昨シーズンの秋冬に発売させて頂きました、THE NORTHE FACEの「Thermal Versa Grid Full Zip Crew(→■)」
多くの方から「この薄さでこのカタチのフリースを探していました!」と嬉しいお言葉を頂いたり、商品説明をさせて頂くことで「ナルホドね~。フリース選びに、この概念が無かったわ。」などと、新しい発見に繋がったお客様もみえました。
お陰様で、早々に完売してしまった為、買い逃したお客様からは再販のご希望を頂く中、なんと、今シーズン急遽カラー(ブラック)限定で再販されております。
勿論、昨年同様に、THE NORTH FACEのFLIGHT TOKYOとmoderateだけの2店舗限定販売。
と、いう事で、改めてこの商品を、前回のBLOGを引用しつつご紹介させて頂ければと思います。
この記事の概略として
何気ない会話から、その原型が生まれた。
僕たちは、スタッフ同士の会話の中でウェア―やギア等、自分たちがフィールドで使う遊び道具について話す事がある。
「昔のあのアイテム良かったよね」
「このアイテムの、ここのサイズ感が好き」
「僕は、このアイテムのこの仕様より、こんな風になっていたら良いと思う」
「こんなアイテムが欲しい!」
特に、新製品をチェックする為の出張中には、よくこの手の会話が繰り広げられる。そして、そんな何気ない会話の中で、自分たちが欲しいと思えるミッドレイヤーが空想上で完成し、結果的にそれがThermal Versa Grid Full Zip Crewの原型となった。
「NEW CLASSIC」
僕達が行動中のミッドレイヤーに求めていた物のヒトツに、このような具現化しにくい気持ちがあったのかもしれない。
空想上のミッドレイヤーが頭の中で完成した当時は、そんなキーワードになるような言葉は見つかっていなかったけど、それでも自分達が求めている製品への思いを、デザインする事の難しさを棚に上げてTHE NORTH FACEの製品企画スタッフにお話し、そして、「だから、こんなアイテムが欲しいんです。」と、ボールを投げた記憶がする。
伝えたポイントは以下の通り
・グリットフリースを使う
・丸首タイプの前開きのフルジップタイプ。(ジッパーが目立たないと更に良い)
・山でも街でも着れるサイズ感とデザイン
そして、そんなカタチになっていないボールを、ノースフェイスのスタッフの方々は見事のまでに完璧なカタチに製品化し出来上がったのが、Thermal Versa Grid Full Zip Crew(→■)だ。
ボールを投げた当時、僕達は製品化されるとは思っておらず、ただただ自分たちの想いを勝手に投げただけなのに、しばらくして、THE NORTH FACEのスタッフさんから「moderateさんがお話して頂いたあのアイデアをカタチにしようと思っています。」と、お話を頂き、実際に発売されたのが2022年の11月頃だった。
山でも街でも仕事でもアクティブに使える。
これも1つのアクティブインサレーションのカタチ
次世代フリース長所と短所
現在、アウトドアブランドのミッドレイヤーは、「アクティブインサレーション」という言葉をキーワードに、行動中に積極的に着ることが出来るミッドレイヤーに革命が起きている。
その火付け役になったのが、Polartec社のAlphaであったり、テイジンがつくるOctaであったり、PRIMALOFTのACTIVEだったりと、もともとはインサレーション製品(中綿ジャケット等)の中身の素材として使われていた物たちだ。
それらの素材は、素材区分として言えば「綿(ワタ)素材」でありながらも、単体で製品化する事が出来る為、今やフリースが得意としていた行動着という守備範囲にまで使用されるようになってきていた。
確かに、フリースに比べれば軽いしコンパクトにもなるし、アクティブインサレーションのダイレクト系は、正に次世代フリースと言っても過言ではない素材ばかり。ただ、単体で使用となると、少し気になる点もある。(以下、アクティブインサレーションのダイレクト系を次世代フリースと表現)
それは、枝や木や岩等の引っ掛かりによる裂けや破れ、ショルダーストラップによる摩耗だ。
お世辞にも次世代フリースは、それらの強度に対しを単体で使用した場合、一般的なフリース程は強くはない。
この強度面に関しては、次世代フリースが通気性や軽さに対しての「快適性の最大値」を目指した為にトレードオフされた部分だろう。だから、僕たちは店頭で次世代フリースを販売する時には、そのトレードオフされた部分についてアナウンスするし、逆に、レイヤリング次第ではオリジナルのアクティブインサレーションが作れる事をお話している。
