生まれ変わったINOV8のシューズ

0からのスタート。そんな言葉がピッタリ当てはまるのが、今季大きく生まれ変わったINOV8(イノヴェイト)。2003 年にイギリス湖水地方の山岳地帯で設立され、20年以上にわたりシューズを作り続けているブランドで、同ブランドのトレイルランニングシューズやトレッキングシューズを見た事がある方も多いとは思いますが、実は本格的なジムワーク向けのトレーニングシューズまで展開している珍しいブランド。トレーニーなら誰もが知っているGOLD’S GYMでトレーニングシューズの販売会が行われたりもしており、多くのウェイトリフター達に愛用されています。

 

当店moderateではトレイルランニングシューズとトレッキングシューズをメインに展開させて頂いているので、今回のブログはそちらのお話し。アウトドアアイテムやウェア類は大きく分けて春夏シーズンと秋冬シーズンの年2回、大きく商品が入荷します。そして、そのタイミングで商品のモデルチェンジが行われたり、カラー展開が変わったりします。ブランドによってその頻度や変更内容は異なるのですが、今回のINOV8のモデルチェンジ具合は、ブランドが生まれ変わったと言っても過言では無い程の変貌ぶりです。

では、一体どのようなアイテムが生まれたのか。早速ご紹介させて頂きたいのですが、まずは今までのINOV8を知って頂きたいと思います。

 

INOV8と言えばグリップと足裏感覚

INOV8の代名詞と言えば、このスパイクの様なソールパターンと薄いミッドソール。今の様に薄めのベアフットシューズが流行る前から足裏感覚重視のシューズを作り続けているメーカーでもあり、この形が出来上がったのはイギリス湖水地方特有の地面状況が影響しています。雨が降るとぬかるむ場所が多く、シューズに求められたのは柔らかい地面へのグリップ力なのです。私もこのソールパターンを低山域での活動で愛用しているのですが、「地面を掴み取る感覚」をしっかりと味わえるのはINOV8ならではと言えます。

ここ最近は、レースを意識したモデルも展開しており、ハイクッションでありながらも過剰なサポートを入れず、地面を感じながら自然な足の動きを実現させてくれるようなモデルも登場しています。レース向けでありながらもブランドの根底であるナチュラルランの考え方は崩さず、あらゆる地形に対応できるグリップ性も求める作りは、イギリス湖水地方から世界中のトレイルへと活躍の場が広がったが故と言えます。そういった背景もあり、今季のモデルはINOV8らしさと様々なフィールドでの汎用性、この2つの要素を高いレベルで両立させた作りとなっています。

 

 

生まれ変わったシューズ達

MUDTALON MS

ぬかるんだ地面や土の地面等の比較的柔らかいサーフェイスを得意とするMUDTALONシリーズ。私が好きなシリーズでもあるので、今季のモデルを一目見た瞬間に「え!?」となりました。この写真だけでそのポイントに気付く方が見えたら、中々のINOV8マニアです。

個人的に一番大きく変わったと思っているのが、ミッドソール。従来のグリップ効かせる系シューズであればミッドソールを薄くするのが定石でした。しかし、今回のMUDTALONは履いてみると独特のクッション感があるんです。特に店内のコンクリートの上で履いてみると、従来の物と明らかに履き心地が異なります。

 

アウトソールもスパイク状の尖ったパターンでありながら、従来の鋭角では無くブロック状へと変わっており、多方向へグリップが効かせられるようになっています。グリップ力だけで言えば、ミッドソールを薄くして足裏が地面を蹴るエネルギーがアウトソールへ直接的に伝わった方が良いに決まっています。しかし、その状態で数十キロのレースを走りきるとなると話は変わってしまうのではないでしょうか。いくらグリップを効かせられても、足へのダメージが蓄積して想定した距離を行動出来なければ本末転倒。いわばミッドソールの薄いシューズはスポーツカーの様な物で、それなりのドライビングテクニックが求められます。その点、ミッドソールにある程度厚みがあるシューズは、運転しやすいタイプの車になってくるので、多くの人に履きやすいシューズとなるのです。

