新たな視点で生み出された THE NORTH FACE Panmah Jacket (パンマージャケット)

夏山ハイシーズンが迫ってきています。夏のアルプスへの山行を予定されている方もみえると思いますが、高山域では天気の変化が早いのでハードシェルの出番も増えるところ。一言でハードシェルと言っても超軽量なタイプから高透湿のタイプまで様々なモデルが登場しています。季節や山行スタイルによって優先的に求める機能は変わってきますが、本日のブログではノースフェイスのサミットシリーズから新たに登場したハードシェルをご紹介させて頂きます。

 

THE NORTH FACE Panmah Jacket  

防水透湿素材であるゴアテックスを使用しているパンマージャケット。使用を想定するシチュエーションは「雨の多い地域での長期遠征やアルパインクライミング時のアプローチ」となっており、ここから察するに携行性と着用時の快適性を重視したモデルと予想出来ます。コンパクトに収納出来て長時間の着用でも蒸れにくくて動きやすい。この機能を高次元でバランス良く実現する為に非常にユニークな視点で作られているのがコチラのアイテムの特徴。

 

 

最大のポイントは生地にあります。写真左側が表地、右側が裏地。表地と裏地で異なる生地が使用されているのは当たり前なのですが、パンマージャケットには15D GORE-TEX ACTIVE C-Knitが採用されおり、ゴアテックスシリーズの中でも軽量で高い透湿性を有するものと言えます。「C-Knit」とは裏地の事を指しており、裏地がニット状の作りになっています。

 

 

こちらの写真が裏地の「C-Knit」を顕微鏡で拡大したものです。ニット状に糸が絡み合っているのが分かります。この構造により、糸と糸の間に適度な隙間が出来て透湿性が増し、裏地自体が非常に薄く作られているので着用時の肌当たりも滑らかになるのです。特に、裏地が配されていないタイプと比べると汗ばんだ時に肌へ纏わりつく不快感がとても少なくなります。

 

 

そして、こちらが表地の拡大写真。この写真でお気付きの方はかなりのゴアテックスマニア。実は、パンマージャケットの表地に使用されているのは裏地でもあるのです。どういう事かと申しますと、この生地は「マイクログリッドバッカー」と呼ばれている生地でC-knitの様に編んでいる構造では無く、織ってある構造となります。元々はゴアテックスのプロシェルの裏地として使用されており、軽量かつ耐久性に優れた裏地でもあります。本来、裏地として開発されている生地を表地に使用するという斬新な作り込みが施されており、この構造によりLサイズで約250gという軽さを実現しています。

 

 

専用のスタッフバッグに詰めるとNIKWAXのボトルより少し低いぐらいの嵩高。ゴアテックスの3層タイプの中ではかなりコンパクトな方でお守りとしてパックに入れておけば、高山域での山行でも安心して行動出来ます。

 

 

軽量化を図る為、ベンチレーションは設けられていないのですが、ハーネスの着用も考慮した作りなのでダブルファスナー仕様となっており、防寒着として着用した際には上下ファスナーの開閉で体温調整が可能。

 

 

フードはヘルメット対応サイズなので岩稜帯を行動する際にもストレスなく使用できます。ツバもしっかりと付いているので視界が遮られてしまう事もありません。

 

 

袖口はベルクロ式になっており、グローブ着用時に袖の中へとカフ部分を容易にしまい込めます。軽量化を一番の目的とするならば、ベルクロも排してしまった方が良いのですが、取り回しとのバランスも考慮した結果の仕様。こういった細かなポイントで汎用性の高さが決まってきます。

 

 

ポケットも胸元に2つ。ファスナー幅もしっかりと取られているので一時的にグローブやネックウォーマー等を入れておくのに便利なサイズ感。

 

 

ポケットのサイズは大き目ですが、余計な重量アップはしないように圧着で取り付けられています。「必要」である部分は犠牲にせず、技術で少しでも軽くする。このあたりの作り込みレベルがノースフェイスらしいポイントです。

 

 


【着用モデル 身長:約163cm  体重:約55kg  Size:M を着用】

まず手に取ったに見た目以上の軽さに驚き、さらに着用した時に生地の柔らかさと袖通しの滑らかさに驚きます。生地は薄めなので、雪山等のハードな使い方にはおススメしませんが一般的な登山でしたら十分対応してくれます。私の体格でMサイズが少し大きめ。中にインサレーションを着こんだ時を想定するとこれぐらいのサイズ感が妥当です。

 

 

元々、アルパイン要素のある山行での使用を想定しているので腕上げに対しての追従性もバッチリ。腕を大きく上げた際の裾の上がり非常に少ないので鎖場や梯子場で煩わしさを感じる事もありません。

荷物の軽量化は図りたいけど、安心感は犠牲にしたくない。そんな我儘な要望に応えてくれるのがパンマージャケットと言えます。アルプスに向けて準備を始められている皆様。ハードシェルの買い替えやアップデートをお考えでしたら、是非候補に如何でしょうか。

本日のブログは、松下がお届け致しました。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。

 

 

 

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