今季より、商品名が変わった山と道のメリノウールアイテム。勿論、変わったのは名前だけではありません。メリノウールの優れた抗菌防臭機能や汗冷えの感じにくさ、調湿機能や肌触りはそのままに、更なるアップデートがかけられました。
この記事の概略として
【アップデートポイント】
①糸の見直し
新たなオリジナル生地は、糸や編み地の構造分析を行い、1本の糸からなる「単糸」で製造されています。撚糸工程から見直すことで糸の太さをなるべく均一に仕上げており、この工程がベースとなり、次の安定性が実現可能になります。
②優れた安定性と洗濯耐性
メリノウール製品の弱点である「洗濯による縮み」を最小限にするべく、尾州の開発チームと共に研究を重ね、通常ウールニットの仕上げ加工では行われないタンブラー乾燥が加工工程に組み込まれています。この工程で生地が締まり、洗濯による縮率を安定させてくれるのです。
③タンブラー乾燥機の使用が可能(低温に限る)
製品サンプルを検査機関で洗濯と乾燥機での低温乾燥を30回繰り返した結果、縮率は安定しており乾燥機の使用(低温に限り)が可能となりました。乾燥機にかけても柔らかな風合いは変わらず、気心地が大きく変化してしまう心配もありません。ただし、自然乾燥と比べると乾燥機の使用は製品に負荷を与えるので多用すると製品寿命を縮めてりまう事もあるので注意が必要です。また、他の衣類と纏めて乾燥機に入れるとシワが付いてしまう事もあるので、単体での乾燥機使用をおススメします。
アップデートが加わって、非常に良くなったメリノアイテム。平均生地重量140-145g/m²だった従来のLight Merino生地と比べ重量165-170g/m²と若干厚手となり、保温性も向上しています。これにより、気温差が大きな環境や、行動時間の長い長旅での使い勝手も非常に良くなっています。ここからは、今季moderateでお取り扱いのあるモデルをご紹介させて頂きます。
100% Merino Light Kangaroo Pocket
商品名の通り、お腹周りにポケットが付いているTシャツタイプのメリノウェア。横幅はユッタリめのワイドフィットとなっており、ベースレイヤー特有のピタピタ感はありません。
ポケット部分は生地が二重になる事で保温力を発揮してくれます。ポケットに中に地図や手ぬぐいを入れる事で、より保温力をアップさせる事も可能です。低温化のテント泊の際にはポケットに携帯電話を入れておけば低温による電池の消耗を防ぐ事も出来ます。
【モデル身長:約163cm 体重:約55kg Size:S Color:Gray Marl を着用】
個人的に一番注目度が高いのが、このカンガルーポケット。お腹周りを冷やさない事によるメリットが非常に大きいのと、やはり日常でもゆるく着られるシルエットが良いんです。アルプス級の様な高山域では日陰に入ったり、風が吹くだけでも大きく体感温度が変わりますし、都市部でもエアコンの聴いた室内では肌寒く感じる事も。そんな時にポケットへ手持ちのハンカチや小物を入れる事でお腹まわりの冷えを防げるのは非常に機能的と言えます。
【写真はColor:Navy の生地】
生地自体が厚くなっているとはいえ、日光にかざすと光が十分透ける程度なので、真夏の高温多湿な低山でなければ年間を通して気持ちよく着られそうな生地感です。
100% Merino Light Crew Neck
シンプルなデザインで使いまわしがきくクルーネックは、カンガルーポケットよりも少し細いスタンダードフィットとなっています。上にシャツやウィンドシェル等をレイヤリングした時にゴワツキも少ないので、マメに脱ぎ着をして体温調整したい方におススメ。
【モデル身長:約163cm 体重:約55kg Size:S Color:Navy を着用】
カンガルーポケット程カジュアルにならないので、俗に言われる細身のストレッチの効いた山パンツとも相性が良さそう。メリノシリーズの中では最も形がプレーンと言えるので合わせる他の服で悩む事も殆どありません。山と道のアイテムを始めて購入頂くお客様はパンツやバックパックをお買い上げ頂く事が多いのですが、100%Merino Light Crew Neckも最初の一点にはおススメです。今お手持ちの装備の中に混ぜ込んでも違和感なく使って頂く事が出来ますよ。
100% Merino Light Sleeveless
ありそうで中々無い。暑い夏でも快適にメリノウールを着られるスリーブレスタイプ。袖が無いだけでも体感温度は大きく変わるので、夏場の登山やハイキングだけでなく、ランニングやトレイルランニングの様な強めの有酸素運動をされる方にもススメ。
【モデル身長:約163cm 体重:約55kg Size:S Color:Gray Marl を着用】
メリノシリーズの中ではタイトめなスリムフィットとなっているので、少し身体のラインに沿った形になります。ありそうで無いメリノウールを使用したスリーブレスウェア。夏場の山行で重宝する事間違い無しのアイテムです。長時間の運動の際にはウールの抗菌消臭機能が活躍してくれるので、ノンビリ走るLSDトレーニングの時にもおススメです。
100% Merino Light Tank
スリーブレスよりも、もっと涼しく着たいならタンクトップがおススメ。この手の形状で涼しさを求めるのであれば、化学繊維一択でした。そこへ登場したメリノウール生地のタンクトップ。スリーブレスだけでなくタンクトップまでラインナップしてくれるところが山と道らしいところ。
【モデル身長:約163cm 体重:約55kg Size:S Color:Charcoal Marl を着用】
実は、私も初見した時は懐疑的な気持ちを持っていました。「メリノウールでタンクトップを作る必要あるの?」…と。しかし、試着してみるとイメージが180°見事に変わりました。単純に涼しくて気持ち良いんです。肩回りから脇にかけて肌の露出が増える事で涼感が増し、着ていてメリノウールの重量感や生地厚感も気にならない。そのまま走りに行きたくなるぐらいの気心地の良さがあります。
【写真奥:100%MerinoTank 写真手前:100%Merino Sleeveless】
スリーブレスとタンクトップでは脇下の開き具合も微妙に違うので、タンクトップの方がより開放的に感じられます。肩回りの露出が増える分、肌の弱い方はパックのショルダーベルトと肌が擦れて痛くなってしまう事があるかもしれないのでご注意下さい。空気の流れを感じて、涼感を得ながらトレイルを歩きたい。そんな方に是非お試し頂きたいウェアです。
過去のメリノウール製品では縮んでしまう事もあったのですが、今回の新たな生地は安定性が非常に優れているので、期待大。(洗濯により縦に1.5cm、横に1cmほど縮む場合もありますが計算のうえ製造されています。)何よりも、糸そのものから見直しを図り、様々なプロフェッショナルな方達と共に理想を求めて研究開発を行う姿勢に脱帽です。今回の生地に辿り着くまでに私たちの想像を遥かに越える苦労があったと思います。妥協しないモノづくりの先にだけ、良いモノが出来上がる。それを体現しているのが今回の100%Merinoシリーズと言えます。
本日、8月30日(月)の21時より当店オンラインショップでも販売が開始致します。既にカラー・サイズが欠けてしまっている商品もございますがチェック頂ければ幸いです。
THREEやMINI、MINI2の再販も同時に行わせて頂きます。気になる方は、是非是非。
本日のブログは松下がお届け致しました。