端境期にも使いやすいOMM Core Zipped Vest

ベストタイプの服を見ると、なぜかいつもイメージしてしまう絵本があります。それがコチラの「ねずみくんのチョッキ」。

幼少期によく読んでおり、頭の中に刷り込まれているようでたまにベストをチョッキと呼んでしまいそうになることも。ちょっと調べてみたら、絵本は1974年に発行されているとの事で、未だに多くの世代に愛されている人気絵本。そして、チョッキという言葉は明治期に袖なしの短い胴着をチョッキと呼ぶことが定着したそうで、その語源については外来語(オランダ語のjak、ポルトガル語のjaqueta、英語のjack)に由来するという説、直着(ちょくぎ)の転訛であるという説などがあるそうです。(wikipedia先生調べ)

袖無しの衣服はファッションのアクセントとして使いやすいけど、保温という観点で見ると中途半端と思われがち。しかし、私の非常に勝手なイメージでは、山の熟練者程ベストタイプのウェア使用率が高い気がします。その理由は身体のコア(体幹)を少し保温するだけで体感温度が大きく変わる事を知っているから。そして、それは色々な環境を経験する事で感じる事でもあるのです。

故に、山の熟練者程ベストの魅力にどっぷりとハマっているのでは…という超個人的持論。(単純に自分がベストが好きなのもありますが…。)

前置きが長くなりましたが、ベストウェアの中でも軽量、高通気で人気のOMM Core Vestはご存知の方も多いと思います。

メッシュ生地に化繊のプルーム(羽状毛)を直接織りこんだPRIMALOFT® ACTIVEの生地は、一枚で着用すると抜群の通気性で汗をしっかり逃がしてくれて、アウターを上から羽織ればしっかりと保温してくれる非常にすぐれた機能を持っています。それでいて約72g(Mサイズ)と非常に軽量な為、多くの方から支持を得ているのも納得。

しかし、一点だけ意見を言わせて頂くとしたら、プルオーバーであるが故にマメな脱ぎ着がしにくいんです。生地の通気性が高いから、基本的に着たままでも良いでしょ…という意見も分かります。分かるのですが、個人的に秋冬であればそれもいいんです。でも春夏となると話が変わってきます。とくに今年の2月は暖かい日と寒い日の落差が非常に激しく、この状況はまだまだ続きそう。低山の晴れた暖かい日であれば、半袖でも良い時がありますが一度太陽が雲に隠れれば一気に寒さを感じることも。また、風が吹くとウィンドシェル一枚では寒いけど、ハードシェルを出すまででもない。そんな時にCore Vestをベースレイヤーの上に合わせたり、そこにウィンドシェルをプラスすると丁度良いが作りやすい。しかし、今度は暑くなった時に脱ぎ着がちょっと面倒くさいんです。冬場であれば低温ベースでレイヤリングを組み立てれば良いのですが、今からのシーズンは低温から中温域までを意識してレイヤリングを考える必要があります。故にマメな脱ぎ着が出来る利便性が求められるのです。

そして、その要望に応えてくれる理想的なアイテムとなるのがコチラ

 

OMM Core Zipped Vest

商品名の通り、Core Vestのフルジップバーションなのですが、実は使用されている生地がCore VestとCore Zipped Vestでは微妙に異なります。Core Vestに使用されているのは75g/㎡のPRIMALOFT® ACTIVEより厚手の125g/㎡のPRIMALOFT® ACTIVEが用いられているので、生地厚がある分保温力が高くなります。反面、ジッパー+生地厚分で約135g(Mサイズ)とCore Vestの同サイズより63g程重くはなりますが、他のフリース系フルジップベストと比較しても非常に軽量。

そして、これからの季節に山を少し早めのペースで動く想定をした時に、軽くて、脱ぎ着が楽で、細かく体温調整が出来るトップスの組み合わせを考えてみました。

 

