スウェーデンの有名な絵本Klas Klattermus(山ネズミ)。そこからインスピレーションを得てブランドネームが付けられたKlattermusenは1975年から今日まで、独自性に富んだアイテムを開発してきました。
自然環境の中で使用するウェアやギアに求められるのは、「高い安全性」と「少ない影響力」。過酷な環境下で身体を守ってくれるプロテクション、製造段階で与える自然界への影響。この二つを高いレベルで両立させる事を目的としており「耐久性」にも重きを置いています。現にスウェーデンでは20年前に製造されたクレッタルムーセンのアイテムが未だ現役で使用されているのです。
moderateでは、今季からクレッタルムーセンの取り扱いを再開しております。一目でそれと分かるディテールはファンの方も多く、私自身20代の頃に憧れていたブランドの一つです。本日は、そんなクレッタルムーセンのアイテムの中でもコットンを使用したウィンドパーカーをご紹介させて頂きます。
Klattermusen Ansur Wind Parka ■
マウンテンパーカーよりも少し丈の長いコートの様な丈感。ウィンドシェル程の薄さは無く、ソフトシェルの様な肉厚感も無い。私にとっては全く新しいジャンルのウェアと言えます。唯一、似ている物であげるならAXESQUINのアキノヒ。でも決定的に異なるのは、素材がオーガニックコットンであること。
「山服のタブー」として見られる事が多いコットンですが、アンサーウィンドパーカーはオーガニックコットン100%で作られています。しかし、最新技術を用いられて作られた生地は高い耐水性を持っており(完全防水ではありません)、透湿性にも優れている為、「コットンはアウトドアに適さない」という概念を見事に覆しています。勿論、状況によっては化学繊維が性能的に勝る場面もありますが、コットン100%故に加水分解の心配も無く永く着用出来るのです。
でも、どうやってコットンで耐水性を出しているのか。気になるところですよね。その秘密を探るべく、他メーカーのコットン生地とアンサーウィンドパーカーの生地を顕微鏡で拡大し、比較してみました。
写真左側が他メーカーのコットン生地、写真右側がアンサーウィンドパーカーのコットン生地になります。同倍率で拡大しているのですが織り目の細かさが大きく異なっています。アンサーウィンドパーカーの織り目は非常に細かく高密度に仕上げられている為、水が入り込む隙間が殆ど無くコットン自体が水分を少し吸って膨張する事によりさらに耐水性がアップする仕組みとなっています。
特徴的なのは、素材だけではありません。緩やかにカーブしたファスナーはクレッタルムーセンの代名詞と言える物。このカーブはレイヤリング時によるジッパーの重なりを防ぐ為。まだアウトドア業界で働きだした当時、この形を雑誌で初めて見た時に目を奪われたのを覚えています。
斬新な見た目とは裏腹に、欲しい機能をちゃんと抑えているのが良いポイント。胸元に小物を収納出来るポケットを一つ装備しており、
腰回り両サイドにも一つずつポケットが付きます。勿論、ザックのウェストベルトやクライミングハーネスを着用した際に干渉しないよう高めの位置に取り付けられていますよ。
そして、背面に施された逆Y字のテープの縫製。山で着用する服でこの形状に縫製が施されているのは今まで見た事がありません。
同様の縫製が肩回りやフードにも。この縫製は、見た目にアクセントを加える為….では無く、生地の耐久性を高める為の物。長持ちする素材を使用していても他の部分が壊れてしまっては意味がありません。不要な縫製では無く、永く使う為に必要な加工なのです。
着用イメージ
【モデル身長:163cm 体重:55kg Size:S を着用】
しっかりとした生地は、木の枝や岩と擦れても気にしなくて良い安心感を感じられます。お尻までスッポリと覆ってくれる形は、これからの低温下のハイクでは非常にありがたい形。ウィンドシェルよりも生地厚がある分、耐風性も高いのでノンビリ山を歩く時におススメです。耐水性も高いので少しぐらいの小雨なら凌ぐ事が出来ますし、通り雨の様な時でも気にする事なく着続けられます。天気が変わりやすい秋の空でも積極的に使用出来ますよ。
ダブルジッパー仕様で下から大きく開ける事が出来るので、換気機能もバッチリ。少し体温が上がってきたら、必要に応じてジッパーを上げていきましょう。今季、クレッタルムーセンの取り扱いを始めて私の中で眠っていた「ヘビーデューティー熱」が再燃しそう。軽量なギアやウェアも良いのだけれど、個人的には永く使えるヘビーデューティーなアイテムも大好きなんです。
一風変わった見た目や素材は、目の肥えたアウトドアマニアを虜にする魅力が詰まっています。他にも多数入荷しておりますので気になる方はコチラ■からチェックしてみて下さい。
本日のブログは松下がお届け致しました。
アンサーウィンドパーカーの何処かに隠れ山ネズミがいます。店頭で是非探してみて下さい。