未来を感じるアクティブインサレーション THE NORTH FACE Air Chamber Trail Vest

最新の技術や素材で「え!?」と驚くような物を生み出してきたアウトドアブランドTHE NORTH FACE。
この度、全国でも数店舗だけでの取り扱いとなった噂の空気で膨らませるベストをmoderateでも販売させて頂く事になりました。

 

Air Chamber Trail Vest 

衣服で暖かさを確保しようとすると、如何に体の周りに動かない空気の層を作り出すかが重要。作り出した空気の層が厚いほどに保温力は高くなり、逆に薄ければ保温力は低くなります。薄手のダウンジャケットよりもハイボリュームのモコモコしたダウンジャケットの方が暖かく感じるのは、まさに空気層の厚さの違いによるもの。そして冬の低温化の行動中に着用するアクティブインサレーションにも同じ理論が通用するのですが、行動中は状況によって体感温度が大きく異なります。動き出したばかりの時は体温が上がっておらず寒く感じても、20分程行動し続ければ体が温まってきてレイヤリングの調整が必要に。また、稜線を歩けば強い風にたたかれて体感温度がグッと下がる事も。そんな時に身にまとっている衣服が作り出す空気層の厚みを変える事が出来れば、その状況に適した保温力を得る事が出来る。服を脱ぎ着するのでは無く、衣服内の空気で調整するという新しい発想のもとに生み出されたのが、このAir Chamber Trail Vestなのです。もっと簡単に言うと、浮き輪の様に空気を出し入れ出来るようにして衣服内の空気層の厚みを変えられるということ。

 

 

空気量の調整方法

エアーチャンバーの空気は胸元のポケット内にある注入バルブから入れる事ができます。イメージでいくとエアーマットの空気を入れるのと同じ要領で、赤いボタンが空気の逆流を防ぐ逆止弁機能をもっており効率的に空気を入れられるようになっています。赤いボタンは押し込みながら少し回すと解放状態でロックされるので、小さく収納する際中に入った空気に邪魔をされることもありません。

 

ちなみに空気を入れる際は呼気を入れるのでは無く、専用のポンプサックを使用します。ポンプサックは収納用のスタッフサックを兼ねており、紛失しないように胸ポケット内にコードで連結出来るようになっています。

 

ポンプサックの末端部分がバルブに連結出来るようになっているので、この部分を差し込んで繋ぎこみます。

 

あとは、ポンプサックの中に空気を溜めてバルブの方向へと絞っていくだけの超簡単作業。説明書を読んだりしなくても直感的に操作が出来るタイプなので、着用しながら空気量調整もスムーズに出来ます。しかし、ここで気になるのはどれぐらいの量の空気を入れると膨らんでくるのかというところ。いくら空気量で保温力が調整できるとは言え、結構な量を入れる必要があるならばその作業が手間になってしまい、結局脱ぎ着するのとそんなに変わらなじゃん…となっては本末転倒。そこでポンプサックを使用して何回空気を注入するとどれぐらい膨らむのかを試してみました。

 

こちらが空気を全く注入していない状態。メインの生地にはゴアウィンドストッパーが使用されているので独特のシャリ感があって、軽量系ハードシェルの様な張りもあります。このままでも風を止めてくれるので行動中に着るウィンドシェルベストとして十分使えます。

 

そしてこちらがポンプサックを使用してサック一回分の空気を注入した状態。バルブが付いている向かって右側が顕著に膨らんでおり、左側は少し膨らむ程度。ちなみにこの状態でも手で軽くボディ全体を押せば入れた分の空気を満遍なく行き渡らせる事ができます。

 

こらちがた2回目の写真。今度は向かって左側もしっかりと膨らみ、肩や襟元まで膨らんでいます。ちなみにパックを背負う想定で作られているので背面は膨らまず、オーバーヒートを防ぐ仕様となっています。

 

