夏が直ぐそこまで来ています。毎年この時期になると、昔の山行写真を眺めてニヤニヤしてしまうのは、きっと私だけではないはず。
当たり前のように毎年夏が来て、当たり前のようにアルプスの山へ行っていましたが、流行り病によって「当たり前」が無くなってしまった数年前。昨年頃からようやく胸を張って遠くの山へ行けるようになってきて、今年の夏は色々と予定を立てられている方も多いと思います。
ここ数年の自粛生活の中で、普通だった多くの事が特別な事になったように感じて「一回の○○」をより大切にするようになりました。一回の山行、一回のランニング、一回の食事….歳を重ねた影響もあるかもしれませんが、色々なモノゴトに対して量より質を重視するようになってきたんです。数年前までは、一回の山行でどれだけ長い距離を歩いて、どれだけ多くのピークを取れるか。そういった楽しみ方をしていましたが、今は一回の山行で何を感じられて自分がどの様な影響を受けるのか。そういった部分を考えるようになりました。
装備にも同じ事が言えて、20歳ぐらいの時は体力に任せて担げるだけ担いで75ℓのテント泊装備を気合で背負っていました。手に入れた道具は全てフィールドで試してみたくて、過剰な物もモリモリに積んでいたあの頃。今は、必要な物と不要な物が精査されて25ℓ~30ℓ程度に。お気に入りの道具だけで外遊びを如何に楽しみ、上手く対応するか…時には感じる不便を全力で楽しむ。そこに重きを置いています。
山の楽しみ方は人それぞれ。もしも、ご一緒に山に登られている方が見えれば、是非その方の山の楽しみ方を聞いてみて下さい。特に年齢や性別が違う方に聞いてみる事をおススメします。きっと自身の遊びに対しての世界観を広げる良い機会になりますよ。
ここ最近、店頭では夏にアルプスデビューされる方に多くご来店頂いており様々なご相談に乗らせて頂いています。また、今季は今まで我慢していた分、夏山ハイシーズンを思いっきり楽しもうという方も多いのではないでしょうか。そんな方々へ、「夏山の準備を始めよう」と題してサマーダウンのお話しをさせて頂きます。
この記事の概略として
何故サマーダウンが必要なのか
サマーダウンとは、夏でも着られる薄手のダウンジャケットの事を指すのですが、高山域では真夏でも朝晩は気温がグッと下がります。そうなるとインサレーションウェアは必須。ダウンだけでなく、フリースや化学繊維の中綿タイプ等、種類があるのですがとりわけコンパクト性と軽量性に関してはダウンが一番優れています。水に濡れるとロフトが減ってしまうという弱点があるものの、ここ最近のダウンの多くは撥水加工が施されており、従来の物よりも湿気には強くなっています。
尚、インサレーションの種類によってのおススメ使用パターンとしては以下の通りとなります。
①ダウンがおススメなパターン
・とにかく荷物を軽く、コンパクトにしたい。
・保温力と重量のバランスを重視したい。
②化繊中綿がおススメなパターン
・水に濡れる前提で使用する。
・洗濯が楽な方が良い。
③フリースがおススメなパターン
・動的保温着としても使いたい。
・普段の室内着としても使いたい。
夏山の通常ルートでは沢登の様に水に濡れる前提で使用する事はありませんし、行動中は体温が上がりやすい為、動的保温着の必要性も殆どありません。故にダウンの軽さ、コンパクトさ優位になるのです。
※年間を通して様々なアクティビティーで使おうとすると、化繊がおススメになるパターンもあります。
サマーダウンの種類
薄手軽量のサマーダウンと言っても、形に種類があります。まず一つ目はプルオーバータイプ。見た目で分かる通り、ハーフジップの被りタイプです。被りは脱ぎ着が面倒くさそう…と思われるかもしれませんが、そもそも静的保温着として使用する物なので、着用するのは長時間の休憩時やテント場、山小屋となります。故にマメに脱ぎ着する為の作りではないのです。ジッパーが半分しかない分、軽量化にも繋がり、お腹周りを効率的に保温出来るメリットがあります。現在、moderateで取り扱いがあるのは下記のラインナップです。
patagonia M’s Alplight Down Pullover ■
【着用モデル 身長:163cm 体重:55kg Size:S Color: SUMR を着用 】
中綿:800フィルパワー
重量実測値:211g
ポケット: 胸ポケット
フード:無し
強制給餌や生きたまま羽毛採取が行われたものでない鳥から供給されたことが保証されている、NSFインターナショナルの認証済みグースダウンを使用。
Teton Bros. M’s Luft Jacket ■