このMADTALONも従来のモデルと比較して良い意味で少し癖が抜けて、非常に履きやすくなっています。土の上を良く歩く低山域での活動は勿論、雨天コンディションの中長距離トレランレースやオフトレイルをメインで行動するオリエンテーリングやOMMレース等にうってつけのシューズ。ただ、アウトソールのラグが深いので、アスファルトの上を走るとやや不安定感を感じてしまう時もありますが、ミッドソールがブレを吸収してくれているのか従来の物よりは不安定さを感じにくくなっています。

 

アッパー、つま先部分共に強度重視の作りとなっており、ハードな仕様を想定しています。この手のアッパーは、シノギングで時折現れる超ハードな破漕ぎにも耐えてくれる安心感があり、私はオフトレイルを歩くならこのタイプのアッパーのシューズと決めて愛用しています。メッシュ系のアッパーと比べると通気性は負けますが、生地が密に織られている分、小枝等が引っかかる事もなく、いやらしいトゲトゲの藪もガンガン突き進む事が出来ますよ!

 

さらに超嬉しいポイントが、なんとワイドフィットモデルが公に展開となりました。スーパー幅広の私には、とてつもなく喜ばしい事!元々、INOV8はシューズのラスト(幅)を細めのタイプから広めのタイプまで5段階に分けており、グリップ重視系のモデルの多くはタイトフィットでした。故にこのMADTALONがワイドフィットになった事は非常に喜ばしいことなんです。

タイトめが好みな方からすると、前の方がいいのに…となるかもしれませんがインソールを見て頂いたら分かる通り、中足部はそこまで広くないので、ALTRA同様に踵をしっかりフィットさせてシューレースをきちんと締めてあげれば前足部のブレはかなり抑えられますよ。

 

 

 

FRY ULTRA WIDE

先にご紹介させて頂いたMADTALONが柔らかい地面や雨天のレース向けとするならば、こちらのFRY ILTRAはトレイルやアスファルト、硬い岩等の様々なコンディションで対応してくれるタイプ。

 

ソールパターンもMADTALONとは大きく異なり、グラフェン素材を使用したアウトソールは土や泥が詰まりにくいよう設計され、面で捉える部分を多くしている為、平坦なサーフェイスでも走りやすくなっています。ずっとトレイルを歩いたり走り続けるのではなく、途中でロード区間も出てくるような長距離ハイキングや長距離レース等、一足のシューズであらゆる環境に適応出来るように考えてデザインされた、いわゆるオールテレインタイプ。

 

そして、このFLY ULTRAはよりスピーディー、より軽快に走れるFLY ULTRA SPEEDも入荷しております。重量が軽いのは勿論ですが、下記の様にミッドソールの厚みやドロップにも差をつけています。

品名 / 重量(26.5cm) ミッドソール前足部厚み ミッドソール踵部厚み ドロップ
FLY ULTRA / 283g 12mm 18mm 6mm
FLY ULTRA SPEED / 261g 7mm 11mm 4mm

 

重量も結構違いますが、ミッドソールの厚みがこれだけ違うとクッション感や蹴った時のエネルギー伝達力も変わってきます。よりレース志向で走りたい方にはSPEEDがおススメですし、ノンビリと歩いたり、走ったりしたい方にはWIDEがおすすめです。また、この2モデルは足を入れた時のフィット感も異なります。

 

私が履いてみたところSPEEDの方が前足部のフィット感が高いように感じました。幅自体も狭いのかと思いインソールを比較してみましたが殆ど同じ。この履いた時のフィット感の差はアッパー素材と、前足部分の生地の取り方(微妙な形の違い)による物だと思われます。確かにSPEEDの方がより走れるシューズなので足と靴を一体化させてあげた方がエネルギーロスは少なくなるので、理にかなった作りの違いと言えます。一つのモデルでも、2タイプに分けて展開する事でより多くの方の好みやスタイルにフィットしやすくなっているのです。

今までのINOV8と言えば、少し尖ったイメージで玄人好みなモデル(シューズの特性を理解して履きこなす楽しみがある)が多かったのですが、今季のモデルチェンジにより、良い感じに角が取れて履く人の幅が広がりました。INOV8のシューズは気にはなっていたけど、自分には合わないんじゃないかな…と思って履かず嫌いをしていた方にも、是非一度足を入れていただきたい!試着頂き一歩を踏み出した瞬間、「あれ!?思ってたよりも履きやすいぞ!?」となること間違い無しですよ!

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本日のブログは松下がお届けいたしました。

 

 

 

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