先日の、LIVE STORE(■)でも少しご紹介させて頂きましたが、Teton Bros.と登山メディア「PEAKS(ピークス)」とがコラボし、夏の縦走登山に対応したスペシャライズドモデル「Tsurugi Lite AP」という製品が急遽発売する事になりました。
正直、このような製品が発売されるとは聞かされておらず、SNSで知った時は、自分もイチTeton Bros.ユーザーとして驚いた事と興奮した事をハッキリ覚えています。
その情報を見てから数時間後に、Teton Bros.のボスでもありデザイナーでもあるノリさんから僕の携帯に電話があり、「BLACKのみだけど一部のディーラーさんで展開できるのでmoderateさんどう?」という、最高のお話を頂き、即答で「是非、お願いします!」と入道ヶ岳の山頂から返事をしたのがつい先週の水曜日の事だった。
この記事の概略として
「Tsurugi Lite Jacket」に「Tsurugi Jacket」のギミックをアドオンして誕生した「Tsurugi Lite AP」
既に、SNS等で製品の情報は出回っているので、おさらい程度にご紹介させて頂きますが、その前に、大前提として「Tsurugi Jacket」と「Tsurugi Lite Jacket」の違いを完結的に整理すると。
《Tsurugi Jacket》
- 当初アイスクライマー向けに作られた冬のハードシェル
- Tsurugi Lite Jacketが発売されるようになった今も尚、オールシーズン用のハードシェル(レインウェア―)として使うユーザーも多い
- 基本、秋冬シーズンにしか発売されない
- 21/22シーズンより防水透湿素材にTasmaを使用
《Tsurugi Lite Jacket》
- トレイランナー、ファストハイク系ユーザー向けのデザイン
- Tsurugi Jacketに比べ、少しタイト気味な作り。
- 基本、春夏シーズンにしか発売されない
- 21/22シーズンより防水透湿素材にTasmaを使用
《補足として》
過去には、「Tsurugi Jacket」と「Tsurugi Lite Jacket」とで防水透湿素材(メンブレン)を変える等を行い、夫々の特徴をより明確にしていたシーズンもありましたが、昨年の秋にTeton Bros.オリジナルの「Tasma(タズマ)」が登場した事により、今は共に防水透湿素材(メンブレン)その「Tasma」で統一。これは、「Tasma」の誕生により、わざわざシーズンに合わせてメンブレンを変えずとも、夫々のシーズンで一番に求めていたモノを1つのメンブレンで実現出来ているという、Tasmaの凄さを物語っているのだと考えらえる。
Tsurugi Lite APとTsurugi Lite Jacketの違い
Tsurugi Lite APの「AP」はアルパインの意味。
その名の如く、Tsurugi Lite Jacketをベースにアルパインエリアでも活躍出来るアイテムとなり、基本となる素材・サイズ感等は「Tsurugi Lite Jacket」がベースとなります。それらをベースに、秋冬に登場する「Tsurugi Jacke」の要素(ギミック)を足したモデルがTsurugi Lite APとなります。
以下の写真では、「Tsurugi Lite Jacket」と「Tsurugi Lite AP」の違いをご紹介させて頂きます。
フードの違い
(左:Tsurugi Lite AP / 右:Tsurugi Lite Jacket)
通常Tsurugi Lite Jacketは、トレイランナーやファストハイカー向けに作られており、ヘルメットを被った上からフードを被るサイズ設定にはなっていません。
今回、新たに発売されるTsurugi Lite APは、アルプス縦走を含めヘルメット装着シーンが増える事を想定とした「ヘルメット対応型のフード」になっています。
また、雨天時にフードを被った時でもしっかり視野が確保出来るようにと、ツバも大きくなり、そのツバの中には樹脂製のバーが内蔵されている為、しっかりとヒサシの役割を果たしてくれます。
更には、荒天時に首周りからの雨や風の侵入を防ぐにように、フード周りのドローコードもピッタリとフィットするシステムを採用。また、このシステムはリリースも非常にスムーズなのも特徴のヒトツ。
(左:Tsurugi Lite AP / 右:Tsurugi Lite Jacket)
ドローコードの違い
ジャケットのドローコードは、「Tsurugi Lite Jacket」と「Tsurugi Jacket」で変更している事はご存知でしたか?
