今日は夕方からお店を抜けて、多度山トレイルラン(→■)の実行委員の打合せに参加してきました。
本大会は、次回開催(令和2年4月5日)で7回目。桜が満開の頃に走れる気持ちよさと、気軽に走れるコース設定という事もあり非常に人気の大会。
既にご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、次回大会はチャレンジコースの距離が24キロから28キロに伸びます!!これにより、過去に走られた方でも再度チャレンジして大会を楽しんで頂けます。また、大会当日まで約5月の期間があるので、大会に出たことない方や、普段あまり走られて無い方でも、今から大会に向けてトレーニングをはじめれば十分に間に合いますので、このタイミングでエントリーをご検討してみては如何でしょうか。(エントリー:2020年1月10日(金)ランネットより→■)
この記事の概略として
moderateがセレクトする化繊インサレーション
新しくなった ARC’TERYXのPROTON LTシリーズ(→■)
僕の記憶だと、確か2016年の秋冬シーズンからPROTONシリーズが発売。その頃ぐらいから、多くのアウトドアブランドが「着続けられるインサレーション」と表現されるような化繊インサレーションを発売しており、秋冬のレイヤリングにバリエーションが増えたのと同時に、購入時に“迷う選択肢”が増えたのも事実。(まぁ、お店の人間がこのような事を言うのあれだが、買い物は悩んでいる時が楽しい時間だから、その増えた選択肢は、楽しみが増えたと思えば幸せな事だと思う。)
ARC’TERYXの化繊インサレーションと言えば、ATOMシリーズ(■)を頭に浮かべる方も多く、実際にPROTONが発売された当初、店頭でもATOMとPROTONの違いについて多くの質問を受けた事を憶えている。
そこで今回のブログでは、単に新しくなったPROTON LTシリーズだけを紹介するのではなく、ATOMとの違いも交えてご紹介させて頂ければと思います。
PROTONシリーズとATOMシリーズの違い
「生地編」
<Atomシリーズ>
表生地:Tyono 30~20(アイテムによって異なる)
同ブランドのウィンドシェル「スコミッシュHOODY」等に使用されている生地を主に使用。軽量でコンパクトになる事がTyonoの特徴のヒトツ。勿論、DWR加工済み。
<Protonシリーズ>
表生地:Fortius Air 20
GAMMA MX PANTやGAMMA LT PANT等に使用されているFortiusという生地の厚さ違いを使用。 表面素材は、非常に通気性が高いことに加え、他に類を見ないほど耐摩耗性が高く、摩耗試験では業界基準の60倍以上の耐久性がある!また、Dope dyed yarn(※1)という新しい技術で作られた糸を使用する事により、耐候性に非常に強く、更に撥水力もアップ!
(※1)Dope dyed yarnは、日焼けによる変色に強く撥水力も強い!
■一般的な化繊糸
《製法》
糸を作り上げてから染色します。(イメージで言うと、白い糸を染めて着色する感じ。)また、その糸で作られた生地に撥水加工をするパターンが多い。
《メリット》
色物の生地を作る時に、小ロット+単価を抑える事が出来る。
《デメリット》
表面のみの染色の為、紫外線等による日焼けで変色してしまう。
■Dope dyed yarn
《製法》
化繊糸を作る原材料の時点から着色し糸を作り上げる。
《メリット》
糸その物が着色された状態の為、紫外線等による日焼けでの変色が少ない。また、その糸を作る過程で撥水加工行い生地にする事が出来る。これにより、生地に塗布するだけの撥水加工に比べて、高い撥水力と効果が得られる。
《デメリット》
オリジナルカラーの生地を作るのに、糸から作る必要がある為コストが掛かる。
PROTONシリーズとATOMシリーズの違い
「中綿編」
<ATOMシリーズ>
CoreloftというARC’TERYXオリジナルの綿を使用。綿素材で有名な、プリマロフトなんかよりも、抜けが良いのでオーバーヒートしにくいと言われている。
<PROTONシリーズ>
Atomシリーズで使用されているCoreloftが、ふわふわとした嵩高のある綿に対して、Coreloft Compactは、綿の嵩高を抑え(コンパクト)にした綿を使用。必要以上に温かい空気をため込み過ぎずないのが特徴のヒトツであり、その嵩高を抑えた事により、着用時の動きやすさも生まれています。また、綿そのものにシリコンコーティングで撥水加工がされており、その加工により、綿に湿気が帯びにくく、結果的に、「蒸れにくい綿 = 抜けが良い = 着続けられる綿」となっています。
PROTONシリーズとATOMシリーズの違い
「フィット編」
<ATOMとPROTONの違い早見表>
使用綿と部位による綿量 | ||||||
アイテム名 | フィット | 表生地 | 使用綿 | ボディー | 腕(下)部分 | フード |
ATOM LT | Trim fit Hip length |
Tyono 20 | Coreloft | 60/㎡ | 60/㎡ | 60/㎡ |
ATOM AR | Regular fit Hip length |
Tyno 30 | Coreloft | 120/㎡ | 80/㎡ | 60/㎡ |
PROTON LT | Trim fit Hip length |
Fortius Air 20 | Coreloft Compact | 80/㎡ | 80/㎡ | 60/㎡ |
