災害時にも役立つアウトドアギア~飲用水の話~

3回に渡って私のブログにて綴らせて頂いている、災害時に役立つアウトドアギアシリーズ。今回の飲用水の話しで最後となります。大規模災害時に絶たれる可能性の高いライフラインの一つ、水道。日本は水道水を直接飲用出来る数少ない国の一つである為、日常から飲み水に対しての危機意識を持つ事は殆ど無いと思います。

 

家の蛇口を捻れば清潔な水が出るのでボトルに入れれば簡単に携帯出来ますし、コンビニやスーパー、自動販売機で飲み物はいつでも手に入れられる。私自身、生まれた時からこの環境で育ってきたが故に、現状が当たり前であると思い込んでいました。

そして、国外に出た時に日本に生まれた事がどれだけラッキーかという事を思い知らされました。蛇口から出る水は勿論飲めないし、何なら少し茶色かったり。お店で売っているボトルの水を買う時も、本当に新品かどうかを確認する必要があるので油断は出来ず。

この経験から「飲み水」に対しての意識が大きく変わりました。

もしも、今、水道水が出なくなってしまったら飲み水をどのように確保しますか?

雨水を溜める?

川の水を汲む?

その水は本当に飲めるの?

飲んで大丈夫?

色々な考えがグルグルしてしまうところ。そこで、飲用に適した水とは何かを少し調べてみました。厳密には、水道水と飲用水で微妙に定められた基準が異なるのですが、どちらも共通で上げられている項目に以下の内容がありました。

大腸菌が検出されないこと

・一般細菌は1mlの検水で形成される集落数が100以下

※他にも化学物質の検出基準等、多数項目が存在します。

 

めちゃくちゃ簡単に言うと大腸菌は少しでも入ってたらアウト。一般細菌は極少じゃないとダメと言ったところ。大腸菌と聞くとO-157等の明らかに身体に悪いイメージを持ちますが、飲み水が原因で起こる感染症は意外と沢山あります。日本では認識されている事はかなり少ないですが、菌類が原因とされている主なものだけで、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、サルモネラ腸炎、キャンピロバクター腸炎、大腸菌下痢症、レジオネラ症…etcとかなり存在します。他にもエキノコックスの様な水を媒介として感染する寄生虫も存在します。過去には北海道だけの問題と思われていたエキノコックスでも近年、愛知県の知多半島広域に定着したと考えられたりしています。

色々と知れば知るほど、非常時の清潔な飲み水の確保が如何に重要かが分かってきます。煮沸も有効的な手段の一つですが、火が必要となります。そこで簡単に行える方法の一つとして浄水器の使用があげられます。

 

外遊びの携帯品として当たり前になってきている浄水器。(写真左からHydrapak 42mm フィルターキャップ 、28mmPNPインラインフィルター 、Katadyn ビーフリー)

私も使用しており、沢沿いを歩いたりする時は飲み水の携帯量を減らせるので非常に重宝しています。無知な頃は浄水器は使用しておらず、鈴鹿山脈の沢の水も直接飲んだりしていたのですが、色々な情報を知り、沢の中に鹿の死骸が沈んでいるのを実際に見てから浄水器を必ず使用するようになりました。

 

浄水器の本体には、0.1 ミクロンのマカロニ状のホロファイバー膜が入っており、この構造により大腸菌や寄生虫の包嚢を99.99%除去してくれます。ただし、菌類よりもさらに小さいウイルスは取り除く事は出来ません。また、魚などの生き物がいない川の水や海水、汽水(淡水と海水が混じった湖の水など)、化学的に汚染された水等は飲用には適しておr浄水器を使用する事が出来ないのでご注意下さい。

 

そこで考えなければいけないのが、浄水器を使用する水源を事前に把握しておく事。お家の周りに流れている綺麗な川や湧き水があれば良いのですが、都市部ではそうはいきません。そうなってくると、浄水器よりも備蓄が必要になってきます。

それぞれの生活圏で適した手段による飲み水の確保が重要になってくるので、一度散歩がてらお家の周りを調べてみて下さい。また、実際に水源があったとしても浄水器を正しく使えないと意味がありません。そこは火を確保する為の道具同様に遊びながら身に着けるのが良いと思います。

 

外遊びで使用する際のポイントとして、事前に水道水等の清潔な水を浄水器内部のファイバーに吸わせておきましょう。こうする事で浄水時に少ない力で水を濾過する事が出来ます。事前に水を吸わせていないとファイバー全体に水分が行きわたるまで、結構な圧を加えないと水が出てきません。事前準備をしておけば現場で大変な思いをしなくて済むので、使用する際は水に浸けておいてください。

明日、9月1日は防災の日。そして9月は防災月間です。自然災害が多い日本に住んでいる以上、災害への備えは自ら行う必要があります。国や地方公共団体に頼りっぱなしになるのではなく、自分の大切な家族や大切な物を守る為には、防災力は非常に大切。外遊びを通して、そういった力を付けていければベストと言えるので、遊びながら少しだけでも意識してみて下さい。

本日のブログは松下がお届けいたしました。

 

 

 

 

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