走る座禅 ONTAKE100(前編:エントリーからレーススタートまで)

走る座禅 ONTAKE100(前編:エントリーからレーススタートまで)

エントリーの切っ掛け

僕は、昨年(2023年9月)信越110kを走った事で1つの目標が達成。その反動で、軽いバーンアウト状態となっており、自分の中で目標を持って走るという行為が少し弱くなっていた。だから、なんとなく出来た時間でなんとなく走る程度。そんな事だから、心の奥の方では、2024年は信越100マイルにチャレンジしたいと思っているものの、その扉に手を掛けるかずっと悩んでいた。

2023年11月の夜の事。

いつものように、仕事が終わり家で晩酌をしながらSNSを見ていると、ATCストアの芦川さんの投稿が目に飛び込んできた。内容としては、ラン仲間が酔った勢いで?お酒を呑みながら?皆でONTAKE100にエントリーしている事を楽しげに書かれた内容だった。

 

「ONTAKE100か・・・・」

 

勿論、レースの存在は知っているが、それを走ろうとは何故か考えた事がなかった。

ただ、芦川さんがアップした内容に近しい状況で、携帯を手に持つ僕は、その投稿の中の方々と同じような挙動で気がつけばONTAKE100にエントリーしていた。

 

エントリーした理由として、レースは8ヶ月後だし、スノーシーズンが終わってからちゃんとトレーニングを始めれば間に合うでしょう。(←考えがいつも甘いww)そして、ONTAKE100の時に、信越110kを走った時の身体に仕上げておけば、その先にチャレンジしようか悩んでいた信越100マイルが現実的になってくる。

そんなプランを、酔った頭と気持ちで考えた。

 


走る時間を作る難しさ

 

エントリーしてからしばらくして雪のシーズンが始まった。エントリーした時の気持は深い雪の中に埋り、気にはしていたもののずっとそのまま放置。

 

季節も変わり、雪解けが進むにつれてONTAKE100にエントリーした時「チャレンジの気持ち」が、時間という酵母によって「焦り」に変わり、雪の中から顔を出してきた。

僕は、その焦りを誤魔化すように、色々な方と走る機会を設けては、その気持ちを払拭しようとするものの、意思が弱い僕は「走る時間」を作り出すことに苦戦していた。

 

月日がどんどんと過ぎて気がつけばGWも過ぎ、ONTAKE100のレースまで2ヶ月を切ろうとしていた。

 

僕たちの仕事はGWを過ぎると、来年の仕入れの為の展示会という仕事が増えてくる。通常のお仕事をしながら展示会の為に東京等に出張をして、そして、出張から帰ってこればオーダー作業を行うという流れになる。因みに、オーダー提出期限は、だいたいが展示会から1週間後であり、その1週間後には別の展示会で、また、出張になるパターンとなり、このルーティンが約1ヶ月ぐらい続く。

 

とは言え、もう何十年もやってきている仕事だから、これを熟す事は他愛もないこと。

 

ただ、ここに「レースに向けたトレーニング」という内容で走る時間を作ろうとすると、身体と気持ちが付いてこない。この状況に置かれて初めて、仕事をしながらトレーニングをしてレースを完走する人たちの凄さを知り、自身の自己管理能力の低さを痛感した。それと同時に、レース時期によってトレーニングの為の時間の作り方の難しさがあるという課題に気がつけた。

 


つまらないレースだよ。

ONTAKE100を走った事がある方に聞くと、割との確率でこんなフレーズが返ってくる。ただ、そこには逆説的比喩があったりして、独特の面白さがあるということを言いたいのだと思って僕は情報を集めた。

 

コースは、通常立ち入りができない王滝村国有林内の林道をレースの為に開放して走らせてくれる。実際に走ってみると、それは非常に素晴らしい事で、場所によっては針葉樹の原生林のような所も通れるので、景色的な醍醐味もある。が、コースは基本林道の為、アップダウンの激しいトレイルランニングらしいコースや、落ち葉で敷き詰められた広葉樹の原生林を走るというよりかは、ロードシューズでも走れそうな林道を、ただただひたすらに走るという感じ。

