ARC’TERYXのハードシェルで最も人気と言っても過言では無いアイテムにBeta SL Jacket。人気の理由は、やはりタウンからフィールドまでシームレスに着用出来る点だと思います。しかし、今季からBeta SL Jacketは廃盤となってしまいました。次、レインウェアを買い替えるならBeta SLに…と考えられていた方。ご安心下さい。ちゃんと後継機が登場しています!
ARC’TERYX ZETA SL JACKET ■
パっと見はBeta SL Jacketと同じディテールに見えるのですが、細かな部分がより洗練された造りとなっています。
防水素材がアップデート
Beta SLシリーズに使用されていた素材は「ゴアテックスパックライトシェル」でした。Zeta SLシリーズにはゴア社から新たに登場した「パックライトシェルプラス」へと変わっているのです。実際のところ、何処が変わったのだろう…と裏地をじっくり見ても今一違いが分かりません。しかし、実際に触れてみると分かるんです。
パックライトシェルは元々、裏地を配しておらずゴアテックスのメンブレンの裏側に擦れ対策の特殊加工を施した物。その為、軽量でしなやかになっているのですが汗ばむとちょっと肌に張り付く感じがありました。そして、表地・ゴアメンブレン・特殊加工という生地から2.5層と呼ばれていたのです。ゴアテックスパックライトプラスも同様の構造で、油分を弾く物質と炭素から成る保護レイヤーで裏側を覆った仕様となっています。
ちょっとマニアックなお話しになりますが、上の写真はパックライトシェル(左)とパックライトシェルプラス(右)の裏地を顕微鏡で覗いた物。写真左は模様の様な粒が均一的な見え方をしているのに対して、写真右は粒に大小の差があり不均一となっています。この不均一な模様は細かな凹凸となっているので肌への触れ方が従来の面ではなく細かな点となる為、肌へ張り付きにくくなるのです。こうした新しい加工を施すことで従来よりも着心地をアップさせており、耐久性も上がっています。
作り込みの細かさは変わりません
肩や脇、肘回り等の動きやすさが求められる部位の立体裁断やシーム処理の細かさは、さすがアーク…と唸ってしまうレベル。
特にこのフード回りは異常な程の作り込み。基本の生地はパックライトプラスなのですが、部位によって適した裏地が配されています。
荒天のフード着用時、最も擦れる部位である顎回りから額、頭回りにかけてしっかりとした裏地が。
こちらも顕微鏡で覗いてみると糸同士がしっかり織り込まれた生地。この構造は表地と同じで、擦れに非常に強く作られている証拠です。
さらにこの部分。フードの頭回りを左右からグルっと一周するようにドローコードが配されているのですが、絞るとフードが頭に固定されます。その為、頭に直接触れる事になるので生地も他の部位とは仕様が変えてあるのです。
また顕微鏡か…と思われるかもしれませんが、お付き合い下さい。上記部分の裏地は写真の様に織物となります。ゴアテックスプロシェルの裏地と同様の仕様で肌触りを良くしつつ耐久性に優れた物。
裾のドローコードもグローブを付けていても掴みやすい平たい形状。
ポケットの位置はザックの腰ベルトに干渉しないよう少し高いポジション。左右に一つずつあるので街着の際にも使いやすいです。
カタチの変化
コチラの写真。左はAlpha SL Jacket ■ 、写真右はZeta SL Jacket ■、ともにMサイズを並べてあります。アーク好きな方なら「あれ?」とおもうかもしれません。Zeta SLはBeta SLの後継機なのに着丈がAlpha SLと殆ど同じなんです。Beta SL Jacketは着丈が短いモデルでしたが、その点はZeta SL Jacketには引き継がれませんでした。
よりアップにしてみると、少しだけAlpha SLの方が後ろ丈が長い。前丈は殆ど同じ印象です。Beta SLの着丈が好きな方は少し残念かもしれませんが、意外とこの着丈も汎用性が高いんです。
着用イメージ
【着用モデル 身長:約163cm 体重:約55kg サイズ:XS カラー:Labyrinth を着用】
着てみると、確かにBeata SLと比べて前丈も後ろ丈も長く感じます。でもこれはこれで山でガッツリ動き回る時には安心。低山域であれば雪山シーンでも使えてしまうと思います。クライミングハーネスを着用しない登山シーンであれば間違いなく使いやすい丈感でハーネスを使用する場合はAlpha SL Jacket■、より耐久性が欲しい方はBeta SL Hybrid Jacket■がおススメ。
【写真左 カラー:Robotica ■ / 写真右 カラー:Yukon ■】
先にご紹介させて頂いたカラーLabyrinth■や定番のBlack■に加えて上の2色もアークらしくて良い色なんです。アークの象徴の一つとも言える独特の色使いはカラーのみを選定するつデザインチームにより生み出されています。機能面だけでなく、デザイン性でも妥協を許さないのがARC’TERYXの物造りに対する拘りなのです。
※色の見え方がディスプレイ環境によって変わりますのでご注意下さい。
夏の高山域ではレインウェアの機能は命に関わることも。ウェアは厳しい環境下で大切な身体を守ってくれるギアです。お値段は、ちょっと高く感じるかもしれませんが、それ以上の機能と信頼性がアークのウェアにはあります。夏のハイシーズンに向けて、買い替えをご検討中の方。これから山デビューをされる方。是非、Zeta SL Jacket■を候補の一つに加えてみてください。ちなみに、レディース■もあります!
本日のブログは、最近になってようやくタピオカが気になり出した松下がお届けしました。