最近、店頭にご来店頂いたお客様からご質問頂きました。
「店員さんは自分の履くトレランシューズをどうやって選んでるんですか?」
お店でお客様のトレランシューズを選ぶお手伝いをさせて頂いていながら、自身のトレランシューズの選び方を今まで深く考えた事はありませんでした。そこで改めて、自身を見つめなおして私のトレランシューズの選び方を少しご紹介させて頂きます。
※あくまでスタッフ松下のシューズを選ぶ基準となりますのでご了承下さい。
【左から ALTRA/LONE PEAK3.5■ HOKA/SPEED GOAT2■ SCARPA/SPIN RS8 INOV8/TRAIL ROC270■ SALOMON/SENSE RIDE■】
様々なブランドから特徴的なシューズが展開されていますが、見た目のデザインが気に入るかどうかも大切な要素の一つでもあります。しかし、大切なのはやはりフィット感。いくらお気に入りのシューズでも走り出して痛くなってしまうようでは問題外です。自分の足型に合うかどうか、シューズの形状だけでも何となくは分かるのですが、私はそれだけでは納得出来ません。
この記事の概略として
インソールを出してみる
【左から ALTRA/LONE PEAK3.5■ HOKA/SPEED GOAT2■ SCARPA/SPIN RS8 INOV8/TRAIL ROC270■ SALOMON/SENSE RIDE■】
モデルによってインソールが張り付けられているモデルもあるのですが、可能であればインソールを出してみてシューズの中の形をチェックします。メーカーによって個性溢れる形をしており、横幅の差はもちろんのこと同じサイズでも足長が違ったり、踵回りまでスッポリ覆う形状をしていたりと履き心地に大きく影響を与える部分です。
そして、私はインソールの裏と厚みもチェックします。クッション性を重視した作り、通気性を重視した作り、部分的に硬さを変えてあったりシューズ本体とインソールがズレにくくなっていたりと裏側にもモデル毎の特徴が隠れているんです。
そして、サイズ感を確かめる為にインソールの上に足を置いてみる。シューズを履いただけではつま先の空き具合は感覚で掴むことになるので、私はインソールの上に足を置いて「目視」で確認しています。よりサイズを合わせる為に足の浮腫む夕方頃か運動後に試しています。また、ソックスもランニング時に使用する物を着用して試します。(ソックスの厚さによってサイズ感が変わってしまう為)
ミッドソールをよく見てみる
【上から ALTRA/LONE PEAK3.5■ HOKA/SPEED GOAT2■ SCARPA/SPIN RS8 INOV8/TRAIL ROC270■ SALOMON/SENSE RIDE■】
ミッドソールを見るうえで気にしているのは、ドロップ(つま先と踵の高さの差)、素材の固さと配置(クッション性やスタビリティーに影響)、ヒンジポイント(ソールの屈曲ポイント)、ねじれ剛性、ロッカー形状等の特徴を手に取ってシューズを曲げてみたり足を入れて歩いてみたりしながらシューズから感じ取っていきます。個人的にはミッドソールの作りはシューズの個性に大きく影響すると思っています。分厚いクッション性の高いシューズがあれば薄くて硬い反発力の高いシューズがあったり、ドロップを無くしたナチュラルラン思考の物もあれば、ヒンジポイントをセットバックして登りに特化させたシューズがあったり、筋肉の微細動を抑える作りになっていたりと興味をそそられるポイントでもあります。
アッパー素材と補強の入り方もチェック
【上から ALTRA/LONE PEAK3.5■ HOKA/SPEED GOAT2■ SCARPA/SPIN RS8 INOV8/TRAIL ROC270■ SALOMON/SENSE RIDE■】
アッパー素材(メッシュの細かさと強度)と補強の入り方も良くチェックします。写真一番上のLONE PEAK3.5■のように人工皮革で補強されているモデルもあれば、他3モデルのようにラミネート系の補強が施されていたりとそれぞれ変わります。補強が少なくなればなるほどロードシューズの様な履き心地になるので足入れ感触は良く感じますが、どうしても岩場等のハードな場面で激しく擦れてしまった時には若干心配になります。どのような環境で使用するのか、どれぐらいの距離を想定しているのか、色々想像を膨らませながらアッパーの素材を触って補強具合を見たり、履いた時に屈曲部分に当たりを感じないかを確認します。
