先日の3連休は各地でトレイルランニングのレースが数多く行われ、良くも悪くも天候が選手たちにさらなる試練を加えたカタチになった。
僕がお手伝いさせて頂いたLAKE BIWA 100も、スタートから3~4mmの雨予報となり過酷なレース展開が予想され、大会側は急遽、選手がスタート時間を選択出来る特別ルールで開催した。
ちなみに、ルールの変更は以下の通り。
定刻9時スタート・10時スタート・11時スタート・12時スタート
雨の影響を考えれば、遅くスタートする事がベターに感じるが、各関門、および、ゴールの制限時間には変更されない為、多くの選手が定刻の9時でスタートを選択し、小雨の降る中鈴鹿の山へ入っていった。
僕たちmoderateは、第2エイドの鈴鹿峠を担当。
スタートから鈴鹿峠までのトレイルは、雨の影響でドロドロのツルツルになっていたようで、滑らず・転けずであのセクションをクリアーした選手はおそらく居なかったのではというぐらいハードだったと。その酷さは、選手の口から言葉として発せられつつ、そのドロドロになった身体や顔をみれば、そうとう酷かった事が手にとるように分かった。
そんな色々な事があった先週末から早くも1週間が過ぎようとしている。
ふっと思い出せば、僕たちがエイドを担当した鈴鹿峠(標高約350mぐらい)では、既に金木犀が咲きその香りを漂わせていた。
平野部では、これから咲き出す金木犀。その香りが香る頃、鈴鹿では紅葉シーズンがいよいよ本格的になってくる。
雪が降り出すまでの、鈴鹿の山は本当に気持ちが良いので、是非、皆様も足を運んで頂きたい。
この記事の概略として
過去のBLOGのおさらい。
ここまでmoderate BLOGでは、F22シーズンのALTRAのシューズについて5回ほど書かせて頂きました。
- ALTRA、新作ロードモデルのご紹介です。
- ALTRA(アルトラ)2022秋冬モデルに採用されている「ミッドソール」と「フットシェイプ」について
- ALTRAのマックスクッションのニューモデル、OLYMPUS 5登場!
- 高いレベルのオールマイティー ロード シューズ ALTRA TORIN 6(アルトラトーリン6)
- 自由な履き心地に安定感をプラス ALTRA ESCALANTE 3(アルトラ エスカランテ 3)
そして、今回の6回目は、この秋冬シーズンのロードシューズの中では1・2番を争う注目アイテムでもある「 VANISH TEMPO(バニッシュ/テンポ)(→■)」
既に、発売から日が経つので既に完売しているサイズも出始めておりますが、この秋冬のロードシーズンの1足をお悩みの方は、是非、BLOGをお読み頂き、選択肢の1つへ加えて頂ければと思います。
踏み込んだ力を推進力へ!
ALTRA VANISH TEMPO(バニッシュ/テンポ)(→■)
今までのVANISHは、どちらかと言えばトラック系のシューズとして位置づけされているモデルが多かったが、今回発売された VANISH TEMPOは、これまでのシリーズとは違いフルマラソンや高速トレーニングでしっかりと使えるレーシングシューズ。
故に、フルマラソンを走らない方にとっては、オーバースペックのシューズなのではと思われがちですが、是非、フルを目標としないランナーの方でも履いて頂きたいシューズ。
一言いうなれば「走る事が更に楽しくなる!」そんなシューズだと僕は思っています。
エナジーリターンを活かすEGO PROというミッドソール
VANISH TEMPOをご紹介する前に、兄貴分的な存在に位置する「VANISH CARBON」について少しお話をさせて頂きます。
「VANISH CARBON」は、簡単に言えば最近ランニングシューズの中では主流となりつつある、厚底のカーボン入のシューズ。
「あ~アレね」となる方も多いと思いますが、まさにその「アレ」です。
カーボンの入ったシューズは推進力に優れており、「シューズが選手を走らせてくれる。」とか、「シューズがグイングインと転がるように進む。」など、色々な表現で、その特性が伝えられています。
ただ時々、カーボンがその大きな要因だと思っている方がみえます。おそらく、その方解釈は、「カーボンがバネのような役割をしている。」と、思っていると思います。
実は、それは少し違います。
実際に、シューズに搭載されているカーボンは非常に薄いモノであり、それがバネのような役割を担っているかと言えば、限りなくゼロになります。(あの薄さでバネのような効果は殆ど期待出来ません。)
だから、カーボン系のシューズに間違った解釈を持っている方は、その特徴から以下のようにカーボン系のシューズを受け捉えているとおもいます。
- カーボンがバネの役割で走らせてくれる。
- ロッカー形状が推進力となっている。
- 厚底が足へのダメージを軽減。後半に足が残ってくる。
もう一度言いますが、ちょっと違います。
