欲しいものを形に。ひのきのトップボード。

あ、こんなアイテムがあったら良いのにな。この道具、少し改造すればこんな使い方も出来るな。というアウトドアギアの妄想をよくします。そういう事を考えているのは、会議室で商品開発の打ち合わせをしている時なんかではなく(そんな会議した事ない)、店頭で好きな商品を触っている時や、山を歩いている時、お風呂に入っている時等、日常の中でフワっと頭の中に湧いてくるんです。

でも、困った事に私にはそれを形にする技術がありません。ミシンも使えないし、金属加工が出来るわけでもない。何よりも不器用である時点で致命的なのです。そこで、考えました。その道のプロに協力してもらって「欲しいものを形にしよう」と。

 

そこで協力要請の為に伺ったのが、前回の私のブログでもご紹介させて頂いたKNOTTY さんというわけです。では、実際に何を作って頂いたのかと言うと….

 

 

こちら。ひのきのトップボードです。綺麗な木目が特徴的なこのアイテム。「欲しい。作りたい。」と思ったのは、私が愛用している2つの道具がきっかけです。

 

 

それがこちらのTHOR Large Tote With Lid 22L と SOTO フィールドホッパー です。どちらも単体で十分機能的はあるのですが、私のエゴで色々と考えました。

 

 

まず、THOR Large Tote With Lid 22Lは、我が家では外遊びの道具を収納したり、リビングで子どものおもちゃを収納するのに使用しています。そして時には簡易的なテーブルとして使用する事も。その時に天板の小さな凹凸が置いた物を不安定にしてしまうのです。

 

 

そこで、この天板部分にひのきのトップボードをはめ込むとピッタリハマる。これで凹凸を気にすることなくテーブルとして使う事が出来るのです。

 

 

私は家でパソコン作業をする時にも使っています。サイズ感が丁度良くて、簡単に持ち運びが出来るので天気の良い日には、庭やベランダに持ち出して作業する事も。単純にTHORの天板であれば、メーカからも登場しているのですが、私が求めたのが木の美しさと多用途性。

 

 

天然木の美しさは一枚一枚木目や色目が異なり、同じものが一つとない魅力を感じます。また、集成材の様なザラつきがなく非常に滑らかなので、パソコン作業等で手を置いていても引っかかりを感じません。

そして、もう一つの求めるポイントである多用途性ですが、私が道具選びで重視しているのが最低でも2通り以上の使い方が出来る事です。そして、ひのきのトップボードを頭でイメージした時に思いついたのが次の使い方。

 

 

言わずとしれたSOTOの名品フィールドホッパー。一時は国内在庫が品薄になってしまう程、人気を博している便利なコンパクトテーブル。

 

 

一番の魅力は、やはり収納力。特別な器具やパーツの取り外しを必要とせず、簡単に小さく折りたためる構造は、初めて手にした時、驚いたのを未だに覚えています。

 

 

山へ持って行って調理をする際に丁度良いサイズ感で使い勝手も非常に良いんです。ただ一つ、この「山で丁度良いサイズ」が「キャンプの時にはちょっと小さい」と感じていました。SOTOからはフィールドホッパーのLサイズも展開されており、キャンプで使用するならそちらの方が使いやすいサイズなのですがLサイズは山に持っていくには持て余すサイズ感なのです。

 

 

そこで、ひのきのトップボードを使って少しだけサイズアップが出来ないか…と考えました。ただ上に乗せるだけでは使用中にズレてしまうので、フィールドホッパー本体の特徴を上手く利用しました。

 

 

それがこの部分。フィールドホッパーの端には置いた物の落下を防ぐ為にエッジの様な出っ張りがあります。この構造を上手く使えないか…と考えたのです。

 

 

そして、思いついたのがトップボードの裏側に丁度エッジがハマるぐらいの凹みを付ける事。これを付ける事によってフィールドホッパー本体とトップボードのズレが非常に少なくなりました。

 

 

実際に乗せるとこの様に。ひと際大きくなったわけではなく、少し大きくなる程度。この少しが欲しかったのです。なぜなら、テーブルに乗せたいけど乗り切らない器やカップの2つ3つが乗せたいから。

