私とノースフェイスの関わりは、遡ること十数年前。学生時代に某ノースフェイス直営店でアルバイトをさせて頂いた事から始まりました。当時は今ほどトレイルランニングはメジャーなスポーツでは無く、ウェアやシューズ、パック等の選択肢が非常に少ない時代でした。また、ノースフェイスショップに訪れるのも30代以上の男性が殆どで、ストリートファッションのジャンルでヌプシジャケットやゴッサマージャケット等のダウン類が人気だったものの、今ほど若年層への認知度はありませんでした。
当時からノースフェイスマニアだった私は、アルバイトの休憩中に古いカタログに目を通すのが楽しくて、バイトの立場ながら商品知識が社員以上というアンバランスな存在になっていたのを覚えています。笑
20歳の頃から十数年。ブランドの変貌をず~っと目の当たりにしてきており、様々なファッションブランドとのコラボやタウンユースラインの充実により、学生の間でBCフューズボックスの様なパックが流行したりして、正直、自分の中で「あれ?ノースフェイス何か変わり過ぎちゃってない?」と思った時もありました。一時は、少し捻くれた目線でブランドを見ていた時があったのも事実です。
でも、moderateで働き出してノースフェイスの商品を企画開発している人達と接する機会が出来た時から、私の目線は大きく変わり、昔抱いていたブランドへの憧れが再燃したのです。
どれだけブランドの認知度が上がって、どれだけブランドの服を着ている人やパックを使っている人が増えても、決して変わらないのが「NEVER STOP EXPLORING 」というブランド理念。
飽くなき探求を意味するこの言葉は、自身が歳を重ねるに連れてその重みを感じる言葉でもあります。
今回のブログでは、数あるノースフェイスの製品の中でも機能性に抜群に優れたサミットシリーズを取り扱うショップスタッフが一同に集まり開催されたSUMMIT DEALER MEETINGの様子を書かせて頂きます。
2023年10月11日(水)、早朝の近鉄電車に乗り込み名古屋駅へ。そこから新幹線で東京方面へと向かい集合場所の羽田空港へ向かいました。人生初の羽田空港。めっちゃ広い。その広さに驚いている暇も無く、飛行機に乗り込み向かった先は、これまた人生初の女満別空港。飛行機には何度も乗っているのですが離陸する時の加速感と着陸の瞬間の「ドンッ!」という感じは未だに慣れません。
空港からはバスに乗り移動。車窓から見える景色は、まさに北海道のそれ。雪が無い時期に来るのは十数年ぶり。とんでも無く広い大地とカーブが直線が多い道に、北海道に来たんだなぁ…としみじみ感じながら、ふと高校生の時に書いた読書感想文を思い出した。題材にした本は、はた万次郎氏■の北海道移住日記。今、思い返せばあの頃から大自然に魅かれていて、高校生ながらリアルに北海道へ移住する事を考えていたのが懐かしい。
そんな昔の事を思い出しながら、小学生の頃に家族皆で訪れた北海道旅行の事も思い出し。キタキツネ見れたら言いねー!なんて事をレンタカーに揺られながら話をしていた時、おもむろに隣の席に座っていた祖母が「あ!キタキツネ!」と外を指さして言うものだから、皆一斉に「どこどこ!?」とキョロキョロして探すと、そこにいたのは放し飼いで散歩している柴犬だった事もありました。見事にクルっと巻いた尻尾は確実に柴犬のそれでした。
そんな感じに物思いにふけっていると、宿泊地のホテル北こぶし■に到着。サウナが有名なホテルで早速一風呂浴びに…と言いたいところですが、今回の目的はSUMMIT DEALER MEETINGでございます。
みっちりとサミットシリーズの事や、それぞれの商品に関しての勉強をさせて頂きました。
1988年当時、今では街中で見かけるダウンジャケットのヌプシジャケットやフリースジャケットのデナリジャケットは極地遠征用のウェアでした。元々、非常に過酷な環境で着る為に開発された物であるので、街中で着ても快適なのは当たり前。日進月歩で進化しているアウトドアウェアやギアの世界では今の当たり前が十数年前にはとてつもなく画期的なモノであったりするんです。私たちの世代は、優れたギアやウェアの恩恵を覆いに受けられています。だからこそ知って頂きたいのが、現在、世の中に存在するアイテムの多くが十数年、数十年かけて研究を重ね、沢山の技術者や開発に関わる人達の苦労と努力の上に成り立っています。アウトドア業界に関わらず、日用品や車等、普段から当たり前に使っている道具等も全て同じ。在って当たり前ではなく、在って有難いという気持ちを持つ事が大切だと気付かされました。
しっかりお勉強をした後は、北海道の美味しい料理を頂きながら沢山の方とお話しさせて頂き、サウナでも気持ち良く汗を流し….の前に一つの部屋に集合して延長MTG(飲み会)が開催。いやはや、アウトドア業界は本当にパワフルな方が多い!諸先輩方に負けないよう、もっと強くならなければ!
