私の価値観を広げた旅

先日届いた一通のメール。

「お久しぶりです、お元気でいらしゃいますか、長い間おじゃまします。
Matsushita様、私は、ネパ-ルからドゥルガですメ-ルアドレスが見つかってうれしいです。
日本もまだ、きんきゅじだいがえんちょしていますね、大変ですが、無事に生きるために頑張りましょう。
またメ-ルしたいと思います。
ドゥルガより。」
 
このメールを下さったのは、5年前にネパールを訪れた際にガイディングして頂いたネパール人男性のドゥルガさん。上の写真の男性で、小柄ながらも昔は70kg以上の荷物をポーターとして担ぎ上げていた屈強な方。
 
メールを頂いて思い出したのが、このネパールの旅を通して私の中で色々な価値観が大きく広がったこと。消費への意識もその一つ。本日のブログでは、少しだけ旅のお話しをさせて頂きます。
 
 
 
なぜ、ネパールへ行ったのか。その理由はただ一つ、世界最高峰のエベレストを見たい。それも出来る限り近くで。そうなると必然的にエベレストBCへ行こう!…となるわけです。
 
 
エベレスト街道と呼ばれるBCまでのトレイルは景観も良く、山好きには最高の道。
 
 
歩き出したルクラの空港(テンジン・ヒラリー空港)で標高が2,860mなので、数日歩けば富士山の標高をあっという間に越えてしまいます。約一週間ほどかけて身体を高山域に慣らす高度順応を行いながらエベレストBCへ歩きました。
 
 
標高が上がるに連れて酸素が薄くなるので、思うように身体が動かず。高山帯に生息している牛の仲間、ヤクは重たい荷物を背中に乗せながらも私よりすいすい歩いていきます。
 
 
 
高山病による頭痛と合わない食事と水による下痢と戦い続け、何とかBCに到着。嬉しいやら感動するやら、でも酸素薄くて頭が上手く回らないやらで感情がゴチャゴチャしましたが、また行きたい!そう思わせてくれる素敵なトコロです。
 
 
 
BCを後にして翌日にはエベレストが綺麗に見えるカラパタールという丘で記念写真を一枚。「丘」と言いつつも標高は約5,550m。ゆっくりと歩いて登るだけでも心臓がバクバク。しかも降雪と強風の影響で体感温度は-20℃近く。ナルゲンボトルの水も凍ってしまいました。写真には笑顔で写っていますが、かなり無理して作った笑顔です。
 
今回の旅では山歩きで得られた経験もあるのですが、一番刺激的だったのが現地の方との触れ合いと文化や生活様式を感じる事。食事や衣服は勿論の事、仕事に関しても色々と教えて頂きました。
 
 
その一つとして印象深いのがコチラの写真。エベレスト街道にある多数の山小屋の食料や登山者の荷物を運ぶポーターの方。この時に写真を撮らせて頂いたのは15歳程の男性2人。見るからに重そうな荷物を運んでいるのですが約20kg~30kgの荷物を運んで日当は約1,000~1,500円程度。今回、ガイドと通訳を依頼したドゥルガさんも元はポーターとして仕事をしていたそうで、外国語を話せる人はガイドとなり、話せない人はポーターしか仕事が無いとの事。この現場に遭遇した後は、山小屋で食べる食事や購入する飲み物に対しての見方が大きく変わりました。食べれて当たり前、飲めて当たり前と思っていた自分が恥ずかしくなり、お金を払う事の真意をようやく理解出来た気持ちになりました。物を買うだけでなく、その後ろで汗を流してくれている人がいる事を忘れてはいけません。
 
 
他にも色々な方と交流させて頂き、シェルパ族のガイドさんともお話しをさせて頂く機会がありました。私の中でのシェルパ族のイメージはエベレスト等の高山帯の登頂をサポートする山岳民族で高所登山のエキスパート。どんな気持ちでエベレストに登っているのか聞いてみると予想外の答えが返ってきました。
 
「出来ることなら登りたくない。」
 
え?どういうことですか?…とガイドさんを介して聞いてみると
 
「エベレストに登る事は非常にリスキーで、死んでしまう確率がとても高い。もしも私が死んでも誰も家族を養ってくれない。だから登りたくて登っている訳では無いんだ。他に仕事が無いから高所ガイドを行っているんだ。私には外国の人たちがエベレストへアタックする事が理解出来ないんだ。」
 
とても衝撃的でした。シェルパ族の人は皆、誇らしく勇ましく高所ガイドを行っているという私の勝手な想像とは真逆。とてもリアルで的を得ている考えです。私達は、住む場所や仕事、食べる物、様々なコトやモノを選択する事が出来ます。日本に生まれた時点でそれが当たり前であって自然なコト。
 
でも世界を見ると、選択できる事がどれだけ恵まれているかが分かります。幸せの形は人それぞれですから、選択出来ないコトを不幸だなんて思いません。ただ、色々と選択出来る立場にあるのであれば、良いモノやコトを選択するべきだと思うんです。身体に良いモノ、環境に良いモノ、心に良いモノ。誰かにとって良いコト。世の中に良いコト。無理の無い範囲で、少し考えてみませんか。
 
 
ドゥルガさんから届いたメールがきっかけで書かせて頂いた今日のブログ。最後までお読み頂きましてありがとうございます。今週末にはmoderateの駐車場にて「小さなエシカルマルシェ」を開催致します。皆様にノンビリと選択頂けるキッカケになれば幸いです。
 
 
 
本日のブログは松下がお届け致しました。
 
 
 
 
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