軽さと、ギミック。欲張りなレインウェア。 THE NORTH FACE Panmah Jacket

■軽量かつアルパイン向きなレインウェア

THE NORTH FACE Panmah Jacket

moderateのブログでは、梅雨入りや、これから始まるアルプスの夏山シーズンに向けて、何度かレインウェアをご紹介しています。一口にハードシェル、レインウェアと言っても、近年では超軽量なタイプから高透湿のタイプまで様々なモデルが登場しており、選択肢が広がっています。

そのなかで、昨年登場し好評を博したノースフェイスのサミットシリーズのPanmah Jacketの新色が入荷しています。このモデルは高いレベルで軽さと耐候性のバランスがとれており、幅広いシーンで活躍してくれるため、レインウェアをお探しの方は候補に入れてみてはいかがでしょうか。

●軽さだけではない安心感


(165cm、57kg、Ssizeを着用)

近年では、レインウェアを含めた山岳用品全体の軽量化が進んでいます。あまりに軽さに振り切ってしまえば、強度や風雨に対する耐性を含めて、不安に思う方も見えるかもしれません。今回ご紹介させて頂くPanmah Jacketは、本格的な山岳シーンでのアプローチや、長期遠征の際に使うことを想定されており、軽さと着心地、蒸れにくさに重点を置いたモデルになります。ゴアテックスを使用した耐候性の高さを備えていながら、軽さを持ち合わせていれば、様々なユーザーが使いやすい万能なモデルと言えるのではないでしょうか。

●使用されている生地の話

最大の特徴は生地にあり、そのご説明に関しては昨年の当店のブログにて、詳しくご説明しています。

もう一度大まかなご説明をさせて頂くと、まずこのモデルは柔らかな着心地を実現するために、裏地にはニット状の構造である「C-Knit」を採用しています。一部の超軽量モデルでは、裏地が省かれていることもありますが、長時間着ている場合であれば、柔らかな裏地を備えた肌触りの良いモデルの方が快適に過ごすことが出来ます。

肌触りの良い裏地を備えながら、Lサイズで約250gという軽さを実現している理由は表地にあります。表地には「マイクログリッドバッカー」と呼ばれる、C-knitとは違う平織りの構造を持つ生地を採用しています。

元々は、雪山登山やスノースポーツの際に使用されるゴアテックスの頑丈な生地である、「プロシェル」の裏地として使用されているのが、「マイクログリッドバッカー」になります。つまり、軽量かつ耐久性に優れた裏地をあえて表地に使用しているのが、このモデルの軽量化の秘密になります。

■使い勝手の良いギミック

●フロントジッパーは上下とも開閉出来る仕様

クライミングシーンでハーネスを着用する場合、フロントジッパーが下からも開くことによって干渉を防ぐ事ができます。このモデルはそういったシビアなシーンで着用することを想定しているため、フロントはダブルジッパーで開閉がスムーズにおこなえるものを使用しています。

シビアなシーンで着用することも想定していますが、その一方で一般的な登山の際に着た場合でも大きなメリットがあります。

フロントジッパーを下から大きく開ければ、ザックを背負っていても身体の蒸れを逃すことができます。下からジッパーが開く事によって、フードをかぶった状態でも体温調節が行なえたり、風を受けた際に襟やフードがバタバタすることが少ないメリットが得られます。

また、脇のベンチレーションはあえて省き、 着心地の良さ、軽量化に繋げています。

 
●大きなポケットがちょうどいい位置に

ポケットも軽量モデルにしては珍しく、胸元に2つ大きなサイズのものを備えています。レインウェアのポケットに関して、どれくらい必要なのかは、使用するシーンによって分かれると思います。

ただ、レインウェアに大きなポケットが備わっていれば、ザックを下ろして荷物にアクセスする手間が減ります。収納力の高いポケットが備わっていることで、荷物の出し入れによるタイムロスを防ぐことが出来ます。

特に、組み合わせるレインパンツにポケットが備わっていない場合には、この収納力が役立つのではないでしょうか。

●フードの作り込み


(ヘルメットなしでも、しっかりフィットします)

フードはヘルメットに対応しており、アルプスの岩稜帯を行動する際にもストレスなく使用できます。また一方で、ヘルメット対応モデルながら、そのまま直接頭に被る場合でも、フィットできる造りのため、強風によってバタつくことも少なくなります。コードロックも片手で調節ができるため、蒸れを感じたらすぐに緩めて、体温調節が行なえます。

また、テント泊での就寝時に、万が一冷えを感じてしまった場合、最終手段としてレインウェアを着たまま寝ることが稀にあります。その際にプラスチックのコードロックの場合は、頭に潰されて気になってしまうことがあります。コードロックを柔らかい素材に変更することでその違和感を防いでいます。このように、細かい工夫によって、小さなストレスが減るようになっているのも特徴です。

 (個人的に、コードロックが柔らかいネオプレン素材になっているのもポイントだと感じます)

●裾の細かい仕様

裾を絞ることが出来るコードロックも、簡単に操作ができる仕様になっています。蒸れを逃がす場合などは、絞った裾を片手で緩めることも可能です。ただ、それだけでなくもう一つ細かい工夫があります。

例えば下の画像1枚目のように、余ったコードが裾から飛び出してしまい、手やザックのベルト、枝などを引っ掛けてしまう危険があります。

しかし、画像2枚目の様に、内側に余ったコードを引っ掛ける部分が用意されているため、コードを確実に裾の内側にしまい込むことができます。ハードシェルの出番は気温が低かったり、雨天の場合が多いため、ちょっとのストレスが軽減されるだけでも楽になります。

(裾の内側にコードを収納すれば、不意に引っ掛ける心配が少なくなります。)

●袖口の仕様、少しゆとりのあるアームの太さ

袖口はベルクロ式になっており、グローブをする際に調節がし易く、しっかり閉じれば風雨の侵入も防ぐことができます。

軽量モデルの場合はゴムのみの調節になっていることが多く、脱ぎ着の際に引っかかりを感じてしまうこともあります。もちろんベルクロを廃して軽量化を図ることもできたのかもしれませんが、このモデルでは使い勝手の良さを重視しています。

また、腕周りの太さも充分なゆとりをもたせており、腕上げの際のストレスも少なくなっています。鎖場や梯子場で煩わしさを感じる事もありません。

また、腕周りの余裕によって生まれるメリットとして、天候や運動量の変化によってレインを脱ぎ着する頻度が多い場合には、スピーディーに着脱を行える点も挙げることができます。

その他にも、アームの太さに余裕があることで、中に着るインサレーションウェアとのレイヤリングの際に干渉を防ぐことも出来ます。レインウェアの中に着れるものの選択肢が広がれば、着用できるシーンも広がります。

下の画像2つでは、同じインサレーションを着た上での2サイズを比較しています。私の体格であれば、Sサイズがジャストで着用でき、Mサイズは余裕を持って着ることができました。Sサイズでも肩周りは余裕をもった造りで、腰回りは若干細身に感じました。

(165cm、57kg、Ssizeを薄手の中綿インサレーションの上から着用)

(165cm、57kg、Msizeを薄手の中綿インサレーションの上から着用)

軽量化を図りながら、安心感も手放したくない方におすすめのモデルとなっています。このモデルを使ったレイヤリングや、ザックなど他の装備との兼ね合わせに関しても、気になる方は是非お問い合わせいただければと思います。

本日のブログは、井戸田がお届け致しました。

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