翌朝は眠たい目をこすりながら5時半に起床。
6時にロビーに集まり、海に向かって軽くジョギング。布団から出た直後は「うわぁ~、もっと寝てたいなぁ~。」と思っているのですが、ちょっと走り出すと頭がスッキリとして清々しい気持ちになるのが朝活の不思議なところ。
朝早くから一緒に走って頂いた皆様、ありがとうございました。今回宿泊させて頂いたホテルは海の目の前だったので、距離的にはほんの少しでしたが気持ちの良い時間を過ごす事が出来ました。山を走るのも気持ち良いですが、海辺もまた良いもので、砂防ダムも良いのですが、灯台もまた魅力的なのです。
二日目は、サミットシリーズの事をさらに深めるMTGを行い、その後は知床の大自然を直に味わえるトレッキングへ。知床五湖の一部を歩くコースなのですが、樋熊を含め野生動物との距離が非常に近いフィールドでもある為、事前にレクチャーを受けてからトレッキングへ。
ガイドさん同行で行われた今回のトレッキング。ふと思い返せば、積雪期以外でガイドさんと山に入るのは初めての経験。植物のことや動物のこと等、色々なお話しを聞く事が出来て大満足。ゆっくりゆっくり歩いて1時間半程度の行程だったのですが、大満足。
知床の大自然の景色も圧巻。歩き出した当初、熊との遭遇にビクビクしていましたが、こんなに良い景色が当たり前のようにあるので、いつのまにか恐れていた気持ちはどこへやら。仕事で来ているにも関わらず、全力で楽しんでしまいました。
トレッキング後は知床自然センター■で知床の自然を学び、四季折々の知床の魅力を知りました。流氷が漂着する季節に是非来てみたい。
さらには、TNFアスリート3名によるトークセッションも開催。左から平山 ユージ氏、鏑木 毅 氏 、 佐々木 明 氏という豪華メンバー。それぞれ取り組むスポーツがクライミング、トレイルランニング、スキーとジャンルは違いますが、未だに探求心を持ち続けている姿に刺激を頂きました。
最後の締めは、知床ゴミ拾いプロジェクト■の海岸清掃活動に参加。
透き通るような綺麗な空の下、参加者全員でワイワイとゴミ拾い。ビニールゴミやらビンにペットボトル。外国語が書かれたゴミも漂着したりしていて、ついつい足元ばかりに気を取られてしまうのですが….
ゴミを探していると時折見つかるこの足跡。そうです熊でございます。山の中にいるイメージが強い熊ですが、知床では海にも出てきます。特に今のシーズンは鮭が産卵の為に遡上してくるので、それを狙って海辺までやってくるのです。今回ゴミ拾い活動は大勢で行っているのですが、これがもしも自分1人だったら相当ビビります。。。
ものの一時間程度で集まったゴミの量は、こんなに沢山。捨てようと思ってゴミになってしまった物ばかりでは無いと思いますが、非常に考えさせられます。以前、patagonia名古屋店の藤前干潟の清掃活動に参加させて頂いた時同様、やはり知床の海岸にも無数にマイクロプラスチックが存在しました。世の中からプラスチック製品を無くす事は到底不可能だとは思いますが、生産されたプラスチックが海洋ゴミにならないようにする事は出来ますし、既にゴミとして漂着している物に対しては「拾う」というアクションが取れます。
新聞やニュースでもよく取り上げられている海洋ゴミ問題ですが、やはり情報として「知る」のと現実を「見る」のでは受ける衝撃が大きく違います。「ゴミ拾い活動に参加しましょう!」と強く言うつもりはありませんが、未来の為に取れる小さなアクションを皆でしていければと思います。
知床で過ごした3日間。多くの方とお話しさせて頂き、世界観がまた一つ広がりました。お招き頂きましたTHE NORTH FACE関係者の皆様、またディーラーの皆様。大変お世話になりました。ミッチリと座学で学んだ事も、店頭でお客様へと発信させて頂きます。
また、私も探求心を忘れる事無く日々の仕事へ遊びへと全力で打ち込んでいきます!
本日のb