3回めもしっかりと入れるとパンパン状態になりました。ここまで入れると若干膨らませすぎ感があって、膨らみによって生地が張るので前丈が短くなります。どれぐらい短くなるかは、次の着用写真をご覧頂くと実感頂けるとおもいます。

 

着用イメージ


【163cm / 53kg / Size:S /Color:K】

空気が入っていない状態になるのですが、よくあるウィンドシェルベストを着ているのと変わらない感覚。肩のラインもほんの少し肩にかかるぐらいで寒い中で動くときには丁度良いぐらい。ベストの下にはInfinity Trail HDを着用しているのですが、ベストのしたからInfinity Trail HDの裾丈が見えていません。

 

空気を入れられるだけ入れた状態では前丈が短くなり、下に着ているInfinity Trail HDの裾がハッキリと見えてきます。正直、この現象によるマイナスポイントは見た目以外に無いかなと思うのですが、個人的には空気パンパン状態よりも少し調整してボリュームを若干抑えたぐらいが着用しやすく感じました。

 

フロントジッパーはダブルファスナーなので、体温が上がってきたら物理的に大きく通気する事もできます。着用の仕方として、ベースレイヤーの上に直接着ると言うよりはウィンドシェルの上から羽織る使い方がおススメで、ウィンドシェル一枚では寒いけど長袖系のアクティブインサレーションでは暑くなりそう….そんな時に空気を注入した状態で上から羽織っておけば状況に応じて保温力を調整しながら行動が出来ます。

元々は秋冬シーズンの低温化でのトレイルランニングを想定して作られているのですが、前面から風を受ける自転車でも非常に活躍してくれます。特に前から風が吹いている時は寒くてもしっかりペダリングしないと進まないので動き出しは凄く寒いけど、次第に体が温まってきて途中で足を止めて脱ぎ着が必要になってきます。また、進行方向によっては追い風に変わって思った程体温が上がらない事もあったり。そんな時に胸元のバルブとフロントジッパーの開け閉めの両方で保温と防寒力の調整が出来るのは非常に便利。勿論、山でも稜線や樹林帯によって風の影響もかわりますし、行動ペースや時間帯によっても体感温度が変わります。そういった環境変化に対して出来る限りスマートに対応する為のウェアがAir Chamber Trail Vest  なのです。

少し話が変わりますが私は、学生時代から出入りしながら合計10年程ノースフェイスの直営店で働かせて頂いていました。20代前半の頃(十数年前)は、ノースフェイスは今程の認知度は無くお店に女性のお客様が来店される事も稀でした。そこから一気に人気に火がついて、今はアパレルショップや大手スポーツ量販店でも目にするようなり、多くの方がノースフェイスの商品を手に取って頂けるようになりました。しかしその反面、認知度が上がった事により「昔のノースフェイスの方が良かったなぁ。」という声も聞くようになりました。昔の尖っていたブランドのイメージが好きだった。正直、僕も数年前までそう思っていた時がありました。しかし、ここ数年で現在のノースフェイスの開発チームと方々とお話しをさせて頂く機会を何度も頂き、色々とコミュニケーションを取らせて頂く中で感じたのが「ブランドとして有名にはなったけど、根本の部分は変わっていない。」という事。常に探求心を持って製品開発に取り組んでいるその姿勢は、私が初めてノースフェイスを知った時のワクワク感に通じる部分があり、今回登場したAir Chamber Trail Vest  も私のワクワクスイッチを入れた一つで、私は展示会でサンプルを見た段階で、「実際に使って試してみたい!」とギアマニア心を擽られました。(ちなみにしっかり自分の分もオーダーしています。)

長々と綴らせて頂きましたが今後も私は、こういったマニアックでチャレンジングなアイテムをプッシュさせて頂きます。何故ならそこにブランドの本質が詰まっているから。
私同様にマニアックアイテムが大好きな皆様には引き続きチェック頂ければと思います。

本日のブログは松下がお届けいたしました。

 

 

 

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