドメゾン共に製品開発を行い、彼等が求めるシビアな要求に応えるべく妥協をすることなく常に品質を高めてきました。

 

※開発に協力したクライマーに関して


●リオネル・テレイ
フランス人として初めてヒマラヤ登頂に成功した世界的登山家。MONCLERのテクニカルアドバイザーとして登山家のためのダウンウェアの研究や開発、改良にも携わっていた。

●ピエール・アラン
プティ・ドゥル北壁の初登頂(1935年)を成し遂げ、1936年にはカラコルム山脈のヒドゥンピークを目指すヒマラヤ初のフランス遠征隊のアタック隊を率いた。ダウン製寝袋、軽合金製カラビナ、滑らかなゴム底の登山靴、1943 年の最初の下降器等、様々な登山道具も開発していた。

●ロイヤル・ロビンス
アメリカのロッククライミングの黄金時代の先駆者であり、パラブーツの名品クライミングブーツ、ヨセミテの開発にも関わっていた。エルキャピタンのサテラやノースアメリカンウォールを初登し、パタゴニアの創業者イヴォンとも親交があり、2017年の死去の際にはパタゴニアのブログにて追悼の意が表されている。

●ルネ・ドメゾン
ヒマラヤ、アンデスやアルプスなどで冬山登山の新ルートを開拓、114の初登頂記録を打ち立てた。50年代末に冬山登山の先駆けとなったことでも知られ、「グランド・ジョラスの342時間」など著書も多い。

 

 

その後パイロット、パラシュート競技、極地探検用などプロ&アスリート向けシューズの開発に積極的に取り組み、1971年アデリーランドを探検したポール・エミール・ビクトール氏にブーツを提供。極地でも十分耐えられる靴として確固たる地位を築きました。

 

日本では、ガリビエよりもパラブーツの方が認知度が非常に高く、私もパラブーツ愛好者の一人でもあります。そしてこの度、メーカー様よりガリビエのお話しを頂いた際、個人的にめちゃくちゃ嬉しくて、ミドルカットのシューズを既に買う気満々でいました。でも、自分の中で一つ疑問が浮かんだのです。

ガリビエと言えば、ゴツくて厳ついブーツのイメージだけど昨今の登山スタイルにマッチするのだろうか?

UL化が進み、足元もトレランシューズやライトトレッキングシューズが主流となる中で、オールレザーのガッチリした靴が求められているのだろうか….。色々と思考を巡らせてみたのですが、至った結論は、まず現物を見てみよう。物を見てバイヤーである自分達がワクワクするかも大切なので、実物を見て、触って、履いてみた結果…

お取扱いさせて頂く事となりました。もうここまでの長文内容でお気づきの方も多いとは思いますが、なんせ私の好みどストライクな靴なのは勿論ですが、実際に履いてみると見た目以上に歩きやすいんです。

 

まず、靴のロッカー構造。オールレザーの靴にしては珍しく足運びがしやくなっており、歩く行程が多い山行でも使いやすくなっています。

 

そして、横幅。ヨーロッパメーカーにありがちな狭い作りではないので、比較的日本人でも履きやすい形状なんです。特にパラブーツと比べても履いていてとても楽。足幅広い族の私は、パラブーツは痛みに耐えて数週間あけて自分の足型に育てていくのですが、SUPER RANDOはその必要が無いぐらい。

 

見た目的にノークッションかと思いきや、適度なフカっと感もあるのも面白いところ。インソールにもクッション性を持たせてあり、さらにインソールの下に敷いてある白いインソール状の物(写真左)もガリビエブーツの特徴の一つ。

 

このパーツは、ボリュームディフュザーと呼ばれており、このディフュザーの出し入れでサイズ感を0.5cm変える事が出来ます。故にSUPER RANDOのサイズは1cm刻みとなっているのです。たった数ミリの厚みしかないディフュザーですが、この数ミリで足へのフィット感が大きく変わります。靴の内部は数ミリ単位で履き心地が変わってしまう程、繊細なのです。

 

堅牢なレザーアッパーは厚さ2.4mmのワンピース構造(一枚革)で出来ておりLWGゴールドの認証を受けた物を使用。ソールと縫い付けられている真っ赤なスティッチがアクセントになり、質実剛健感が滲み出ています。

LWGLeather Working Group)は、2005年に設立されたレザー業界の環境保護団体。レザーの生産工程における環境対策を審査し、厳格な国際基準に準拠した製革業者にのみLWG認証が与えられ、ゴールドランクは最高位の認証となります。

 

タン部分には、ダイニーマのリップストップを採用しており、全体的に非常に壊れにくい仕様。

 

ただ、アウトソールに関しては消耗品である為、歩いたら歩いた分だけ削れていってしまいます。せっかく良い靴を買ったのにアウトソールがすり減ったらもう履けなくなってしまう…とはならないのがガリビエです。アウトソールの交換は勿論のこと、ミッドソールの交換も可能で、靴でも破れやすい内側の踵部分や親指・小指部分もレザーパッチを充てたりして修理が可能なのです。

 

 

 

また、インソール類もへたってきたら交換が可能で、一足で世代間を跨いで履いて頂く事が出来ます。

 

 

デイハイクがメインの方や日常的にも履かれたい方にはローカットがおススメ。山でのローカットと言えば、トレランシューズがメインどころですが敢えてのクラシックスタイルでのんびり歩くのも乙な物。

 

私は、個人的にミドルカットを狙っております。そこそこ重たい荷物を担ぐ時に履く靴を探していたのですが、市場に出回っている物がテクニカルなデザインの物が多く自分のスタイルにしっくりこなかった為、購入を悩んでいました。そんな時に登場したのがこのガリビエで、パラブーツ好きな私としては涎物のシューズなのです。特に最近は子ども達を連れて山へ行く機会も増え、ベビーキャリアーで一人を担ぎ、抱っこ紐でもう一人を前抱っこして山を歩く事もある為、トレランシューズではカバーしきれない重量(約20kg弱)となってきました。故にオールレザーのしっかりした靴が欲しかったんです。それに永く履けるので、数十年後に今の思い出に浸りながらゆっくりのんびり山を歩く時にも履けますし、それぐらい履きこんだ時に味が出て今以上に良い靴に仕上がっていると思うんです。

ちょっと気取った表現ですが一足を履き潰して終わりでは無く、思い出と一緒に歩き続けられる靴がガリビエなのです。ちょっと気になるな…という方は是非、ソックス持参のうえご試着にいらしてください。超幅広の私が履けたので、殆どの方が履けるレザーシューズですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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