SDAクロスマウンテンバイクin王滝100k 出場してきました。

拝啓

レーススタート約1時間前にウェアーを悩んでいた自分へ

あなたがセレクトしたウェアーは、比較的に問題のないベストに近いセレクトでしたよ。

ただ、問題はウェアーではなかったという事。


SDAクロスマウンテンバイクin王滝100k 出場してきました。


SDAクロスマウンテンバイクとは?

Power Sportsが運営するマウテンバイクレースの一つ。
SDAとは、セルフディカバリーアドベンチャーの頭文字をとった呼び方。その意味より、基本的にレース中に関門に引っ掛かたり棄権したとしても、自力で帰ってこないといけない名前通りのレース。

本来9月の3連休の時に開催されるレースにエントリーしていたのですが、まさかの台風でレースが中止となり今回の11月に延期。例年であれば、多少寒さはあるものの、紅葉の見ごろのピークを過ぎた王滝を気持ちよく走るイメージでしたが、まさかの寒波で大荒れ予想。前日まで開催が危ぶまれる中、ワンウェイで100kを走るコースを、17kを5周走るという周回コースに内容を変更して開催される事に。


寒気の影響でコースが変更!それがポイントだった!

・ドロップバックを置く事が可能になった
本来であればワンウェイのコースの為、自身の戦略で装備を携行してレース参加するところ、周回コースになったことでチェックポイントにドロップバックが置ける事になった。

これに関しては、寒さ対策のアイテムや17K分以外のエネルギーが置いてけるので、結果的に軽量化が出来た。

・心が折れやすい(笑)
これは、私だけかもしれませんが、同じコースをグルグル回るのは単調的で少し心が折れやすく、また、チェックポイントに戻って来た時点で、体力的に厳しければ甘い誘惑に負けて棄権する事も可能という点・・・。逆を言えば、危険な部分へのリスクヘッジがしやすいというのもポイント。


距離よりも制限時間。制限時間よりも寒さが怖かった。

9月から乗り始めたMTB。多度を中心に休みの日はライドを楽しみ、レース直前には、仮想王滝を想定して100kも走ってみた。累積標高は500m程足らなかったから、数字だけで言えば、ギリギリ制限時間内に完走出来るのではと、距離・時間に関しては、なんとななるかも!?と思っていましたが、この寒波が本当に怖かった。

ゲレンデスノーボードからバックカントリー等、氷点下近くの山の雰囲気は、なんとなく分かっているし、トレイルランやハイクやMTB等の運動量の違いによる、ウェアーのレイヤリングもイメージはある。

それらの経験を、頭の中で足し算・引き算をしながら、「もしも」の事も想定して、ウェアーをセレクト。結果的に、セレクトしたウェアーは、スタートから最後まで、ウェアーを脱ぎ着する事無く、ジッパーの開け閉めと等で温度調整が出来たので本当に正解だったと思う。

■11月 SDA王滝 100Kのセレクトしたウェアー

ベース:THE NORTH FACE / パラマウントウールタンク
ベース:patagonia / Capilene Thermal Weight Zip Neck Hoody
JKT : ARC’TERYX / ATOM SL HOODY
パンツ:MHW / ウィンドストッパー系タイツ
レイン:OMM / Kamleika Smock , SALOMON / BONATTI WP PANT

ATOM SL HOODYはウィンドシェルに極薄の綿が入ったアイテムで、絶妙な保温力と抜け感があり、寒い時の行動着としては非常に良いアイテム。
 Capilene Thermal Weight Zip Neck Hoodyも、バラクラバ仕様のフードがネックウォマーとビーニー兼ねる事が出来るのでコチラもセレクトとしては非常に良かった。

ただ、問題はウェアーではなかった・・・・。


手足が完全にヤラレタ

スタートの朝6時時点で気温は氷点下近く。スタートの合図を待つ時は少し肌寒ものの、動き出せば問題ないと・・・・。

ところが、スタートかトレイルに入るまでの約4kの序盤の下りで、その事態に気が付く・・。

「手先・足先が既に耐えられない!」

バイクに乗りながら、一気に手足の先が冷えていく。手は、ハンドルは握れなくなるが、グローブの中で無理やり拳を握ればなんとか対応出来るが、足先は対処の使用がない。

もともと、ウールのソックスだけで走ろうと思っていたが、コースの途中の路面状況を考えれば、防水の対応をしておいた方が良いと、スタート直前に、GOREの防水ソックスを履き足していたものの、それでも間に合わないレベル。(そもそも、中に履いたソックスが薄すぎたか・・・)

トレイルに入る頃には、既に足の指先の感覚はゼロ。


1周17k×5周 制限時間は10時間

単純計算で、1周2時間のペースで走れば制限時間には間に合う。ただ、途中に関門がある。(レースだから当然・・)関門は、4周目に入る時、スタートから5時間以内でなければならない。

危険な香り満点!


周回コースの2/3は泥交じりのガレで残りの1/3は雪だった!

