恒例となりました春と秋のシノギング。今春も無事開催させて頂く事が出来ました。募集開始後、あっという間に定員に達してしまう人気ぶり。シノギングに興味を持って頂いている方が増えて嬉しい限りです。
今回のフィールドは、朝明渓谷の少し下。三重県民の森公園の周辺域。行動範囲の最も標高の高い場所で420m程度と超低山でした。しかし、標高が低いからと侮るなかれ。今回もしっかりと凌いできております。
公園の駐車場に集合した今回の参加者の皆様。シノギング初参加の方からコアなシノラーの方まで。そして、三重県だけでは無く愛知県の豊田や豊橋等の遠方から参加頂いた方も。ありがたい限りです。
歩き出す前に「凌」とはどの様な山遊びのスタイルなのかをデザイナーの柳谷氏からしっかりとお話し頂きます。
続いて低山小道具研究家のモリカツ氏による地図読み講座。地形図の基本的な読み方やコンパスの使い方をレクチャー頂きました。
北西や南南西、西北西等、様々な方向を向いて見てこれから進むべき方角を確認します。ここまでで約40分程。歩き出しそうで中々歩き出さない。もはやシノギング名物となっていますが、遊び方の本質を知り、理解する為にも非常に大切な事なのです。
しっかりと方角を確認したら、雨上がりの中、公園の中を歩き出します。ギリギリまで当日の天気予報は雨天だったのですが、朝には雨が止み暑くもなく寒くもない丁度良いぐらいの気温となりました。ただ、一つ心配なのが、この湿気によって確実に蛭の活動が活発になっていることですが、ヒル下がりのジョニー■を携帯しているので、もしもの時でも対策は万全です。
途中の展望台でモリカツ氏の双眼鏡で周囲をチェック。日常で双眼鏡を使う事って中々無いので意外と新鮮で、地図と照らし合わせてみたりすると結構面白いんです。
いよいよ、地図を頼りに登山道を外れだします。植樹された森は比較的歩きやすいのですが、モリカツ氏曰くヒノキ林はぬめった地質になりやすいとの事。落ちた葉っぱが崩れやすい特徴を持っており、地面に堆積すると踏んだ際にボロボロと崩れ、シューズのグリップを効かせにくいのです。当日、私はINOV8のX-TALONシリーズ■を履いていたのですが、今回のシチュエーションとの相性は抜群で表面の葉っぱが崩れると少し滑るものの、深いアウトソールのラグが下の地面にまでガッチリと届くのでバランスを崩す様な事はありませんでした。
その後も地図とコンパスを頼りに進んでいきます。この辺りから蛭がチラホラ見られるようになってきました。場所によっては2~3匹いたりするので足早に進みます。
その後、本日の核心部となる急登に。落ち葉が堆積した斜面は足が取られやすい為、慎重に登っていきます。
木の幹や根を掴みながら急斜面を凌いでいると、こんな場所にも蛭が…。逃げ場がないうえに下手に急ぐ事も危険な為、ジョニーを靴周りに噴霧して何とかやり過ごします。
急登と蛭地獄を抜ければ、本日のお目当てのハンモックスポットに到着。この広葉樹の森は日当たりと風通りが良いのでノンビリするのには絶好の場所。しかし、今回ばかりはこの風通りの良さが仇となりました。予想以上に風が強く、さすがにベースレイヤーでは寒く感じます。ハンモックスポットまでは、あと少し歩くのでサコッシュからクナド■を取り出して寒さを凌ぎました。
休憩場所に着いたらモリカツ氏によるロープワーク講座。複雑に思いがちなロープワークをとても簡単、シンプルに教えて頂きました。
