軽さと気心地を両立 FL Trail Peak Jacket & Pants

ここ数年の間にメジャーとなった「防水通気素材」という呼称。レインウェア等に用いられる防水素材の事をさす呼び方なのですが、外側からの水は衣服内に入れず、内側の蒸れを外に出すという機能性から元来は「防水透湿素材」という呼び方がメジャーでした。しかし、防水性を持ちながらも非常に高い透湿性(蒸れを出す機能)を備えている為、防水透湿を越える防水通気という表現が用いられるようになっているのです。

本日のブログにて紹介させて頂く、THE NORTH FACEのFL Trail Peak シリーズのアイテムも防水通気素材を用いたアイテムとなります。

 

ノースフェイスの防水通気素材はFUTURE LIGHTというもので、ナノスピンと呼ばれる製法を用いて作りだしています。とても簡単に言うと超極細の繊維を押し出して、非常に複雑に繊維が重なった大きなシートを作るのです。その生地には数百万個ものナノサイズの穴が開いており、水分子の侵入を防ぎながら空気分子を通す事が出来ます。この構造によって、抜群の透湿性を発揮してくれるというわけです。

FUTURE LIGHT自体は、2019年から登場しており本国(USA)のノースフェイスから同素材を用いたアイテムが登場しています。私自身もトレラン用のジャケットをテストさせて頂き、その透湿性の高さと生地のしなやかさを身をもって実感しました。そして2023年、FUTURE LIGHTを使用したジャパンラインのモデルが遂に登場したのです。今まで日本国内で販売されていたFUTURE LIGHT関連商品は本国より輸入したものでしたが、今季から展開されているモデルは日本人にフィットするよう設計されたモデルに仕上がっています。

 

THE NORTH FACE   FL Trail Peak Jacket ■

トレイルランナーに向けて作られた軽量、高透湿なレインウェア。私がテストさせて頂いていたUSAモデルとの違いで、まず感じたのが軽さ。Lサイズでわずか約125gという軽さを誇っているのです。軽さに振り切ったレインウェアは気心地が損なわれる事が多いのですが、FL Trail Peak Jacketは、そこを犠牲にする事無く軽量化が図られています。

そして、軽量化する為のポイントの一つが自社生産の生地を使用しているという事。

 

裏地を見てみると、シームテープがとてつもなく細いんです。定規をあててみると、約8mm。細くしているのは軽量化目的は勿論、シームテープ部分は防水生地が重なるので透湿機能が落ちる部分でもあります。使用する量が減ればジャケット自体が軽くなるだけでなく、透湿性も上げられるというわけです。

 

そして、相方となるFL Trail Peak Pant ■もJacket同様に優れた透湿性と生地の柔らかさを持っており、走るときにバタつかないひざ下のテーパー設計でランニング中の動きを妨げない立体裁断となっています。

 


【左からFL Trail Peak Pant/Sサイズ  FL Trail Peak Jacket/Sサイズ】

ジャケット、パンツ共に付属するスタッフサックに入れるとこの通り。とてもコンパクトに収納が可能。着用時の快適度、収納力、軽さ、と三拍子揃ったレインシステムとなっています。

ここまでお読み頂くと、全ての防水ウェアを高透湿系にした方が良いじゃん。となりそうですが、そこは時と場合によります。なぜなら「耐水圧」という面ではゴアテックスの方が優れているからです。

登場からずっと根強い人気があるゴアテックス。「完全防水」という部分に重きをおいた機能は、様々なプロユーザーから絶大な支持を得ています。しかし、ゴア社が生産している防水透湿生地は使用するには、一定のルールを守る必要があります。例えば止水ファスナーを使用する場合は、ジッパーガレージを設けなければいけなかったり、シームテープの幅もある程度とらなければいけなかったり。そしてそれは、防水性や耐久性を保証する為のものであり、必要なルールでもあるのです。そこをノースフェイスは、自社生産する事で求めるニーズにピッタリハマるアイテムを作ろうと考えたわけです。

勿論、ゴアテックス等の防水透湿素材は非常に高い耐水圧を持っているので状況によっては、そういった素材が優位になる時もあります。現に日本のノースフェイスはゴアテックスを使用したウェアも作っており、ユーザーの遊び方に合わせてマッチするよう商品が展開されています。どちらを選択するかは、遊びのスタンスと状況に合わせて選んで頂きたいところ。

 

 


【着用モデル 身長:163cm  体重:55kg  Jacket  Pants 共にSize:Sを着用】

今回ご紹介させて頂いている FL Trail Peak JacketとPantは、トレラン向けのアイテム。故に携帯性と高い透湿性が求められるので、FUTURE LIGHTの機能がしっかり活きるというわけです。耐水圧は10,000mm以上、透湿量は50,000g/㎡-24h以上という数値を叩き出しているので、重量と比較しても非常に高いレベルと言えます。

 

勿論、ランニングの動きにしっかり追従してくれて、柔らかい生地は肌当たりも良く長時間着用してもストレスを感じる事も無さそう。個人的に一番嬉しいのがジャパンフィットである事。着丈、袖丈が過剰に余る事もなく適したフィッティングで着用出来る事が重要なんです。折角軽量化されていても、過剰に丈が余っていると、この分をもっと軽量化出来るのでは…と思ってしまうのは私だけではないはず。

 

そして、フードの立体裁断も秀逸。頭にジャストフィットしてくれるので強風に吹かれた際のズレが発生しにくく、ツバには自立するワイヤーが入っているのでしっかり視界を確保したうえで雨の侵入を防いでくれます。こういったフィット感に関しては、実際に着用して頂かないと腑に落ちない部分ではあるので、是非店頭でご試着して頂きたいところ。

なお、軽量系のレインウェアは生地が薄い為、表生地の撥水性が落ちて水を吸ってしまうとその冷たさが直に伝わります。故にマメにお手入れをして頂いて高いレベルで撥水性を維持する事が重要となります。また、撥水しなくなって表地が水を吸ってしまうと透湿性能も大きく低下してしまいます。そういった特徴を理解して頂いたうえで着用頂ければと思います。また、トレラン向けのジャケットでゴアテックスを使用したモデルもノースフェイスから登場しています。そちらは、より高い防水性が欲しい方に向けたものとなるので、また別会のブログにて紹介させて頂きますのでお楽しみに!

本日のブログは腰を痛めている松下がお届けしました。

数年ぶりにコルセットを巻いて店頭に立っております。

 

 

 

 

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