多用途に単体で使えるフリース
それでも、次世代フリースの長所は非常に素晴らしく、あらゆるシーンで単体で着たくなるが心配する事も多く、時折、昔ながらのフリースのように、単体でバンバン使えるモノががあればと思ようになり、過去に自分が使っていたフリースを思い返した。
アウトドア遊びを始めた頃から、個人的に色々なフリースを使用してきたが、その中でもグリット形状のフリースは、めちゃくちゃ好きであらゆるシーンで使用していた事を思い出す。
ただ良くも悪くもカタチは、ハイネックタイプかフード付きの仕様の物が多く、そのフリースの下に着るベースレイヤーに襟高のあるモノやフード付きのモノを着たりすると、少し首周りが渋滞気味になる事があったりもした。更に、その状態でバラクラバやネックウォーマーを装着すると、フリースのジッパーが首元で詰まる感じがあったりする事も・・・。
あとは、フリースのハイネックタイプは、そのカタチ(デザイン)の都合上、どうしてもジャージ感というかスポーティー感が出てしまうので、機能としては使い勝手良いから街でも着たいのに、少し格好や着るシーンを限定されてしまいがちになる事があった。
「一番使えるフリースを次世代らしいカタチとアイデアで」
アクティブインサレーション全盛期の今だからこそ、元祖アクティブインサレーションとも言えるグリットフリースがもつポテンシャルの高さを、改めて多くの人に知ってもらいたいと思い、そして、その為には、僕たちらしいアイデアでカタチにしたかった。
マッピングされたグリットフリース
次世代フリースに負けない通気性を確保するには、熱が籠もりやすい場所、特に「背中」と「腕の下側」と「脇」と「脇腹」のこの4つの部位の通気度を高くする必要があった。
Thermal Versa Grid Full Zip Crewは、2種類のグリットフリースを使い、目の粗いグリット(通気度の高い)フリースを、その4つの場所に使用し、保温力が必要な前身頃と肩・腕の上側は目が少し詰まったグリットを採用。
(左:通気度の高いグリット 右:保温力の高いグリット)
(赤線で囲まれた部分+背中側に、通気度の高い(目の荒い)グリットフリースを採用)
また、手首で細かい体温調整が出来るように袖口はサムループが施されており、少し寒い時は手首や手の甲をしっかり温めて体感的に寒さを感じない仕様。また、サムホールやループを使用した際にわずらわしさが出る腕時計問題は、左袖口のみだが時計が見やすいようにスリットが施されています。
真冬のランニングから端境期の低山トレッキング、オフィスから街着まで!
フリースで最も人気でありベーシックなカタチと言えば、前開きのフルジップタイプの物になると思う。その理由は至ってシンプルで、着脱の容易さと瞬間的に換気する能力が高いという点にあると思う。
ただし、先にも記述したように、フルジップのタイプのフリースの多くが、ハイネックタイプかフードタイプとなり、良くも悪くも常に首周りにフリースの『襟』がある。
この襟は、基本的に温かさを提供してくれる一方で、気温帯や下に着るベースレイヤーの種類(ハイネック・フード付き)によっては、襟渋滞が起きることもある。
だからこそ、レイヤリング方法にバリエーションを増やす事を考えた場合、今までにないフルジップタイプでありながらも襟渋滞が起きない丸首タイプのフリースが作りたかった。
とは言え、正直、寒い中で運動量が少ない方にとっては、ハイネックのフリースのが良いという方もいらっしゃると思いますが、ある程度の運動量がある遊び方をされる方や、僕のようにベースレイヤーにハイネックを着られる方や、首周りはネックウォーマーやバラクラバの方が体温調整がしやすいと言われる方には、間違いなく重宝するアイテム。
そして、なによりもその襟が無いことにで、一気にジャージ感が抜けて、街着としても非常に着やすいデザインに仕上がっています。
冬のハイシーズンに、オフィス等でシャツの上に丸首のインナーダウンを着られる方も多いと思いますが、これからの時期だとそのスタイリングは少し暑すぎたりと、このような端境期にも非常に使いやすいと思います。
オールシーズンに使えて、あらゆるシーンに持ち出せる。そして、次世代フリースがトレードオフにした点を補ってくれるのでバンバン着倒せる!これこそ、広い意味でアクティブに使える、まさにアクティブインサレーション。
ちょっと昔に流行ったグリットフリースを使い僕たちがイメージしたNEW CLASSIC STYLE。是非、THE NORTH FACEのThermal Versa Grid Full Zip Crewというアイテムでウェア―とその感覚をご自身のラインナップに加えてみては如何でしょうか。
投稿者:飯田