雨天の予報なら山に走りに行かない。僕はそういうタイプ。でも、レースの場合や行程が長いトレランの場合はそうもいかない。雨天の中で一番長い時間走ったのは数年前に上高地から槍ヶ岳へ日帰りで走った時。天気予報はグズグズな感じだったけど、せっかく来たんだしダメだと思ったら引き返そう。そしたら案の定、途中から降り出した雨は上高地に帰って来る頃まで降り続いた。
当時の僕は「g単位で荷物を削るより身体を鍛えた方が早い。」という脳みそ筋肉マンみたいな考え方をしていたので軽量化にはあまり興味がなかった。でも今になってみると、あの行程ならもっと軽量のレインウェアでも行けたな…。と思う次第。
山を走る時に必要なレインウェア。「山」といってもシチュエーションはそれぞれ。アルプスみないな高山域?それとも低山?エンジョイランで使う?レースで使う?…という具合に「?」がいっぱい出て来ます。そんな「?」を少しでも解消する為に、今回のブログではレインウェアについてお話しさせて頂きます。
- さぁ!トレイルラニンングを始めよう。
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この記事の概略として
レインウェアに何を最も求めるか。
【写真はOMM HALO JACKET ■】
レインウェア選びの基準はここにあります。「どんな機能を最も求めるのか。」例えば上の写真の様に片手の中に納まるぐらいの収納力を求めるのか。はたまた、優れた防水性を求めるのか。とにかく蒸れを外へと排出する高い透湿性を求めるのか。重きを置く基準をどこにするのかがレインウェア選びの一つのポイントになります。
動きやすさを求めるなら
【OMM Kamleika Jacket ■】
「防水ソフトシェル」と言うだけあって動きやすさは抜群です。私自身、現在の山行のメインに使用しているのがこのKamleika Jacket。生地の柔らかさしなやかさによって行動中にストレスを感じる事は殆どありません。
単純に引っ張るだけでこんなに伸びるのでランニング中の腕振りに影響も無し。耐水圧は約20,000 mm、透湿性18,000 gsm/24hrとなっており、重量は実測で下記の通りとなります。
※全てのジャケットの重量は実測値の為、若干の誤差が生じることがあります。
サイズ | XS | S | M |
重量(g) | 216 | 224 | 255 |
ずば抜けて軽いという数字ではありません。その分、着続けた時のストレスが軽減されると思えば苦に感じない程度の重量と言えます。
優れた防水性&透湿性重視
【THE NORTH FACE HYPERAIR GTX Hoodie ■ 】
サイズ | S | M | L |
重量(g) | 189 | 196 | 202 |
【GORE WEAR R7シェイクドライトレイルフーディッドジャケット】
サイズ | S | M | L |
重量(g) | 164 | 172 | × |
どちらもゴア社の最新素材、SHAKEDRYを使用した物。通常、ゴアのメンブレンは裏地と表地の間に挟まれていますが、その表地を無くす事によって優れた透湿性を発揮。さらにメンブレン自体は水分を含まない疎水性素材の為、撥水が半永久的に持続するという優れもの。ただ、重たい荷物等を担ぐと生地に負担がかかってしまう為、ノースフェイスのHYPERAIR GTX Hoodieはジャケットの中にトレランパックを背負う形となっており、ゴアウェアのモデルは最大20リットル程度までのザックを推奨しています。表地が無い分、どちらも軽量。雨天の中でのレースの際でも極力衣服内を快適にしたい方へおススメ。
とにかく軽い方がいい。
【OMM Halo Jacket ■】
サイズ | XS | S | M |
重量(g) | 96 | 103 | 107 |
数字を見て頂ければ一目瞭然。めちゃくちゃ軽いです。軽い故にとてもコンパクトに収納も可能。「理想的」と思えるアイテムなのですが、耐水性10,000mm、透湿性10,000 gsm/24hrと他のモデルに比べて少し低め。軽さに重きを置いているモデルなので仕方ないところですが、重量に対するスペックの質として見れば申し分無いレベルではないでしょうか。トレイルのレースは距離が伸びればレインウェアが必携装備に入ってきます。レース当日が降水確率0%、雲一つ無い晴天でもリスクを考えて携帯する義務があるのです。そういった時にはHALO JACKETの様な軽さに特化したモデルの出番。近所の里山へ走りに行く時にも軽く使えるアイテムです。
重量と機能のバランスモデル
【THE NORTH FACE Strike Trail Hoodie ■】
サイズ | S | M | L |
重量(g) | × | 102 | 108 |
【Teton Bros Feather Rain Full Zip Jacket2.0】
サイズ | S | M | L |
重量(g) | 158 | 166 | 176 |
ノースフェイスのStrike Trail Hoodie、ティートンブロスのFeather Rain Full Zip Jacket2.0、どちらも耐水圧20,000mmという高い耐水性能を持ちながら軽量に仕上げられているモデル。軽さに振り切るべきか…動きやすさを重視すべきか…悩みに悩んでしまった場合に何だかんだ使いやすいのがこのタイプなんです。
裏地アリorナシ
【写真はOMM Kamleika Jacket ■】
裏地のアリとナシでも着心地や機能面で違いが出ます。上の写真はOMM Kamleika Jacketの裏面。裏地は備えておらず、防水素材に特殊加工が施してあるのみ。
顕微鏡で覗いて見ると、ご覧の様に裏面のメンブレンがアップで見えるだけ。OMMのHALOシリーズも同じく裏地無しの仕様となります。
【写真はTHE NORTH FACE Strike Trail Hoodie ■】
一方、裏地が付いているモデルは見た目の違いで分かるうえに、触れた時にサラっとした感じがします。
顕微鏡で覗くと細かな糸が編み込まれているのが見えます。この生地が防水メンブレンの上に配されているのでサラっとした手触りになるのです。
汗を掻いた時、裏地が付いていると汗を吸い上げてくれるので比較的サラっとした着心地になります。裏地が付いていないタイプは汗を吸い上げないので若干ペタついてしまうことも。この部分に関しては一長一短になるんです。裏地が汗を吸う=レインウェアが水分を含む事になるので若干の重量アップになってしまう。さらにOMMレースの様に2日間続けてレースが行われる場合、次の日までに裏地が乾かなければ湿った状態で着なければいけません。裏地ナシの場合は付いた汗を拭きとってあげればOK。このあたりも、使用するシチュエーションによって変わってくるので大切な選択要素の一つです。
トレランにレインウェアは必ず必要か
とても難しいのですが、一言で「トレラン」と言っても色々なスタイルがあります。私は、多度山を数えきれないぐらい走ってきました。今、自分がいる場所から最短で降りるにはどのルートで降りればよいか。どの辺りが携帯の電波が入るか等、熟知しています。故に、夏の雲一つ無い日はレインウェアは持っていかずウィンドシェルだけ持っていくことも。一歩山に入るからには「自己責任」です。何かあった時に如何に迅速かつ的確に対応出来るか。荷物は少ない方が身軽で楽です。しかし、そこには自分自身に大いなる責任が伴うこともお忘れなく。(半分、自身への戒めに…。)
拙い文章でご説明させて頂きましたが、何分伝える力が不足している為脈絡の無い内容となってしまいました。店頭へお越し頂ければ、ワイワイとお話しさせて頂きますので気になるポイントございましたらお気軽にどうぞ。
本日のブログは松下がお届けしました。