トレイルに入り、長い林道の登りをひたすら漕ぐ。

正直しんどいが、体温も上がり、手先が徐々に温かさを取り戻していく。(足先は一向に良くならない、むしろ、冷えが進む)そして、標高が上がるにつれ泥交じりのガレ林道から、雪道へと変わっていく。

コース上のピーク付近では、踝ぐらいまで雪が積もっていたと思う。

私が乗っているバイク(crazysheep bighorn)は、簡単に言うとフルリジットのセミファットバイク。バイクの素人なりに、この絶妙なタイヤの太さが、今回の雪交じりのコースには非常に良かったのではと思う。


登った後のダウンヒルが、本当はご褒美なのに・・・

山頂付近は確実にマイナス3~5度はあったような気がします。そこから、北斜面を中心にダウンヒルをするのですが、本来ではあれば、楽しいはずのダウンヒルが、兎に角寒い!!

せっかっく、温まった指先も一気に冷えるし、足先に限って言えば、指先だけに冷えに留まらず足先全体が冷える。も~冷えすぎて、感覚が無いのじゃなくて、腫れて痛いぐらい。(シューズと自分の足の境がわからないと言うか・・・)

そして、ようやく1周目が終わる。

すると・・・


全てのモノが凍っていた。

バイクが跳ね上げた泥もバイクのフレームで凍る!

シューズもカチコチ!

ソフトフラスクの飲み口もヤラレタ!!!

僕なんかは、まだソフトフラスクだったので被害は少なかったですが、多くの方がハイドレーションを組んでおり、軒並みホースが凍っており水が飲めない始末!(水が飲めないなら、ただの重りだぁ~って言っている方も。)

チェックポイントではエイドがあり、白湯を貰えたのでダウンヒルで冷えた体を温めるの本当に助かった!

後は、ドロップバックに入れておいた厚手のグローブに変えて、手先の冷え対策は完璧に!

が、足先は本当にどうにもならない。


2周目に突入するが、足先が本当にヤバイ・・・

この冷えの感覚は、今までスキーやスノーボードをしてきても感じた事の無いほどの冷え感。兎に角、直ぐにでも靴を脱いで、手等で足を温めないと本当にヤバイぐらい・・・。

「SNAFU(スナフー)」この言葉が頭に浮かぶ。

僕はレース中や追い込み系をしている時にいつもこの言葉が浮かぶ。SNAFUとはスラングで、正しくは「Situation Normal All Fuc●ed Up」の夫々の頭文字をとった言葉。

第二次世界大戦中に兵士がつかっていた言葉だそうで、意味としては、「状況はいつもの通りめちゃめちゃだ」という自虐表現。

ようするに、こういう状況に直面すると、僕の頭の中では「レースなんだから、こうい状況こそが正常なんだ!」と、自分に言い聞かすように頭に浮かんくる(考えるようにしている)。

まさに、この冷え過ぎたも足先も正にSNAFUな状況。

とは言え、流石に2周目を終えたチェックポイントで、靴下を脱いで手でマッサージしたが一向に変わらず・・・。


3周目に入る前にして、関門に間に合わない事が判明。

スタートから5時間(午前11時)までに、4周目に入ってないと行けないのに、3週目を出る時点で既に10時前。

この時点で、エイドに居る人は奇跡のライドを起こさない限り全員関門に引っ掛かる。それを知って、開き直る人もいれば、だったらとその時点でレースをリタイアする人も。

僕は、足の冷えが全く改善されない事に、心が折れかけリタイヤの文字が過ったが、ファンライドの気持ちで3周目を出発。


ファンライドから商品テストへ

あ!OMMのNEWカムレイカを持ってきているならテストしよう!って事で、コースの脇にバイクを止めてウェアーを着替える。

ただ、流石にATOM SL HOODYの上から羽織るには熱くなりすぎるのではと思い、ATOM SL HOODYの代わりにカムレイカスモックを着用!

これが、本当に良かった。

正直、今回の自分の持ってきたウェアーで一番の正解は、カムレイカを着る事だったのではと思う。

この時期のバイクのトレイルライドは本当に体幹温度の変化の差が酷く、特にダウンヒルでは風でかなりの体温を奪われる。ATOM SL HOODYもストレスは無かったものの、カムレイカを着た時の耐風性の高さから生まれる安心感は格別だった。


初めてのMTBのレースはDNF。

結果、3周目を終えた所でタイムアウトで関門足切りDNF。正直、悔しいがこれが現在の自分の実力。

もう少し、乗り込んでまたリベンジをしたい!

兎に角、新たに遊びだしたMTBで出たレースは、自分の経験知以外の状況がそこにはあり、それらを少し知れた事が一番の収穫だったかな。

レース1時間前に、ウェアーを必死に悩んでいた自分には無かった経験が今回のレースで経験出来た!

「この時期のMTBのトレイルライドは手先・足先のケアが重要って事!」

投稿者:飯田

 

 

 

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