Made in Canadaに拘り、優れた縫製技術と圧着技術を持って作られるWestcombのアイテムは多くのクライマーやハイカーから絶大な支持を得ています。本日のブログではその中でも抜群に尖ったハードシェルをご紹介させて頂きます。
Westcomb SWITCH ANORAK ■
「ハードシェル」という防水ウェアには珍しいホワイトベースのカラーリング。なにも奇をてらってこのカラーにしている訳ではありません。この色味は生地の特性から来るもの。ULマニアの方ならお気付きかもしれません、生地にはダイニーマコンポジットが使用されているのです。その特徴は「軽く」「強い」この相反する二つの機能を併せ持っている事。俗説では、道具の重量は軽くなれば強度は落ちるものであり、軽い道具というのはそれなりに使い手が工夫を要するものでした。しかし、このSWITCH ANORAKは軽さと強さを非常に高いレベルで両立させているのです。
防水透湿メンブレンはeVentDVAlpineを採用。耐水圧:20,000mm、透湿性:20,000g/m2という優れたスペックを持っていながらXSサイズで実測247g、Sサイズで255g、Mサイズで265gと驚きの軽さを誇ります。耐久性も高いので岩稜帯を歩いたり、藪漕ぎをしたり、マウンテンバイクで使ったりと非常に幅広いシーンで使えます。もちろん、雪山用のハードシェルとしても使えるスペックを備えているので、重量が増えがちな雪山シーンではこの軽さは非常に魅力的。
正面にはフロントファスナーとポケットがあります。どちらのジッパーも止水ファスナーですが、ポケットは防水性をより高める為にフラップが付いています。
サイド片側にもジッパーが配されており、脱ぎ着が楽に行えるのとベンチレーションを兼ねています。裾の部分がボタンで止められるのでジッパー全開で着ていても風でバタつくこともありません。
「服は裏返せばその良さが分かる。」という言葉は的を得ているもので、アノラックを裏返してみるとWestcombの物作りへの拘りが溢れていました。
裏地にトリコットを採用した3レイヤー仕様になっているのですが、フードの口回りやドローコードを引いた際に絞られる部分等、肌と直接触れたり擦れが発生しやすい場所には黒い生地が配されてより強度が上げられています。
他にも裾や袖口も同様の仕様に。この加工が施されている箇所には縫製を極力使わず圧着で仕上げられています。糸一本分でも軽くしようとするクラフトマンシップが読み取れるポイントです。
そしてお腹部分にはメッシュのポケットが配されており、ジャケット外側に付いているポケットとは別物となっています。こちらのポケットは体温が伝わりやすいので濡れてしまったインナークグローブを入れておいて乾かしたり、雪山でのテント泊の際にはカイロを入れてあげてもOK。
そして、縫製とシーム処理の美しさには惚れ惚れしてしまいます。美は細部に宿るとは、まさにこのこと。カナダ生産に拘り続けているだけあって、機能面だけでなく「作り方」にも一切手を抜いていません。
【着用イメージ】
【着用モデル 身長:163cm 体重:約55kg Size:XSを着用】
「雪山でも使えるハードシェル」という事を念頭に置きながら着るとド肝を抜かれます。とにかく軽い。手に持っていた時よりも着てみるとその軽さが際立つんです。ダイニーマ特有のパサっと感はありますが、裏地があるお陰で気心地も悪くありません。腕回りの立体裁断も綺麗に出されているので動きにくさも無く、下に中厚のフリースを重ね着しても生地が張りすぎる事が無いのでレイヤリングにも幅を出せそうです。
もちろんフードはヘルメット対応。ジッパーを上げると顔をしっかりと覆ってくれるので冬山のシビアな環境でも活躍してくれます。ヘルメットの上からフードを被った際の自由度はストレッチ系の防水素材と比べると若干負けますが、首の動きが極端に妨げられる事はありません。
収納に関しては、別途スタッフサックを用意してもいいのですが軽量系アイテムなので使用しない方がおススメ。個人的にこの手のジャケットを収納する際に使用する畳み方をご紹介します。まずは、ジャケットの裾部分に配されているドローコードを少し伸ばしておきます。
次に写真のようにフード幅になるようジャケットを畳みます。イメージとしては一枚の反物にする形。
そして、フード側から生地の間に入っている空気を抜きながらクルクルっと丸めていきます。
少し圧をかけながら丸めたら、最初に伸ばしておいたドローコードの出番です。
丸めたウェアが戻らないようにドローコードでパシっと止めて完成。これならスタッフサック等を追加しなくても簡単に収納出来ます。
NIKWAXと比較すると、非常にコンパクトなのがお分かり頂けると思います。何度も言いますが「雪山対応」のハードシェルでこれ程コンパクトで軽量な物は中々ありません。冬山装備の重量増に悩まされている方には是非ご検討頂きたいアイテムです。年間を通して、一枚のハードシェルで山を楽しみたい方にもおススメです!
※ハードシェルの防寒力は生地の厚みも影響します。他の装備、ご自身の経験値、行動する山岳域等、総合的に熟考頂いた上でハードシェルの軽量化は行って下さい。
本日のブログは松下がお届けしました。