究極を求めたウールウェア STATICのRAWシリーズ。

アウトドア遊び好きな方の間では、認知度が非常に高くなってきたSTATIC。「環境への配慮」に対して妥協無く物造りに取り組む姿勢は、我々ショップ店員としても応援したくなるブランドの一つです。

秋冬シーズンではアクティブインサレーションであるAdriftシリーズが非常に人気で、moderateの店頭でも沢山の方にお求め頂きました。ここ最近は、STATICの商品ラインナップも増えてブランドらしさがより強くなっている印象。今回のブログでは個人的にかなり注目しているメリノウールアイテム「RAWシリーズ」のご紹介させて頂きます。

 

ウールの究極型を追求して生まれたRAWシリーズ

優れた抗菌消臭機能で山のウェアには欠かせない存在となっているウールウェア。今やお家の洗濯機で洗える物が殆どで気兼ねなく着られるのが当たり前となっています。しかし、本来のウールは水で洗濯をすると大きく縮んでしまう物で、縮まないように防縮加工を施す事で自宅での簡単ケアが成り立っています。勿論、STATICのRAWシリーズにも防縮加工が施されているのですが、その手法に特殊な技法が用いられているのがポイントになります。

防縮方法のお話しをする前に、まずはウールが縮んでしまうメカニズムはどの様になっているのかをご説明させて頂きます。

 

防縮加工のメカニズム

こちらの写真はウール繊維を拡大したもの。ウロコの様に角張っている部分がスケールと呼ばれる部位で、この部分が絡み合う事で生地に縮みが発生してしまいます。このあたりは、東京都クリーニング生活衛生同業組合様のHPに非常に分かりやすい図説がございましたのでご覧ください。

 


【東京都クリーニング生活衛生同業組合HPより転載】

ウール繊維は水に濡れるとウロコ状のスケールが開く特性を持っており、その状態で洗う事でスケール同士が絡み合い縮みが発生します。そして、このスケール同士の絡み合いによる縮みを無くすための加工が防縮加工というわけです。防縮加工の歴史は古く、1950年代には軍服等の軍需目的の為に技術開発が行われており、その主な方法は塩素を用いてウールを処理するものでした。その技法は現代にも繋がっており、本来は撥水性を持っているウール繊維のスケールを塩素で除去する事で親水化し、親水性の樹脂で表面を覆う塩素樹脂加工と呼ばれる手法が多く用いられています。もの凄く簡単に言うと、絡みの原因になるスケールは取ってしまって、代わりに樹脂で覆います…という事。

この手法は生産性や防縮性に優れているので世界のウール業界に導入されました。しかし、近年問題になっているのが塩素樹脂加工による排液が環境へ良くない影響を与えているという事。その排液の有害物質は食物連鎖を経て、人体へ悪影響を及ぼす事も懸念されており、塩素樹脂加工に変わる防縮加工が必要とされているのです。

 

 

RAW シリーズの防縮加工

そこでRAWシリーズに用いられている防縮加工がラバーレ加工というもので、スケールを除去するのでは無く、ハイブリット・コラーゲンを付着させてウロコ同士が絡むのを防ぐという手法。先程までのお話しでは、スケールが悪者の様な扱いになってしまうのですが、ウールの優れた調湿機能にはスケールが重要な役割を果たしています。ウールは、スケールの隙間から水蒸気を吸収する機能を備えているので、発汗して衣服内の湿度が上がるとスケールの隙間から湿気を吸い取り、水分を含む事で内部が膨張して閉じていたスケールが開きます。すると、もっと水分を吸収し、さらに繊維の表面積が大きくなることで水分の発散性が高まるのです。羊から刈り取られた後でもこうしたウール本来の機能性は生きており、スケールを除去しない事で、ウール本来の機能性を引き出そうとしているのもRAWシリーズの特徴なのです。

環境への配慮だけで無く、ウール本来の機能性も最大まで引き出したウェアであるが故に「RAW(Real Activated Wool) =真の機能を発揮するウール」と名付けられています。

 

 


