この記事の概略として
「山を登りに西へ向かう」
僕だけの感覚なのかもしれないけれど、西のエリアにも沢山良い山があるのを知っていても、実際に山へ行く機会がやってくると、ついつい日本アルプスを中心にその界隈の登ったことのない山が選択肢として優先順位が高くなり、ついつい「西」の優先順位が低くなってしまう。ましてや、海を渡る事が必要な四国となると、なんだかハードルの高さを感じてしまい、「いつか」というキーワードだけが時折見え隠れする。
そんな「いつか」が思わぬタイミングでやってきた。
(淡路島へ向かう道中)
「今年もアルプスへ行きましょう」
これは、仕事の縁で遊ぶようになったメンバーが遊びの予定を共有する為に、Facebookのグループメッセンジャーのグループ名であり、誰かがなんとなく付けた名前で、特にアルプスへ行くことが主目的にされているわけではない。(と、これを書いても、このグループ名が基本的に日の目を見ることが無いわけで・・・。)
このグループの特徴は、基本的に遊ぶ事が大好きなメンバーの集まりで、山歩きは勿論のことながら、MTBや雪山を滑ったりとシーズンに合わせて遊びのスタイルを変えるというのが特徴のひとつ。そして、もう一つこのグループの特徴を上げるとするのであれば、アクティビティーを楽しみに行った先の土地をも楽しむということ。これにより、ただアクティビティーを楽しんで帰るのだけではなく、その全行程を楽しむ事で「ひとつの旅」を作り上げている。
ちなみに、もし、僕がこのグループを一言で言い表すのであれば、「予定通りに予定外」のグループと言う事。そして、その「予定通りに予定外のグループ」が僕の「いつか」を呼び寄せてくれた。
「妙高・火打から剣山に」
元々は、このグループで今年も一緒に何処かへ登りに行こうと計画されていた場所が「妙高・火打」だったのだが、悪天を呼び込むと事が出来る特殊スキル(通称:雨男)を持つとされている僕(飯田)のせいで、予定していた日程に妙高エリアに雨天を呼び込んでしまう。
その僕のスキルをリカバリーするかのように、名ルートセッターのスキルを持つmooseの石田氏が代替え案として自力で行ける範囲で晴れ間を探し、急遽目的地を徳島県の三嶺(みうね)~剣山ルートはどうかと提案。
四国は少し遠いのではと思い込む僕にとっては、今回の旅は一瞬辞退しようかと迷いが出てたが、逆に良いチャンスなのではと思い行くことを決意。
「スタートから予定通りに予定外」
今回、三嶺から剣山の縦走のポイントとなるのが、スタートとゴールの間を移動する為の公共交通機関のタイミングが僕たちのスケジュールに合わないという事。その為、僕たちは剣山の見ノ越登山口にバイク(自転車)をデポし、車でスタートの名頃新登山口まで移動し、下山後にデポしておいたバイクに乗り車を回収するという作戦。ちなみに、このパターンの場合、ゴールの見ノ越からスタート地点の名頃へ戻る時は、約10キロのロードの下りになるので、疲れた身体でも車までの移動が非常に楽である。
と、言うことで今回の旅の荷物としてハイク系の道具や下山後の着替え等以外に「バイク」という大きな荷物を人数分(※1)ステップワゴンに積載する必要があり、その積み込み作業に少し時間が掛かってしまいスタート時間が大幅に遅れる事となりスタートから予定通りに予定外となってしまう。勿論、それにあわせて登山計画を大きく変更する事になったのだが、その結果、予想を超えるロケーションで最高の時間を過ごす事となった。
(※1:バイクを人数乗せる理由は、もしかしたら、下山後にバイク移動で観光を楽しむ可能性がある為。←どこまでも遊びまくるつもり!!)
「三嶺ヒュッテ」
名頃新登山口から登りだした僕たちは、時折、今回の目的でもある剣山を遠くに見ながら先ずは三嶺山頂を目指す。
初めて登るルートは全てが新鮮に感じる。時折、急登はあるものの全体的に非常に歩きやすいトレイルが続くが前日までの台風の影響が、まだまだ緑の若いドングリや木の若葉がトレイルを覆い隠す。
当初の予定では、三嶺から剣山に向かう途中の白髪避難小屋付近でのテント泊を予定していたが、スタートの遅れにより三嶺ヒュッテで停泊に変更。ただ、この三嶺ヒュッテが想像を超えるロケーションと小屋であった為に、僕らはテント泊を早々に諦め避難小屋を使わせて頂く事にした。
西に沈む夕日を眺めマジックアワーを楽しんだ後に、小屋の中でご飯とお酒を楽しむ。気がつけばすっかり日は沈み、満点の星空が三嶺ヒュッテを覆い尽くす。こんなに綺麗な満点の星空が見えるのでのあれば、明日の朝、綺麗な日の出を見ながら稜線を歩ける。そして、僕の雨男としてのスキルが発揮される事無く無事下山まで天気が持つと確信しながら寝袋にくるまり目を閉じた。
「気持ち良い笹の稜線歩き VS 僕のスキル」
昨日のスタートの遅れを取り戻すために、当初の出発予定時刻より時間を巻いて三嶺ヒュッテを出発する事に。
数時間前に西の果てに沈んだ太陽が、既に東の空から顔を出そうと薄っすらと空を色づけて準備をしている。ただ一つだけおかしい点があるとするのであれば、頭上にびっしりと詰まった墨色をした雲があるという事。「この雲の色は、太陽が登っていない為に墨色に見えるのか僕のスキルのせいなのか・・・。」
そんな事を思いながらヘッドランプの明かりを楽しみつつ、旅の後半戦をスタート。三嶺直下の鎖場を薄明りの中進み、先ずは、白髪山分岐を目指す。
鎖場を超えた辺りから、昨日までの三嶺山頂を目指すトレイルとは少し違い、進むにつれてトレイルの表情が色々との移り変わる楽しさがある。笹原、立ち枯れした木々、苔、ススキ、そして、それらが白髪山分岐を経て剣山へと繋がる。
晴天であれば更に楽しさ倍増のルートだが、どうも、僕のスキルが発動しだしているのか、時折、雨が落ちてくるのを感じる。兎に角、本降りにならない事を願うばかり。
つづく
投稿者:飯田