踵回りの形状とヒールカップ
【写真上段左からALTRA/LONE PEAK3.5■ HOKA/SPEED GOAT2■ SCARPA/SPIN RS8 写真下段左からINOV8/TRAIL ROC270■ SALOMON/SENSE RIDE■】
踵回りの作りもモデルによって意外と違います。しっかりフィットしていないと蹴り込んだ時にズレる感じがしたり、擦れて痛くなってしまうことも。大半はシューレースの締め具合で調整出来たりもしますが、極端に当たっていると痛くなってしまう事もあるので気を付けて下さい。ナチュラルランテイストのシューズにはヒールカップが入っていない物もあるので実際に踵回りを指で軽く押してみると分かります。そして、ヒール回りのフィット感に関して注意するべき点はインソールです。カスタムインソール等をご利用の方はご試着の際に必ずインソールを持参頂き、入れ替えて試着して下さい。最初から入っているインソールでは踵のホールド感抜群だけど、インソールを変えたらフィット感が悪くなった…という事が稀にあります。
タンの付き方
【INOV8/TRAIL ROC270■ 】
【SALOMON/SENSE RIDE■】
写真上のTRAIL ROC270■と下のSENSE RIDE■のタンの付き方に違いがあるのにお気づきでしょうか。下のSENSE RIDE■はシューズの底からタンが生えているように取り付けられています。これにより足の甲をホールドしてシューズとの一体感をより高める作りになっています。しかし、甲高の足型の方にとっては甲がキツく感じてしまうことも。タン自体の厚みも薄かったり厚かったりとシューズによってそれぞれ異なるので好みが分かれるところ。私自身は、あまり気にしていない部分ではありますがトレランシューズの中ではスピードレース系のシューズは薄く、ロングレース系のシューズは厚くなる傾向にあると思います。
アウトソールの素材と形状
【左から ALTRA/LONE PEAK3.5■ HOKA/SPEED GOAT2■ SCARPA/SPIN RS8 INOV8/TRAIL ROC270■ SALOMON/SENSE RIDE■】
アウトソールに関しては、ATR系(ロード兼用モデル)とトレイル用ではブロックのサイズやラグが違ったり、メーカーオリジナルのソール素材を使用しているシューズもあればビブラムメガグリップを使用していたりとシューズコンセプトによって変わってきます。私は基本的に養老山系か鈴鹿山系、夏に少しだけアルプス系で遊ぶ想定をしているので細かなパターンよりもゴツめのパターンを好んで使っています。しかし、家を出発して近所の大きな公園のトレイルを走ったりしているとATR系のシューズも欲しいな~と思ったり。個人的には、このパターンが一番良い!という考え方はせずにメインで遊ぶ山域の地質やスタイルによって適したチョイスをするようにしています。予算の都合があるので、毎回悩みに悩んで購入するのですが…。
汎用性の高さ
【ALTRA/LONE PEAK3.5■ ALTRA × Teton bros./ Power Gaiter (unisex) #Golden Yellow ■】
モデルによっては各メーカーから専用のゲーターが出ていたりして、トレランだけでなく低山ハイクでも使い易くなっています。こういった汎用性も結構気にしています。最近は山にハンモックを持って出かけたり、ノンビリしに山へ入ることが増えてきたのでそういった視点からもシューズを見て選ぶようにもなってきました。トレランもハイクもするけど、割合はハイクの方が高くて30リットルぐらいまでのザックを担ぎたい。という方にはLONE PEAK3.5■の様なガッチリめのトレランシューズをお勧めします。自身のスタンスから見て最も汎用性の高いモデルを選ぶのも一つの考え方です。
【写真左:スタッフ松下の足 写真右:スタッフ小泉の足】
私は足幅がめちゃくちゃ広いです。スタッフ小泉の足と比べて頂くと一目瞭然。やはり個人差があって当たり前。合う靴、合わない靴があって当たり前なんです。店頭にご来店頂いたお客様にはベストの一足を見つけるお手伝いを引き続きさせて頂ければと思います。当店オンラインショップページをご愛顧頂いているお客様には出来る限り細かな情報もご提供させて頂きますのでお悩みの事がございましたらお気軽にお問合せ下さい。
本日のブログは、店長と共にバターコーヒーお試し中の松下がお届けしました。