【着用モデル 身長:163cm 体重:55kg Size:M Color: Light Gray を着用 】
中綿:800フィルパワー
重量実測値:174g
ポケット: 胸ポケット
フード:無し
全体のシルエットはややゆったり目にしているので様々なベースレイヤー、ミッドレイヤーとあわせてもレイヤリングしやすくなっており、フロントファスナーは体温調整がしやすいようにダブルジッパー仕様。
CRUX Neo Top ■
【着用モデル 身長:163cm 体重:55kg Size:S Color:Anthracite を着用 】
中綿:900フィルパワー
重量実測値:211g
ポケット: カンガルーポケット
フード:有り
ポーランド産グースダウンを使用しており、US基準では970フィルパワー相当。縦のステッチを入れることでダウンの偏りを軽減し、フードは被ると口まで覆うハイカラーとなるので顔回りを効率的に暖められる仕様。
各モデル200g前後と非常に軽量。モデルによってポケットの有無があり、patagoniaとTeton Bros.は胸ポケットのみでCRUXは両サイド繋がっているカンガルーポケットがあります。また、首から頭回りを保温すると体感温度に影響が出るので、フードの有無も寒さに対しての耐性によっては重要なポイントとなります。
軽さ重視のプルオーバータイプに比べ、汎用性が高いのがジャケットタイプとなります。
フルジップなので、当然ながら脱ぎ着のスムーズさがプルオーバーに勝り、山だけでなく日常の羽織としても使い勝手が良いのがポイント。
patagonia Alplight Down Jacket ■
【着用モデル 身長:163cm 体重:55kg Size:XS Color: BRLG を着用 】
中綿:800フィルパワー
重量実測値:216g
ポケット: 両サイド
フード:無し
グースダウンを安定させる異なるキルトパターンを採用しており、襟は羽毛量を増量し保温性を維持しています。肘と肩に使用した細めのキルトラインは形を整えかさばりを抑えながら動きやすさを促進し、ロフトを維持してすきま風の浸入を削減する仕様。
THE NORTH FACE Thunder Roundneck Jacket ■
【着用モデル 身長:163cm 体重:55kg Size:M Color: BRLG を着用 】
中綿:HYBRID CLEANDOWN 光電子 PRO(ダウン54%、ポリエステル40%、フェザー6%)
重量実測値:226g
ポケット: 両サイド
フード:無し
高度な洗浄技術により汚れを徹底的に除去し、さらにはっ水性を付加したクリーンなダウンに、身体が発する遠赤外線のエネルギーを利用して保温効果を発揮する光電子とはっ水ポリエステルファイバーをブレンドした軽量ハイブリッドダウンジャケット。
patagonia Alplight Down Jacketは襟がついているので首回りを保温出来る仕様、逆にTHE NORTH FACE Thunder Roundneck Jacketはラウンドネックとなっているので首回りの自由度が高い仕様となります。襟がある方が首元の暖かさを確保出来るのですが、レイヤリングによっては首元渋滞が起きる場合も。
フード付きのベースレイヤーを着用した際や、襟付き薄手のフリースを重ね着した際等、首元に生地が重なってしまい窮屈に感じてしまう場合があります。その点、ラウンドネックは単体では首元の保温力はありませんがレイヤリングしやすい利点があります。
一着で首まで暖かい襟付か、レイヤリングしやすいラウンドネックかは好みが分かれるところ。
どのモデルもパッカブル
今回ご紹介させて頂いた全てのモデルがジャケット自体のポケットに収納出来るパッカブルとなっています。基本的にこの状態で持ち運ぶ事になるのですが、私はあまりパッカブル機能を使用していません。パックに入れる際は、ジャケットをそのままの形で荷物の隙間にギュギュギュっと押し込む形で収納しています。そうするとパック内の荷物同士の間に出来た微妙な隙間が埋められてパックの形状が綺麗になりますし、取り出す時も引っ張り出すだけなので非常に楽なんです。
備え付けられた機能は必ず使わなければいけないものではありません。自分なりに工夫して、使い勝手の良い方法で使用する。それが本来の道具としてあるべき姿です。
今回ご紹介させて頂いているアイテムの一部はオンラインショップ限定で開催中のSPECIAL OFFER ■の対象品となっています。今すぐ使える物から、雪山で使える便利アイテムまで旧モデルが期間限定でお買い得となっていますので、この機会にチェックしてみて下さい。
本日のブログは松下がお届けいたしました。