今回発売される「Tsurugi Lite AP」は、「Tsurugi Jacket」のフロント側でのドローコードを採用。これにより、ドローコードの操作をする際に身体を捻る事無く、素早くコードを調整する事が可能に。
(左:Tsurugi Lite AP / 右:Tsurugi Lite Jacket)
一見すると、サイドにドローコードがあることの方がデメリットに思われるかもしれないが、スピーディーに動いたり走りながらであれば、間違いなくサイドにドローコードがあった方が、引っ張る作業としてはあきらかにスムーズであり、ここは、ある程度の好みが出そうなポイント
ハンドカフの違い
軽量化と腕まくりのしやすさ等から「Tsurugi Lite Jacket」は、ベルクロ袖をやめコールゴム(袖口がゴム袖)仕様となっており、ランナーや高い心拍数で動くハイカーからは高い指示を受けていた。その一報で、荒天時に袖口が上を向く体制が続くと、多少なりと袖から水の侵入があった。
そこで、今回のTsurugi Lite APでは、Tsurugi Jacketでも採用されているベルクロの袖口を採用。これにより、重量増や、腕まくりのしやすさをトレードオフに、荒天時の袖ぐりからの水の侵入を最小限に抑えてくれる事となる。
(上:Tsurugi Lite AP / 下:Tsurugi Lite Jacket)
あなたは、どっちのLiteを選びますか?
と、いう事で、これまで夏山アルプスを楽しむ「ハイカー」の方で、レインウェアーの軽量化・高透湿を求める方には、Teton Bros.の「Tsurugi Lite Jacket」と言う選択肢があった中に、更に、このタイミングで「Tsurugi Lite AP」が選択肢に加わる事で、迷いのループにハマる方もいらっしゃると思いますが、個人的には、至ってシンプルに考えて頂ければ良いと思っています。
メインに使用するシーズンは?
山に入るスタイル(遊び方)は?
個人的にはこの2つの質問が、その答えを出す大切な要素だと思っています。
「新しく発売されたAP!なんか良さそう!!」
と、トレイルを走る事メインの方が、もし、そのように思われたのでであれば、正直、今回のAPよりも袖まくりがしっかり出来るLiteの方が良いかもしれません。
既に、Tsurugi Jacketをお持ちの方で、重量・コンパクト性により明確な差を出すなら、例えば、同ブランドが出す「Feather Rain Full Zip Jacket(■)」の方が、ご自身のレインウェアーのラインナップが広がり、山行に合わせてレインウェアーをチョイス出来る選択肢に幅を持たすことが出来るとも考えられます。
正直、1着のレインウェアーに多くの方が、「軽くて・頑丈で・コンパクトになって・蒸れなくて・カッコよくて」と、沢山の事を求めますが、その望むことを全て高い数値でクリアするモノは殆どありません。むしろ、何かヒトツに突出して作ったモノが世の中にあれば、それには必ず負けることは分かってるのに、それを同じぐらいの機能を求めてしましう。何度も書きますが、全てにおいて高い数値でクリアするモノは殆どありません。
だからこそ、自分の感じるストレスを知り、そのストレスを消してくれるアイテムは何なのか。自分が一番楽しみたいと思える遊びのスタイルは何なのか、それに、適した道具は?
難しいかもしれませんが、兎に角、自分ベースで必要なモノは何か見極め、更には、可能な限り道具もウェアーも幅を持ち選択肢を増やすことで、様々なシチュエーションに対応出来る準備をしてみては如何でしょうか。
正直、今までにありそうでなくて、絶妙に痒い所に手が届いてる製品「Tsurugi Lite AP」ご自身にとって、必要なアイテムかの見極めを、是非、明日(4/29)からのmoderateの店頭でチェックして頂ければ幸いです。
投稿者:飯田