<ATOMとPROTON綿の違いによる見た目(フィット)の違い>
上の違い早見表を参考に下の写真をみて頂くと少し分かりやすいと思うが、PROTON LTはATOM LTより綿の平米あたりの量が多いにも関わらず、Coreloft Compacを使用する事で、一番スッキリした見た目になっている。
(左:PROTON LT / 中:ATOM LT / 右:ATOM AR)
(179cm / 63kg / size:M)
<ATOMとPROTONレングスの違い>
上の違い早見表では、レングス(着丈)が全て「Hip length」となっているが、実はPROTON LTだけ、もともと少し長めのヒップレイズの設定となっている。これは、単体で行動着として着用した際に、前屈みの体勢になっても腰部分が出にくい為と考えられる。逆にATOMは、この上にハードシェルを着る機会も多いことを想定してか、あまり長すぎないヒップレングスになっているのではと思われる。
(左:PROTON LT / 中:ATOM LT / 右:ATOM AR)
(179cm / 63kg / size:M)
PROTONシリーズとATOMシリーズの違い
「使用シーン(イメージ)編」
<ATOMシリーズ>
「ダウンジャケットの代わりとして。」
まさに、この一言に尽きると思います。従来、化繊インサレーションは、ダウン製品のデメリットを補いながら、如何にダウンの特徴でもある「軽量・コンパクト性・温かさ」を近づける事が出来るかが課題であり、そして、進化を遂げてきたと思います。よって、ARC’TERYXのATOMシリーズの使用シーンとしても、ダウン製品を使うシーン同様に、寒い中で運動量が少なくても、身体から出る僅かな熱をしっかりと蓄熱し、体温低下を防ぐ役割としてお使い頂ければと思います。
<PROTONシリーズ>
「フリース・ソフトシェルの進化系として。」
Atomシリーズがダウン製品を意識したアイテムとするならば、PROTONシリーズは、寒い環境で動き続ける為に必要なインサレーションとして、フリースやソフトシェルの並びにある、行動着としてイメージして頂ければと思います。
汗抜けが良いインサレーションの代表でもあるフリースも、温かさに限界があったり、天候によっては単体での使用が不向きな場合があります。その一方で、ソフトシェルは、色々な天候に対応する守備範囲の広さはあるものの、少し重量があったり、使用シーンによっては、そこまで耐摩耗性が必要で無い時もあります。
それらを、良いところ取りしたのが、PROTON LTシリーズではないでしょうか。
<インプレ>
昨シーズン(2019年2月中旬)にARC’TERYXのディーラーズミーティングin妙高エリアで、今回ご紹介させて頂いているPROTONシリーズを一足早くテストしています。
僕は個人的に、今までPROTON LT(今季廃盤)をBCで使う事多く、極稀に内側から中綿の細い繊維が抜けてくる事があったものの、それ以外は特に大きな不満も無く、お気に入りの行動着の1つ。そんなお気に入りのインサレーションが、リニューアルされるNEW PROTON LTと、次回紹介予定のPROTON FLはテストの時から非常に好印象だった。
(左→右)
・F19から発売される PROTON FL HOODY
・F19にアップデートされる PROTON LT HOODY
・現在自分自身が使う現行モデルのPRPTON LT HOODY
《気象条件》
気温:0~5度
天候:小雨~あられ
風:やや強め
視界:ガス
ライディングの条件としてはイマイチだが、ウェアーのフィールドテストとしては、ある意味バッチリなコンディション。僕は、PROTON LTとFLの両アイテムを今回お借りする事が出来たので、2つともフィールドに持ち出してテスト。
NEWモデルのアイテムを身に纏い、約5時間ほどBCを楽しむ貴重な製品テストの機会。ハイクアップするペースもあえて一定に保たず、スローペースで登ったり、ハイペースで登ったりと、色々なシチュエーションになるように調整。
前回テストした時の気象条件は、比較的に気温も低くなく、あまり風に吹かれないようなシーンが少なかったのでPROTON FLは非常に良かったが、全体を通して保温力の安心感は、PROTON LTのが良かった事を今でも憶えている。
正直まだまだテストは足らないが、個人的な感覚だど0度を境に、あとは、その日の運動量をみながら、PROTON LTなのかFLなのかを選ぶのがヒトツのポイントになると思っている。ただし、インナーに何を着てバックアップ用のインサレーションを何を持っていくかも、行動着を決める大事な要素でもあり、また、寒さ暑さへの耐性も人によって違うので、あくまでもヒトツの目安として考えて頂ければと思う。
PROTON LT 着用イメージとカラーバリエーション
(179cm / 63kg / size:M)
● PROTON LT HOODY
● PROTON LT JAKCET
とにかく、やたらダラダラと長いブログに今回もなってしまいましたが、行動着を悩まれている方の参考になれば幸いです。
飯田
記事内でご紹介した商品はこちら
ARC’TERYX | アークテリクス
Proton LT Jacket #Black [24008][L07244000]
ARC’TERYX | アークテリクス
Proton LT Jacket #Labyrinth [24008][L07243900]
ARC’TERYX | アークテリクス
Proton LT Hoody #Neptune [24007][L07243300]