未来を感じるアクティブインサレーション② THE NORTH FACE Hybrid AirDialogue Hoodie

過去のブログ(コチラ■)でご紹介させて頂きました。ポンプを用いて空気を入れる事により、保温力を調整出来るアクティブインサレーション

THE NORTH FACE Air Chamber Trail Vest

主に冬場のランニングシーンでの着用を想定しており、体温が上がっていない動き出しから、身体が温まってきた後でも快適に着続けられるようにデザインされた作りとなっています。

そして、今回のブログでご紹介させて頂くのは、Air Chamber Trail Vestの機能を登山、アルパイン向けのウェアに落とし込んだ物になります。

 

THE NORTH FACE Hybrid AirDialogue Hoodie

冬山での行動中、相当な降雪や低温化でなければハードシェルよりもアクティブインサレーションで動くシーンが増えてきました。様々なメーカーからフリースに続きオクタやアルファダイレクト等の新型化繊中綿素材のウェアが登場し、アクティブインサレーション戦国時代と言っても過言では無い状況に突入しています。そんな中、さらなる新たな技術を用いて登場したのがHybrid AirDialogue Hoodieです。

 

中綿素材は、シート状の化繊中綿に切れ込みを入れたベントリックスを採用。行動中は切れ込みが開く事で通気し、止まると切れ込みが閉じて保温するという機能素材。それを濡れやすい部位と保温が必要な部位で封入量を変えています。(脇・袖下・背中はVentrix Insulation 15g、他部位はVentrix Insulation 25g)

 

また、背中の中心線あたりなどの汗をかきやすい場所には裏地にレーザーホールで穴が開けられており、より物理的に通気しやすいように作られています。

 

 

胸元についているポケット内も同様の作りになっており、行動中により快適な環境を作り出せるよう小さな工夫が施されているのです。

 

 

そして、一番の特徴がこちらのエアーチャンバーシステムが搭載されているところ。空気で膨らませるエアーマットの様に、衣服内に直接空気を入れて保温力を上げる為のシステムで、空気の量を微調整する事でその時に適した保温力が作り出せます。確かに、保温力を上げる為には衣服内の動かない空気の層を厚くすれば良いので、考え方としては非常に理にかなっています。

 

 

空気を入れる際には収納袋を兼ねたポンプサックを胸元ポケット内にあるバルブへと装着し、注入します。だいたい2プッシュ程度でチャンバー内は空気で満たされる為、大した作業負荷ではありません。

 

空気を入れるとこの様にパンパンに膨らみます。この膨らみによって空気の層を作り出し、それほど厚くないジャケットの見た目以上の保温力が発揮されるのです。動き出しの寒い時は空気をしっかり入れておき、体温が上がってきたら少しずつ空気を抜いて調整していく…と言った具合に使うのですが、今まで体温調整の仕方はベンチレーションを使うかウェアの脱ぎ着以外に選択肢がありませんでした。そこへ衣服内の空気量を調整するという全く新しい視点から誕生した機能なのです。

 

このエアーチャンバーの形状が非常に絶妙で胸元から肩回りの寒さを感じやすい場所に上手く配置されています。さらには着用時に動きやすさを全く妨げず、腕の上げ下ろしも非常にスムーズに行えます。ちなみにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、AirDialogue Hoodie のエアーチャンバーは取り外しが出来ます。お洗濯の際には取り外して服本体だけを洗う事が出来るので長期山行での使用も問題ありません。

 

服本体への付け外しはエアーチャンバーに付いている白や赤のスタナップボタンを使用します。これにより左右が分かりやすくなっており付け外しがスムーズに行えるように考えられているのですが、正直、初回は若干苦戦します。一回付け外しを経験すれば全容が把握出来るのでその後は手間取る事はありません。

今回、撮影の為にエアーチャンバーを付け外ししたのですが、このスナップボタンが配置されている場所も絶妙で驚きました。かなりマニアックな話になってしまいますが、保温力と動きやすさ、シンプルな付け外しの機構、この全てを高いレベルで実現する為の構造の最適解を導き出す為には相当なトライ&エラーがあったと思います。我々が普段身に着けているアウトドアウェアは既に完成された物が殆どで、着用していて不便を感じる事はあまりありません。しかし、実際のところ縫い方、マチの取り方、ボタンの位置、様々な要素が複雑に絡み合って今の完成形が仕上がっており、その要素の一つが数センチずれるだけで動きにくさが生じたり、デザイン性が落ちてしまったりするのです。今回のエアーチャンバーの配置のされかたや構造に触れて、開発者の方達が相当頭をひねって生み出した形であることを感じました。ここまでの物を、このクオリティーで完成させるのは本当に脱帽です。

 

ポンプを兼ねた専用スタッフサックに入れるとご覧のサイズ。エアーチャンバーが邪魔をして収納しにくいのかな…と思っていたのですが、そんな心配は全く必要ありませんでした。普通のインサレーション系と同じで空気を抜きながらグルグル丸めていけば簡単に収納が可能です。

 

表生地の白い部分には15D Nylon×30D Hard Ripstop Polyethyleneを使用しており、ダイニーマと同等の強度を持った素材でリップストップ加工が施されており、岩場での着用も心配無し。脇下の黒い生地は12D Nylon Stretch素材でクライミング要素の入った動きでもしっかりストレッチして追従してくれます。

 

ちなみに、こちらが空気をパンパンに入れた状態。若干、肩回りがガッチリして見えますがそれほど膨らんでいる感は無いので、見た目の違和感もありません。個人的には登山だけでなく、自転車シーンでも結構使えると思っています。登山同様に動き出しとその後では体感温度が大きく異なりますし、風の有り無しによっても衣服に必要な保温力が変わる為、エアーチャンバーの機能は結構マッチしそう。

 

ホワイトの色味は格好良いけど、ちょっとテクニカルに見え過ぎるなぁ~、と思っていた方。ご安心下さい、ブラックのご用意もございます!正直、値が張るアイテムではありますが、冬の行動中の快適度を上げてくれるのは間違いないアイテムです。極少量の入荷となっていますので、気になる方はお早めにチェックしてください!

本日のブログは松下がお届けいたしました!

 

 

 

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