【着用モデル 身長:163cm  体重:54kg  Size:S  Color:Carbon】

RAWシリーズの中でも個人的に好きなのがこのフーディータイプ。少しユッタリと着られる余裕のあるシルエットとメリノウールの気持ち良い肌当たりが、山だけでなくリラックスする時にも着たくなる最高の気心地を感じさせてくれます。

 

フードのフィット感も絶妙で、バラクラバほどピッタリしていないのだけれど、顎周りを丁度良い塩梅でカバーしてくれるのです。立体裁断で作られているので、キャップの上から被っても窮屈感はありません。

 

私は、ウールフーディーを春夏シーズンのテント泊のパジャマでも使います。予備のベースレイヤー兼、パジャマ兼、薄手のフリースとしてパックに忍ばせておきテント場に着いたら行動中に着てきたベースレイヤーは干しておき、ウールフーディーを肌の上に直接着ます。汗が残っていてもウールの生地はベタつきや嫌な臭いを感じる事なく快適に過ごせますし、個人的に汗が残った肌がシュラフの生地やマットに直接当たってペタっと張り付く感じが好きじゃないのでフードも被って就寝するのですが、この時のフードフィット感が最高なんです。

バラクラバタイプだと寝る時に窮屈感を感じてしまうし、普通のフードでは寝ているうちにズレてきたり、顎周りがカバーされなかったりするのですが、STATICのRAW L.W HOODYは非常に丁度良いフィット感で寝るのも邪魔せず快適に包み込んでくれます。

※尚、RAW L.W HOODYは当店にてお取り扱い商品の中でも金額とサイズ感が異なる物がございます。2023年秋冬モデルは金額が¥17,820~¥19,800となっており、サイズ感が当初予定していたサイズよりワンサイズ大きく仕上がっている為、私の体格(身長:163cm  体重:54kg)でXSサイズが丁度となります。2024年春夏モデルは金額が¥23,100となっており、通常規格となる為、私の体格(身長:163cm  体重:54kg)でSサイズがジャストとなります。現在、各商品ページの平置き採寸データが同じ内容になってしまっていますが、実際は異なりますのでご注意願います。早急に内容を修正させて頂きますので今しばらくお待ち願います。

 

 

環境への配慮は生地だけではありません。

 

STATICの凄いところが環境への配慮をさらに徹底しているところ。なんと縫製糸も生分解性糸を採用しており、サイズネームにも生分解性のコットンを使用しています。確かに、天然繊維であるウールは自然界で分解される生分解性を備えており、ボロボロになるまで着古したら土に戻す事もできます。しかし、そこで縫製糸が残ってしまっては本末転倒です。「RAW」と銘打っているからこそ、細部まで手を抜かいところにSTATICの理念の強さが感じられます。

 

取り扱い商品やブランドに私達は一票を投じています。

私達が取り扱っているブランドや商品は「売れるから」、「人気があるから」という理由だけでバイイングさせて頂いている訳ではありません。そのブランドを立ち上げた方や運営に関わっている方達の想いや理念に共感出来る物をセレクトさせて頂いています。それは、そういった方々やメーカーさんの未来が見たいから一票を投じているのですます。だからこそ、店頭でも商品の魅力を100%以上お伝えしたいし、拙い文章ながらブログでもお伝えさせて頂きたい。私達が自身を持って一票を投じたメーカーさんの商品を多くの方に知って頂き、その魅力に触れて頂きたいから。STATICもそんなブランドの一つです。そして、お客様のお買い物も大切な一票です。その一票をどんなメーカーさんの未来へ投じて頂くか。そして、我々のようなお店の未来への期待を乗せて投じて頂けるか。そう考えると、まだまだ全力で走り続けなければ!….と燃えてきます。

他にも色々と書かせて頂きたい事が山ほどあるのですが、あまりにも長くなってしまう為、今回のブログはここまでとさせて頂きます。フィット感等で不安がある方はご相談に乗らせて頂きますので、お気軽にお問合せ下さい。本日のブログは松下がお届けいたしました。

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