THE NORTH FACEの隠れた名品。

アウトドアメーカーの中でも知名度で言えば1、2を争うTHE NORTH FACE。街中でウェアやパックを目にする事も非常に多いのですが、そんなノースフェイスにも隠れた名品がある事をご存知でしょうか。ただ、「名品」と言いつつも私が個人的に「良いモノ」と思っている物でもありますので超主観的にご紹介させて頂きます。

 

THE NORTH FACE Ironmask Jacket

雪山におススメな防水シェルのアイアンマスクジャケット。初めてこのジャケットを目にしたのは約10年程前。当時はサミットシリーズに位置付けられており、試着した時に衝撃を受けたのを覚えています。

 

 

一番の特徴は、この生地。ゴアテックスを使用しているのですが、表生地は強度の高い70デニールのナイロンにポリウレタンを配合する事で優れたストレッチ性を備えています。生地に触ると非常に柔らかく、防水とは思えない程しなやか。ハードシェルでなくソフトシェルのジャンルに属するジャケットになるのですが、ゴアテックスを使用しているので「防水ソフトシェルジャケット」となります。

 

 

裏地はポリエステル100%で肌当たりも良く、厚みがあるのでハードシェルよりも少々保温力が高くなります。生地が厚くなると重量が気になるところですが、Lサイズで約695gとなっており着ていて辛さを感じるような事もありません。

 

 

ポケットは胸元に2個所。細身のコンシール止水ファスナーを採用することでコンパクト性と軽量化を図っています。

 

 

両サイドの脇下には大きく開くベンチレーション付き。雪が降る中の行動では体温調整が非常に重要。ゴアテックスを使用したウェアの多くは脇下にベンチレーションが付いているのですが、血管が集中する脇下を効率的に冷却するのと浸水のリスクを少しでも減らす事を目的にこのポジションとなっています。

 

 

大き目のフードはヘルメットに対応する為。クライミング要素の入る山行では必須アイテムであるヘルメット。雪の中を行動する際にはヘルメットの上からフードを被り行動します。その時にポイントとなるのが首の自由度と視界の広さ。

 

 

アイアンマスクジャケットのフードはヘルメットの上から被っても自由度が非常に高く、首が極端に疲れてしまう事もありません。フード自体が立体的な作りになっているので写真の様にヘルメットの上から被った際でも綺麗に形がでます。またツバが配されているので視界も広く確保出来ます。

 

 

フード被った際、口回りに当たる部分は圧着仕様で極力滑らかに仕上げており、吐いた息が逃げやすいようにフォグベントを付けて生地の湿りを抑えるようになっています。

 

 


【着用モデル 身長:約163cm  体重:約55kg   Size:S   Color:K  を着用】

 

私の体格ではSサイズがジャスト。バックカントリー向きのスノーウェア等と比べると少し細身で、クライミングの動きにも対応する形となっています。試着する度に思い出される、10年前の衝撃。めちゃくちゃ気心地が良いんです。「え?本当にゴアテックス使ってるの?」と思ってしまう程ガサガサ感も無く、腕を動かした時の自由度の高さは抜群です。勿論、良いトコロばかりではなくハードシェルに比べるとコンパクト性や重量で、やや劣ってしまいます。しかし、一度着ると気にならない程の柔らかさがあり、そこにゴアテックスの防寒力と耐水性の高さが備わっているとなると湿雪が多い日本の雪山には相性バッチリ。これから雪山登山を始められる方は勿論、買い替えを検討中の方にも是非候補に入れて頂きたいアイテムです。

 

さらにもう一着。隠れた名品をご紹介させて下さい。

 

THE NORTH FACE  Hedge Over Vest

中綿にプリマロフトブラックを使用したインサレーションベスト。でもよくあるベストと少し形が違う事にお気づきでしょうか。

 

 

やけに高い襟元、大きく開いた袖口。これでは身体との間に空間が出来て保温の機能が落ちてしまいます。でも、この形にはちゃんと理由があるのです。

 

 

俗に言うインサレーション(保温着)は、写真の様にハードシェルの下に着こむ物が殆ど。耐風性のある防水シェルの下に保温力のあるフリースやダウン、化繊綿ジャケットを着てより温かくなるようにレイヤリングします。でもヘッジオーバーベストは違うのです。

 

 


【着用モデル 身長:約163cm  体重:約55kg   Size:M   Color:MG  を着用】

この様に、防水シェルの外から着用します。稜線で強風に吹かれたり、活動量が下がって寒さを感じた時、シェルの上から素早く着用する事を想定してデザインされているのです。考えてもみれば冬の山で防水シェルの下にインサレーションを着ようとすると、一度防水シェルを脱がなければいけません。強風が吹いていれば、防水シェルを脱いだ瞬間に体温がドンドン奪われていきます。でもヘッジオーバーベストなら防水シェルの上から着られるので問題無し。休憩中はガバっと着て、動き出して体温が上がってきたらサッと脱ぐ事が出来るのです。袖が無いので腕回りの自由度が高いのも特徴。BCシーンでは歩行モードから滑走モードに切り替える際、色々と作業をするのでベストの方が便利だったりします。

 

 

襟元が高かったり、袖口が広いのも防水シェルとの相性を考慮して。脱ぎ着の容易さと首回りのゴワツキを抑える為の形となっています。

 

 

表地は撥水加工を施した薄手のパーテックスで、ザックのショルダーベルトが当たる肩にはハードフェイスプリントが施されいます。

 

 

左右にはポケットが備えてありますがジッパーやスナップボタン等は無く物を入れて歩く為というよりは、一時的に入れるか手を温める為のもの。私の様な超末端冷え性には嬉しい機能。

 

 

ダブルファスナー仕様なので微妙な体温調整が出来るのと、ハーネスを着用した際にロープと干渉しにくくなっています。

 

 

胸元のジッパーポケットが収納袋を兼ねているので、簡単に収納出来ます。ザックの取り出しやすい場所に入れておけば、休憩の際に体温を下げる事なくスムーズに動き出す事が出来ます。ありそうで無かった面白アイテム。雪山で遊ぶ方に是非プラスしてみて頂きたいウェアです。

 

本日のブログは、先日ようやく初滑りに行けた松下がお届けしました。

 

 

 

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