山へ入る度に気になってしまう砂防(治山)ダム。どこの山にでもよくあるものですが、砂防ダムの中の植生や土砂の堆積具合を見るとどれぐらいの期間で土砂が流れてきているかが予想出来たり、コンクリートで作られたものもあれば、石積みのものもあったり。どうやってこんな山奥に重機を入れて造り上げたのだろう…と思うような場所にも作られていたりと、砂防ダム一つから色々な想像が膨らみます。
皆様も、よく歩いている場所に砂防ダムがあれば一度ゆっくりと眺めて想像を膨らませてみてください。何故この場所に作ったのか、何故この作りなのか、水の通し方や周囲の状況まで、頭の中に「?」を持ち続ける事が重要です。何も生まない非生産的な活動ですが、瞑想に近い感覚を得られますよ。
以上、砂防ダムへの誘いでした。
今シーズンのスノースポーツは、良い感じの降雪で皆様エンジョイされているのではないでしょうか。私は、まだゲレンデ内で留まっており、BCへ行きたくてウズウズしています。本日のブログでは、Teton Bros.が展開するBCスキー&スノーボード向けのパックを2型ご紹介させて頂きます。
Teton Bros. Koma38 ■
Teton Bros.を代表するBCパックであるKoma。登場時は瞬く間に完売してしまい、その後も多くのファンから指示を得ているBCパックの一つです。容量は商品名に「38」と記されている通り、38ℓが基本となりますが実際には雨蓋部分を伸ばしたりして+10~15ℓ程度は積載量を増やせます。また、本体正面パネル全体でコンプレッションさせる独自の構造により荷物をパンパンに積載した状態から、中身が少なめの状態までパック自体を大きくコンプレッション出来るので立山のような泊りでのBCツアーの際、ベースキャンプで使用する道具も積載していき、テントを整えたらKomaに滑走道具一式を詰め直してコンプレッションして滑りに行く…というような一つのパックで荷運びから滑走までを完結させることができます。
その時々の荷物の量に応じたコンプレッションを可能にしているのが、このサイドストラップ。よくあるパックの横面を走るストラップなのですが、コンプレッションするポイントを変えられるようになっています。
こちらが通常のポジション。
そしてこちらがパックの中身が減った際に大きくコンプレッションする為のポジション。この圧迫ポイントの変更点が上下左右に設けられいる為、その時々に応じたコンプレッションをかける事が出来ます。
また、アバランチギアを収納する為の前面ポケットはパネル状の作りになっており、このパネル状ポケットでパック全体を圧迫出来る構造になっている為、荷物の多少にかかわらず、重心が背面側に固定されるようになっているのです。
雨蓋部分からの荷物の出し入れは勿論ですが、背面からのアクセスも可能。この開いた背面部分にもユニークな機能が搭載されています。
それがこのポケット。よくあるハイドレーションを入れる為の物かなと思っていたら、このポケット部分が取り外し可能になっています。
この様にパック本体と完全に分離出来るので、テント場に着いた際に直ぐに取り出したい物を入れておき、テント内でポケットごと吊るしておいたりすることも出来ます。パック内で小分けされた物を一つずつ取り出すのは正直面倒な時もあるので、直ぐに使いたい物だけを纏めておいてワンアクションで取り出せる。疲れている時程、有用性が分かる現場の意見から生まれた機能と言えます。
テント泊装備のようなそこそこ重たい装備も担ぐ想定をしているのでウェストベルトはしっかりめの物がついています。このベルトは取り外しが可能なので、大きな荷物はテント場へ置いて滑走へ行くときには取り外してより軽い状態で使用することも可能です。
ポケット付きのウェストベルトは、触ってみると見た目以上にしっかりしていて、装着したままでは滑走の妨げになってしまうのでは?と感じてしまいますが、そこはご安心を。
この様にフレキシブルに捻じれる構造になっているので、しっかりとライディングの動きにも追従してくれます。一つのパックでワンデイから泊りまで、色々とこなしたい方におススメなBCパックです。全体的に生地もしっかりめなのでガッチリとした背負い心地と安定感がありますよ。
Teton Bros. Amauti ■
あまり呼びなれない製品名を冠したAmauti(アマウティ)。名前の由来はイヌイットの女性が羽織るフード付きパーカーのことをさします。あざらしの毛皮などを使って作られたパーカーの背中内側には、アマウトという赤ちゃんのための袋が肩紐によって設えてあり、あかちゃんは背中にピッタリと寄り添って、お母さんのぬくもりと安心感に包まれるというしくみ。その特徴的な構造はあかちゃんの重みがコンプレッションに活かされてお母さんの背中に密着するようになっています。その構造を上手くパックへと変換し、生み出されたのがこのパックなのです。
ショルダーベルトとウエストベルトがパックの外側からグルリと回ってくる独特の構造によって荷物の重みがパック本体を身体へと引き寄せてくれるので、見た目以上に背負い心地が良く、くさび型のパック構造によって荷物の重心も高いポジションに来るようになっています。
ショルダーベルトは一見、薄く感じるのですが、パックの容量が25リットルであり、想定しているのは日帰りのバックカントリー装備の為、重さの目安で言えば10kg以下。その為、腰では無く肩荷重で背負う構造となり、薄いショルダーベルトが身体へしっかりと密着してくれるので背負ってみると不安感はまったくありません。
むしろ、ショルダーベルトの薄さと特殊なパック構造により肩甲骨の可動域が非常に広いんです。肩や腕の取り回しが抜群に良いのでライディングの邪魔をする事なく思い描いたラインを滑る事が出来ます。
ショルダーベルトと繋がっている外側の生地をめくるとアバランチギアを収納する為のポケットがあります。その背面側には白い縫製で十字のマークが入っており、ジッパーポケットが付いている為、小物や救急道具を入れておくのにも便利。パックの構造が少し変わっているが故に誰が触っても分かりやすいようにマークが入っているあたりが現場の意見から製品開発がされているTetonらしいところ。
メインの荷室はこのサイドファスナーと背面からのアクセスとなります。
背面アクセスは他のBCパックと異なり、下から上に開く仕様。これは雪上でのスピーディーな荷物の出し入れを行う為の構造です。
この様にウェストベルトを付けたままショルダーベルトを外してパックを前に回してこれば、いちいちパックを降ろさずとも荷物の出し入れが出来るので、一本でも多く滑る為に素早く行動したい方には嬉しい機能。
また、サイドファスナーも行動食等を出し入れ口付近に入れておけばパックを降ろさずにガサゴソする事が出来るので、とても便利。
そして、専用のストラップが4本付属するので、板をパックへ取り付ける際には使ってあげてください。
今までにない形のパックの為、一見すると奇をてらったデザイン戦略かと思ってしまうところですが、この構造にはちゃんと理由があり、バックパックを物理学的な視点で見る自分にとっては中々衝撃的な構造でした。とはいえ、やはり一見は百聞に如かず。是非、店頭で背負ってみてください。きっと見た目だけでは無い事を実感して頂けますよ。
本日のブログは松下がお届けいたしました。