 

 

登山と違いキャンプとなると、仲間たちと食事をシェアする事も増えます。そんな時に器を沢山乗せられた方が便利なんです。そして、この木の温もり。ここが個人的に重要なポイント。自然の中に遊びに行って、自分の使っている道具からも自然を感じられる。この感覚が純粋に好きなんです。

 

 

他にも我が家では、お客様にお出しするお茶やお菓子のお盆代わりにも使っています。プレーンなデザインで良い意味で癖が無いので、色々な器やカップとの相性も良いのもお気に入りポイント。

 

ひのきのトップボードは現在、店頭販売のみとなっております。通販に関しましては準備が整い次第、開始させて頂きますので今しばらくお待ち願います。

さて、ここまで商品のご紹介をさせて頂きましたが、私の拘りとして欲しいものを作っている工程も知りたいところ。どんな場所でどんな方が作ってくれているのか実際に見てみたい。思い立ったら直ぐ行動派の私は先日、作って頂いている現場を見学するべくKNOTTY さんへお邪魔してきました。

 

 

沢山置かれている木材。木の良い香りが漂う作業場は、私がいつも居るお店の店頭とは全く異なる現場感がヒシヒシと伝わってくる雰囲気。

 

 

大きな機械も沢山置いてあって、自然とワクワクしてしまいます。実は私、素人ながら木工が好きで学生の頃は小学生を対象として、夏休み時期に簡単な木工教室を開催したりしていました。そんな事もあり、沢山の素材と機械が揃っているこの環境はまさに涎もの。しかし、今回の現場取材の目的を忘れてはいけません。ひのきのトップボードがどの様に作られているのかを、しっかりと目と耳で確認しなくては。

 

 

まず、使用されているのは国産ヒノキ。そして、私達の開発する商品の為だけに部材を用意してもらうのではなく、他の物を作る際に出る端材を利用して頂いています。使える物は上手に使う。その方が環境負荷も少ないのです。

 

現在、使用して頂いているのはヒノキの大きなテーブルを作る際に生まれる端材。この端材が職人さんの手によって綺麗なトップボードへと生まれ変わります。

 

 

作業工程は大まかに区切っても約16に及び、削ったり、切ったり、接合したり….と素人目で見ても中々大変な内容ばかり。

 

 

機械が動く大きな音と舞い上がる木の粉。見ているだけでも楽しくなってきますが、雑な自分がやったら確実に失敗して木材をダメにする自身があります。

 

 

そこは、やはりその道のプロ。真剣な眼差しで黙々と行程をこなしていき、木材が次第に商品の形へと変わっていきます。

 

 

お気付きの方も見えるかもしれませんが、ひのきのトップボードを作って頂いている職人さん。実は女性の方なんです。佐藤 優さんという新進気鋭の職人さんで、工業高校で家具製作を学び、今の道を歩まれているとの事。

 

 

佐藤さんは「読書のためのあぐら椅子」等、拘りの詰まった作品も製作されており、これからの業界を背負っていく新しい世代でもあります。

 

 

集中しながら作業をされている様子を見ながら一つ感じた事がありました。それは、佐藤さんはきっと自分と同じ「好きな事を仕事にしているタイプ」である事。ご本人に直接聞いたわけでは無いのですが、製作している姿を見て自分と同じ匂いを感じたというか、何となくですがそんな感じがしたのです。

 

 

職業選択の幅がとても広くなっているこの時代。モノ作りという仕事を選択する若い人は決して多くはないと思います。だからこそ、次世代の職人さん達には頑張って頂きたいし、共にワクワクする物を作っていきたい。これは私の持論なのですが、好きな事を追求している人が集まると不思議と面白い物や事が生まれるんです。この法則にジャンルや性別、年齢は関係ないと思っています。頭で描いた「欲しい物」を具現化する為に繋がった佐藤さんとのご縁も大切にして、これからもワクワクする物や事を生み出していきたいと思います。

これからも色々と動き続けていきますのでmoderateの今後にもご期待下さい!
本日のブログは松下

 

 

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