Classic Route Hiking @熊野古道ツヅラト峠を開催しました。

少し前になりますが、秋の恒例イベントとなりましたClassic Route Hikingを開催しました。どこかのピークを取るわけでもなく、長い道のりを歩くわけでもなく、古道の歴史や情緒に想いを馳せながら歩く。一般的な登山やハイキングと比べると少し風変りな遊び方。今回の舞台は古道の横綱(勝手にそう呼んでいます)、熊野古道はツヅラト峠。

集合場所は紀北町にある道の駅マンボウ。車移動はノンビリ派の私は、四日市からALL下道でゆっくりと現地入り。早朝に到着したのですが、予想以上に寒くて集合場所ではダウンジャケットを着ていました。

 

道の駅マンボウから約20分程歩いて紀伊長島駅へ。ここからワンマン電車に乗って梅ケ谷駅へと向かいます。

 

歩き出しこそ寒さを感じましたが、紀伊長島駅に着く頃には適度に体が温まって良い感じに。もう少し陽射しが強くなってきたら暑さも感じ出しそうな予感。

電車に揺られること十数分。

梅ケ谷駅へ着いたら、いざ熊野古道へ…と逸る気持ちを抑えて駅のすぐ近くにある八柱神社へ。

 

創建は748年や795年、それ以前とも言われている歴史ある神社。明治時代に今の八柱神社と呼ばれるようになったそうで、きっと昔々の旅人達はツヅラト峠を越える時にこちらの神社で同中の安全を祈っていたのではないでしょうか。

 

歴史にあやかって、我々も道中安全を祈って参拝。

 

境内の木々は綺麗に紅葉していて、目を引きますが我々の目的は古道でございます。

 

八柱神社を後にして、しばらく舗装された道を進みます。普通に歩いていればただの道ですが、「古道」と認識して歩いていると何気ない道でも見つける物があるんです。

 

ただ歩いているだけでは見逃してしまうような歴史や情緒を感じる物。これを我々はClassic Route遺産と呼んでいます。道中で見つけたClassic Route遺産に詰まった歴史やドラマを読み解きながらフムフム…と想いふけるのもこの遊びの魅力の一つなのです。

 

歩みを進めて行くと、非常に分かりやすい看板も。流石は古道の横綱(勝手にそう呼んでいます)。最近は外国から熊野古道を歩きに来てくれる方も増えているようで、英語での案内表記も見受けられました。日本の古道にそれだけ注目が集まるのは嬉しいところです。

 

ツヅラト峠への山道へ入る前に少し寄り道して三十三所観音石像群へ。こちらには、その名の通り三十三体の観音像が佇んでおられるので、立ち寄られた際は是非探してみてください。

 

 

さらに歩を進めると、ツヅラト峠の看板が現れました。いよいよ、ここからは山中の道へと入って行きます。

 

舗装された道が無くなるも、足元はとても歩きやすく、太陽の位置が高くなるにつれて気温もどんどん上がっていきます。

 

気が付けば周囲は杉の林へと変わり、「熊野古道 伊勢路」の幟も。AXESQUIN ELEMNTSのHPにツヅラト峠の取材の様子がアップされているのですが(コチラ■)、夏に訪れたそうで、その時はヒルが結構いたとのこと。

今回は、開催日の前から気温が下がった事で一匹も目にすることはありませんでした。春夏シーズンに歩かれる際はヒル除け対策をお忘れなく。

 

熊野古道では熊の出没がある為、熊鈴は必須。ツヅラト峠では入口付近にレンタル熊鈴が用意されています。忘れてしまった際には、必ずこちらでお借りして、峠道の終わり付近にあるBOXへ戻しておきましょう。

 

本格的な峠道へと差し掛かる前、ところどころに石垣を発見。ここに建物があったのか、隣の敷地との境界線の為なのか、答えは分かりませんが変色して苔に覆われた姿から、ずいぶんと昔からあった事が伺えます。

 

進むにつれて道が緩やかな登り基調へと変わっていきます。ツヅラト峠の由来は「九十九折り」から来ており、その名の通り折り返しながら少しずつ上へ上へと登っていくのです。ただ、普段から登山している方であれば、それほど息が切れるわけでもなく気持ち良く歩ける斜度となっています。

 

 

峠の上に着くと熊野の海が一望できます。この峠道が伊勢から熊野三山へ向かう巡礼者が最初に熊野の海を眺めた場所と言われており、長い道のりの中でもホッと心を落ち着かせた場所であったかもしれません。

