先日のお休み、ハンモックを持って鈴鹿山脈のタケ谷へ紅葉を見に行ってきました。ピークは過ぎてしまっているようでしたが、まだまだ綺麗に色づいている木々も残っていてノンビリと低山の秋を満喫してきました。
体感温度は歩いていると丁度良かったり、少し汗ばむ程度のこの季節。止まって休んでいると寒く感じて何かとレイヤリングに困る時期でもあります。特に汗の濡れ冷え対策は重要。ドライレイヤーを着て対策できる部分ではあるのですが、物理的に一枚重ねる事になるので保温力が少し増してしまうのも事実。特に暑がりな方だと、より発汗を促進してしまう事になってしまう事も。
そんな問題を解決してくれる高機能ベースレイヤーが少し前よりノースフェイスから登場しています。
THE NORTH FACE Expedition Dry Dot Zip High ■
過去のブログでもご紹介させて頂いた事もあるのですが、私自身が試して非常に良かったアイテムでもある為、再度ご紹介させて頂きます。元々は、行動時間や運動量が多い遠征や、気温や天候変化が激しい高所での着用を想定したテクニカルベースレイヤーです。これだけ聞くと「あれ?自分にはオーバースペックなのでは…。」と思ってしまいがちですが、そんな事はありません。冬の低山域から夏のアルプスまで非常に幅広く活躍してくれるアイテムです。
生地の構造に機能の秘密が
では実際のところ、どこがどの様に高機能なのかと言うと、生地の構造に秘密があります。写真左側のグレーの生地は裏側(肌面)にあたるところ。写真右側のブラックの生地は表側にあたるところになります。同じ一枚の服でありながら、裏表で生地の色が異なるのです。そして、異なるのは色だけでなく生地が持つ特徴も変わります。裏側(肌面)には撥水加工を施したポリエステルを使用する事で汗の濡れ戻りを防ぎ、表側の生地が外側へ水分を引っ張り上げて大きく拡散し素早く乾かすのです。
つまりは、生地が二重織りになっているのでドライレイヤーを重ね着した状態を一枚で作りだせるというわけです。しかし、ここで疑問に思うのが「生地が二重織りになっているなら、結局ドライレイヤーを重ね着しているのと暑さの感じ方は同じじゃないの?」というところ。
そこは、ご安心下さい。光に当てると写真の様に薄い生地組成になっているので、二枚重ね着している様な空気の層は殆ど生まれません。ドット状に薄い部分が作られているので通気性は高い部類に入ります。そして、このドットにも重要な機能が備わっています。
肌面がかいた汗はドット部分が橋渡しとなって表面へと急速に引き上げられ、拡散されます。ただ単純に生地を二重織りにしているだけではなく、水分の移動ポイントまでちゃんと作られているのです。この構造が非常に優秀で想像以上に汗を外側へと運んでくれます。
生地機能を実験
では実際に、この二重織りの生地がどれぐらいの働きをしてくれるのか。実験器具を用いて試してみたいと思います。写真の道具は商品に使われている生地を張った物でこの上に汗に見立てた水滴を落としてみます。
裏側(肌面)の生地、中心部分へスポイトで水を一滴。垂らした直後は写真の様に水滴を少し弾いていました。一瞬、あれ?となるのですが、ここから驚きの動きが。
水分の橋渡し役を担っているドット部分から一瞬にして水滴が吸い込まれていったのです。写真中心部分が少しだけ濃くなっているのがお分かり頂けるでしょうか。ここから水分が排出されたのです。
そして、表側の生地を見ると…中央あたりが薄っすらと濃くなっています。水分が外側へ移動している証拠です。少し分かりにくいので写真を加工してみました。
如何でしょうか。中心部分が色濃くなっているのがハッキリと分かります。しかも、垂らしたのは水一滴だけ。肌面に落ちた一滴の水を見事に倍以上の面積に拡散しているのです。水分を早く蒸発させるには空気と触れる面積を広くする必要があります。一滴の水分をその場に留めておくのではなく、面で広げる事で沢山の空気を触れさせ素早く蒸発させるのです。
速乾性に優れているのは、これで実証されました。次に気になるのは濡れ戻りはどうなのか?というところ。そこで乾いたティッシュペーパーを裏表両方へ当てて、軽く指でトントンと押してみました。
裏側の結果は、この様に。一滴の水滴では、見た目の変化は全くなくティッシュペーパーは新品同様。
表側は、明らかにティッシュペーパーが水分を含みました。この結果から水分を外側へ引っ張り出し、内側への戻りを防いでいる事が分かります。
これは、かなりの高機能。しかし、ここまで高機能であるからこそ様々なシチュエーションでの使い心地が気になるところ。と言うことで、滝汗の様なダクダクに汗をかいたらどうなるのか?を実験してみます。
まずは、生地の裏側(肌面)に、これでもか!というぐらい水滴を垂らします。「滝汗想定」ですから惜しみなくポタポタと。
しっかり垂らして表側を向けると、生地が吸い取れなかった水分が実験器具う下の木材にまで達していました。表側の生地も目に見えて濡れているのが分かります。これだけ水分を含ませれば滝汗状態と言えるでしょう。
裏側を確認してみると、一滴垂らした状態とは比べ物にならない程、水分を吸った後が見られました。指で触っただけで分かるぐらい水分を含んでいます。表側の生地がオーバーフロー状態となり、水分を外へ排出出来ない状態になるとさすがに肌面に残ります。どんなベースレイヤーでもそうですが、生地の乾きが追い付かないと肌に水分が残ってしまうのです。ただ一つポイントとして言えるのが、滝汗を掻いて水分がオーバーフロー状態になったとしても、肌面には撥水性を持った生地が配されているので肌へピタっとくっついて動きにくさを感じたり、不快感を感じる事が少ないということ。この部分は、私自身もフィールドで試して実感しています。
少し汗ばむ程度であれば、しっかりと濡れ戻りを防いでくれて、滝汗を掻くような時であれば動きにくさを防いでくれる。どちらのシチュエーションでもしっかりと機能を発揮してくれるので夏の高山域から冬の低山まで、幅広い遊び方で使えるアイテムと言えます。
【モデル身長:163cm 体重:55kg Size:S Color:K を着用】
これからの冬の季節には「汗をかかないペース」で登るのが大切ですが、全く汗をかかずに終わる登山は中々ありません。暑さ寒さの感じ方が人によって違う様に、汗の掻き方も人それぞれですから。冬でも比較的発汗量が多い方には、Expedition Dry Dot シリーズのアイテムはおススメです。今季は同素材を用いたタイツ (■)も入荷していますので、「寒がりだけど汗っかき」という方はチェックしてみてくだい。
本日のブログは松下がお届けいた