故に、コースの起伏や景色的なバリエーションも少ない為、ずっと同じ所を走っているような感じになってくる。

これが、「つまらない」と言われる由縁か・・・。

 


夜中の0時にスタート。

 

レースは2024年7月13日土曜日から14日の日曜日に日付が変わる夜中の0時にスタートとなる。その為、選手受付は、レース本番前日の土曜日のお昼すぎから行われる。

 

大体の方のスケジュール感でいうと、土曜日の適当な時間に会場入りして、受付を済ました後に車や宿などでレースに向けて仮眠をとるというパターン。

 

食事等は、レース会場にキッチンカー等もあるのでそこを利用するか、近くに食べる所が無い為、事前にコンビニ等で買い込んでおいたモノを食べるか。

 

僕は、土曜日の17時ごろに到着する感じで自宅を出発。レース会場近くのコンビニ等は品薄になりやすいと事前情報としてアドバイスを頂いたので、地元である程度買い込んでレース会場に向かった。

 


ピーピーに悩まされる。

 

レースへの緊張か、はたまた食べた物が悪かったのか、レース前夜からお腹の調子が悪く、自分には珍し程の調子の悪さで寝ている途中でも起きてトイレに駆け込むほどだった。勿論、土曜日の朝になっても改善される事なく、質の悪い睡眠とお腹に不安を抱え込みながら僕はレース会場に向うのだが、レース会場に向けて走る車でも割とピーピーに悩まされた。

 

流石にこれではまずいと思い、中津川インターを降りて国道19号線沿いで薬局を探しては、大人になってから初めてに近い感覚で「下痢止め」を購入。

ただ、あまり飲み慣れてない薬の為、副作用があるのではと。例えば、花粉症の症状を抑える薬によっては、副作用で眠気や喉の乾きがあったりするので、下痢止めも服用したは良いが、レース中に副作用が出るのも心配だったので、薬局の薬剤師さんに副作用の事を訪ねたら、「ん~副作用か~。あまりないですが、強いて言うなら下痢を抑える薬の為、副作用としては便秘になる事かな!」と。

 

思わず、心の中で「でしょう~ね!」って思ってしまった。

そんな事は容易に予想がつく!例えば、味噌汁を作ったけど、味が薄くてシャバシャバだから味噌を足して味を調整しようとして、味噌を入れすぎて味が濃くなりすぎるみたいな!!

 

でも逆に、走るのにはあまり影響のなさそうな副作用であり、ちょっと心和むような薬剤師さん返答に、レースへの緊張が和らぐという効能を頂けた。

 

因みに、実は、この薬がレース中にも活躍する事になった。

 

実際に薬の効果でピーピーも治まった点もあるが、それよりも、僕は体質的にお腹が正常運転のコンディションだったとしても、いつも山へ入る時は常に便意に心配するというストレスがあるのだが、今回はそれをも払拭出来たことは非常に大きかったし、エマージェンシーキットの常備薬として「下痢止め」を入れる切っ掛けにもなった。

 

薬でピーピー問題も解消された僕はレース会場に入り、スタート&選手受付の会場まで然程遠くない場所に車を駐車する事が出来た。

前日までの雨で足場の悪くなった道を歩き、受付会場に到着してから、出店メーカーさん等に一通り挨拶をさせて頂いた後に選手受付を済ませる。

天気予報では、今回のレースは雨が降るとされており、その予報が少しでも良い方に外れてくれればと願いながら、寝不足を少しでも取り戻せるようにと車で眠りつく。

浅いながらにも眠りつき、しばらくすると携帯アラームが周りの車から聞こえ、そして、自分のアラームも鳴った。周りに迷惑にならないようにと素早くアラームを止め、最後の準備と食事を済ませてスタート会場へ

 

続く

次回はレース中の事について書きます。

ダラダラとどうても良い内容ばかりでスミマセン。。。

飯田

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