今回参加頂いた皆様が非常に健脚であった為、予定よりも早く峠の上へ到着。少し早い時間でしたが、昼食をとって、Classic Route Hiking恒例の甘酒を飲みながらゆっくりと休憩。

参加者の方々は「山が好き」という共通点があるので、自ずと会話が弾みます。休憩していた場所の日当たりもよくてポカポカ陽気で良い気持ち。このままお昼寝でも…と言いたいところでしたが、実はツヅラト峠の魅力はこれから始まる下山ルートに詰まっているので、しっかりと休憩をとった後に再度歩き出します。

 

ツヅラト峠を歩いていると数か所出てくるこちらの立派な石垣。これぞ本ルートの最大の魅力である「野面乱層積み」で造られた石垣です。道を保護する目的で施されており、先人達が後世の人たちもこの道を安全に歩けるよう整備してくれたのです。

今のように重機が無い時代、この急な斜面に全て人力で作り上げられたこの石垣。きっと相当な作業量だったに違いありません。

 

さらに歩を進めると、熊野古道の代名詞でもある石畳が登場。現代のようにコンクリートやアスファルトでは無く、現地調達できる石で造られた道も古道ならでは。昔の人たちは草鞋でこの道を歩いているわけですから、足裏で感じるゴツゴツ感は、適度な足つぼマッサージのような効果があったのかも…なんて想像を膨らませながら歩いていると、古道といえばこれ!というClassic Route遺産が現れました。

 

古道歩き好きなら誰もが知っている、炭窯の跡です。鈴鹿山脈の中も沢山存在する炭窯ですが、三重県で培われた技術が伊豆方面まで広がっていったと言われている程、三重の炭焼き技術は優れていたそうです。

現代の様に石油資源が主なエネルギーとして使用される以前が炭が重宝されていました。山中にある炭窯の周囲には、広葉樹の森が存在している事も多く、そういった木々も先人達が後世の人達の為にと植樹してくれたものでもあります。そういった様々な物やことの繋がりを感じると、ふと今の自分は次の世代の為に何か出来ているだろうか…と考えてしまうところですが、山の中で頭を捻っても答えは出ません。笑

大事なのは、そういった思考に至ったというところなのです。デジタル化が超加速度的に進む現代では、画面上の情報で歴史を知ることは簡単に出来ますが、リアルな体験を通じて歴史に触れる機会が減っているように感じます。私なりのClassic Route Hikingの解釈ではそんなリアルな歴史に触れることで自分がどう感じるかを大切にしたいのです。今回私が感じたことも、きっと頭の片隅にずっと存在していて、日常生活や仕事中に今の自分の行動が次の世代に繋がることなのでは…!?と気づくタイミングが来るのではないかと思っています。

 

なんだか思想強めな遊びに感じてしまうかもしれませんが、古道をノンビリ歩くという部分が本質なので、そこまで構えなくても大丈夫です。笑

ただ一つ、古道を歩くにあたって意識しておくと良いのが、事前にその道の歴史を知っておくと、知らない状態よりも倍以上楽しめます。何も知らなければただの道ですが、その道の成り立ちやどの様な人たちが歩いていたかを知ると途端にドラマチックな道に見えてくるんです。また、途中で見つけた物も後から調べてみると歩いた道への知識や想いをより深める事が出来ます。

歩いている時だけでなく、その前後も楽しめるのがClassic Route Hikingの魅力だと私は思っています。
今回、イベントへご参加頂いた皆様、ご協力頂きました関係者の皆様、ありがとうございました。また、次回も開催させて頂きますので、ご興味のある方は是非。

本日のブログは松下がお届け…と、いつもなら終わるところですが、せっかくなので一点だけお気に入りアイテムをご紹介させて頂きます。

過去のブログ(コチラ■)でもご紹介させて頂きました、AXESQUIN ELEMENTSのヴィンテージナイロンのカーブパンツです。

 

イベント当日、私と共にミスターエレメンツの花房氏も着用されており、ほどよい太さのシルエットと足上げの良さで「これ、良いパンツですよねぇ~」とお互いのパンツを褒め合っておりました。寒い季節の低山ハイクに丁度良いパンツなので、これからの時期に非常におススメです!

長々と書き綴ってしまい申し訳ございません。最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。

本日のブログは、最近忙しすぎて前日の記憶が飛んでしまう松下がお届けいたしました。

 

 

 

 

 

先頭に戻る