合わせて簡単に格好良くタープを張る方法もレクチャー。やっぱりタープはテンションがしっかりかかった状態が格好良いな~と感心しているのもつかの間。何やら左足の脛が痛痒い…。いや、ここは日当たりが良いし、まさかそれは無いでしょう…とパンツの裾を捲ってみると、見事に膨れた蛭がいました。ジョニーを噴霧すると数秒でポロっと落ちました。無理矢理剥がすと口が皮膚に残って化膿したり、血がより止まりにくくなるのでご注意下さい。
蛭にやられたぐらいでは私のテンションは下がりません。その後は、柳谷氏にハンモックの設営方法を教えて頂き、各々の好きな場所にハンモックを張ってノンビリと過ごします。
それぞれの時間軸で、まったりと。時折強く吹く風が少し寒く感じましたが、皆が特別な時間を過ごせたと思います。
そして、この間にこっそり開催されていたモリカツ氏による恒例のナイフ教室。今回はナイフのロック機構に関してのお話し。安全にナイフを扱う為にロックの構造は非常に重要。とてもマニアックな話を聞けてナイフ好きな私は大満足でした。
他にも、メタルマッチの使い方講座や
油を多く含んだよく燃える木の見つけ方等、低山ならではの遊び方を教えて頂きました。
ちなみに私は、この時に見つけた木を頂いてFIREBOX GEN2■でご飯を炊きました。よく燃える木+風の力で着火から、あっという間に高火力。つやつやの炊き立ての白米で納豆ご飯を頂きました。外で食べると何でも美味しく感じるのですが、作る工程で現地調達した物を使うと楽しさも増して良いんですよね。ちなみに灰は横に置いてある空のお茶缶に入れて持ち帰っています。
のんびり過ごしたら、下山します。勿論、帰りも地図とコンパスを持って進みます。なるべく急ではない緩やかな斜面はどの方角にあるのか。そこ目指して歩いていきます。
下りも場所によっては落ち葉に足を取られてしまうので、一歩一歩慎重に。勿論、とこどころに蛭達が頭を振って歓迎してくれていたのは言うまでもありません。
広葉樹の森を抜けると何度か渡渉ポイントが出現。普段は少量の水しか流れていない場所なのですが、前日の雨によって水量が若干増えていました。渡るのが難しそうな場所は石を運んで簡易的な橋を作ったり、その場その場で臨機応変に対応します。
しばらくすると、登りで使用していた針葉樹の森に到着。ここから公園まではあっという間。山から下りてくるこの瞬間は、いつも名残惜しさを感じます。とてもハードな山行で、二度と同じ道は歩くもんか!と思ったりしていても下山の終盤には、やっぱり良いトコロだったな…もう一回来てみようかな…と思ってしまうのは私だけではないはず。
そして、忘れてはいけない記念撮影。シノギングの記念撮影は笑ってはいけません。なぜなら僕たちは真面目に凌いでいるから。地図とコンパス、自身の対応力を用いて低山と真剣に向き合っているから。遊びだけど、軟派では無いんです。本気で遊んでいるのです。
下山後、参加者の皆様がシューズの中を確認すると蛭がポロポロ出てきました。やはり、雨上がりの鈴鹿山脈は強敵です。参加頂いた皆様、今回に懲りず、またの参加をお待ちしております。
シノギングにご興味をお持ちの皆様、スタッフ松下へお声かけいただければ、その魅力を全力で語らせて頂きます。
最後に、低山小道具研究家のモリカツ氏より教えて頂いた小ネタをご紹介。皆様、日本の古地図がスタンフォード大学に保存されているのをご存知でしょうか。第二次世界大戦の敗戦後、当時の地図がGHQによりアメリカに渡り保管されているのです。しかも、データベースで閲覧する事が出来ます。
こちらは、当時の御在所近辺の地図、よく見ると麓に「千種陸軍演習場」の文字が。これまた面白い物を知ってしまいました。この古地図と今の地図を照らし合わせながら山を歩いてみるのも楽しそう。
本日のブログは、どんどんディープな低山遊びに傾倒している松下がお届け致しました。