カーボン系のシューズの最大の特徴は、「着地時のパワーを推進力に変える。(エナジーリターン)」ここにあります。よって、一番活躍しているのは、個人的にはミッドソールの反発力だと思っています。
スーパーボールを正しい方向へ飛ばす。
カーボン系シューズのミッドソールを仮にスーパーボールのように物凄く弾むモノだとイメージしてください。そすると、着地で接地したシューズ(足)が、弾むように跳ね上がるのがなんとなくイメージ出来ると思います。(ドクター中松のジャンピングシューズ的な感じ。)
もし、本当にスーパーボール級の弾みがあるなら、着地した次の瞬間、シューズがポーンと弾み次の1歩になると思います。ただ、皆さんもスーパーボールで遊んだ事があるなら、地面に叩きつけたスーパーボールが真っ直ぐ手元に帰ってくるように投げるのは非常に難しい事を知っていると思います。
少しでも地面に対して変な角度で叩きつければ、あらぬ方向に飛んで行きます。(ロンバケの名シーンのように・・・)
僕たちは、ランニングで足が着地する時に、地面に対してシューズの幅手が綺麗にフラットな状態で着地していると思っていますが、実は、人それぞれの癖があり、多くの方がフラットに着地出来ていません。
例えば、足の内側が先に着地したり、外側が早かったり・・
着地に癖があり、変な角度で着地すると、スーパーボールのように弾むミッドソールはあらぬ方向へ弾もうとしてしまいます。その結果、場合によってはケガをしてしまう恐れもあるので、この弾む角度(方向)を確実に推進力にする為に、ここでカーボンの「硬さ」を活かしています。
おそらく、カーボン系のシューズを履いた事がある人であれば、自分の着地の足が、地面に対してフラットに着地していない事を知っていると思います。(内側が先に着地したり、外側が早かったり・・)
ようするに、足の接地をカーボンが整えて、弾むミッドソールの進む力を正しい方向(推進力)に変換する。そこに、ロッカー形状等がプラスαされる。これが、カーボン系シューズのポイントとなります。
「VANISH CARBON」は、弾むミッドソールに「EGO PRO」を使い、一般的なカーボン系のシューズの約半分のカーボンを用いて自然な推進力を生む。また、ALTRAの中では最もかかと側(踵から65%の位置)に配置されたロッカーが、それらと相まって気持ち良いトゥーオフを実現してくれます。
勿論、バランスドクッション(ゼロドロップ)とフットシェイプをは健在で、ALTRAらしいカーボン系シューズとなっています。
カーボン抜いちゃいました。
「VANISH TEMPO」は、そのVANISH CARBONからカーボンを抜いちゃったモデル。
それじゃ~、エナジーリターンで生み出された推進力は、正しい方向へ作用しないのでは?と思われる方も多いと思います。(実際に、僕もそうでした。)
ただ、これが不思議とダイジョブなんです。
カーボンの変わりにミッドフットをサポート力アップ。
上の写真で、サイドのアッパー部分に四角にバッテンのようなパーツが透けて見えると思います。これを、シューズの内側から覗くと下の写真のパーツが見て取れます。
軽量のアッパー素材を使いながらも、ミッドフット部分をしっかりサポート出来るように、上の写真パーツは配しており、これにより紐を締め上げる事によって、しっかり側部が安定するように作られています。因みに、コレににた構造は今シーズンにアップデートされたTORIN6に搭載されています(■)。
これにより、側部の弱い方でもカーボンがなくてもしっかりと足がミッドフット部分でホールドされる為安心して、EGO PROのクッションを活かせる(楽しめる)仕様となっています。
その結果、VANISH CARBONに比べて重量はメーカー公表値で26g程重たくなっていますが、正直、価格面では非常に買いやすく、レースからトレーニングまで幅広く使えるシューズになっていると思います。
小ネタとして
実は、VANISH TEMPOに使われているインソールは、他のALTRAのインソールと少し違います。
通常ALTARに使われているインソールは、衝撃を吸収するタイプを使用していますが、VANISH TEMPOに使われているインソールは、逆に弾む系のインソールを使っています。
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実際に、これがどれぐらいのエナジーリターンとしての効果があるかは定かではありますが、インソールにまで拘っている事を知って頂ければと思います。
※インソールの写真
(上段:VANISH TEMPO / 下段:通常のALTRAのシューズに入っているインソール)
カーボン系シューズは、正直、高価シューズで履いていて本当に楽しいシューズです。ただ、なかなか手が出ないのも本音だったりします。
是非、VANISH TEMPOで、カーボン系のシューズ同様のエナジーリターンを活かした、楽しいランニングをこの秋冬シーズンからスタートしてみては如何でしょうか。
投稿者:飯田