保温や防風目的で着用するのはコチラの組み合わせ。

  • ベースレイヤー:OMM Flow Singlet
  • インサレーション:OMM Core Zipped Vest
  • ウィンドシェル:OMM Sonic Jacket
  • アームカバー : 山と道  Light Alpha Armsleeves

 


【着用モデル 身長:163cm  体重:53kg  Size:Sを着用】

動き出しは寒いので、ベースレイヤーの上から全てウェアを着用します。この時点で上半身はPRIMALOFT® ACTIVEとポーラテック・アルファダイレクトに包まれているので、その上かSonic Jacketを羽織る事で風をしっかり止めて衣服内の空気が動かないようにします。

 

Sonic Jacketのジッパーを開け閉めしながら微妙な体温調整を行い、体温が上がってきたところでジャケットを脱いでパックへ収納しておきます。この段階で一つ目の大きな体温調整が行えます。ウィンドシェルを脱ぐことで衣服内の通気が一気に行え、大きな血管が通っている脇の下を露出させる事で体温を下げやすくなり、動き続けるのには丁度良い温度帯が作りやすくなるのです。

 

そして、次の段階がアームカバーを手首部分に留めておく形。こうする事で腕回りはクールダウンしながらも手や手首を保温するという絶妙な状態が作り出せます。

 

太陽の日が当たるようになって手首回りにも汗を掻くようになってきたら完全にアームカバーを外します。この段階で脇、手首という大きな血管が通っている2個所を露出させるのがポイントです。

 

日が当たる斜面の急登が続き、いよいよ汗の量が増えてきたらベースレイヤー1枚に。早朝の動き出しは寒いけど太陽が出てくれば一気に暖かくなる今時期は、一枚のアクティブインサレーションでは体温調整が難しい季節でもある為、レイヤリングによる調整技術が求められます。日中の気温が高いことが予想されるのであれば、ベースレイヤーを薄めに設定し上に着る物に段階を持たせる事で理想的な体感温度帯を作り上げる事が出来るのです。

しかし、その反面、レイヤリングが増えると言う事は、脱いだ時の荷物が増えるという事になります。そこを如何に軽量なアイテムで組み合わせるかで荷物による身体の負担を減らす事が出来ます。

 

ちなみに、今回のレイヤリングで使用したSonic Jacketは実測約50g(Sサイズ)と驚く程の軽さ。

 

そして、山と道  Light Alpha Armsleevesは実測約39g(Mサイズ)、そしてCore Zipped Vestは実測約121g(Sサイズ)となりましたので、合計で210gでレイヤリングを完成させる事が出来ました。(ベースレイヤーは着用し続けるので荷物には含んでいません。)
この重量であれば、脱いだり外したりした時にパックへ入れておいても全く気にならず、荷物の負担を増やす事無く行動中の快適度を上げる事が出来ます。

 

正直、暑さ寒さの感じ方は人によって違うが故に、ここまで細かく体温調整を刻まずにロングスリーブのフリース一枚の脱ぎ着だけで十分という方も見えると思います。

実際にCore JacketであればSサイズ185gの重量で腕回りもカバー出来ます。秋冬想定や寒がりな方であればCore Jacket一枚で解決しても良いかもしれません。しかし、敢えてベストとアームスリーブの組み合わせを選ぶのは、より強い換気性能が欲しいから。特にランに近いハイペースで行動する時には腕回りを露出する事で「丁度良い」が作りやすい事が多々あります。

このあたりの服選びやレイヤリングの組み合わせはご自身の遊ぶスタンスに合わせてチョイスして頂ければと思います。

今一しっくりくる組み合わせが分からない…という方は、店頭にて相談に乗らせて頂きます。現在使用中のウェアを持参頂ければより具体的なアドバイスをさせて頂けるので、ベターでは無く、ベストなレイヤリングを作りたい方は是非!

本日のブログは松下がお届けいたしました。

 

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